第511話~大海溝の遺跡 地下4階暴風地獄風ダンジョン 『海竜の右目を探せ!』 そのヒントはネイア?~
『海竜の右目を探せ!』。
ヴィクトリアのおじいさんからここを抜け出すヒントをもらった俺は、この意味を探るため嫁たちと相談した。
「ヴィクトリアちゃんのおじいちゃんが言う海竜の右目って何の話なんだろうね」
「さあ?おじい様はたまに編に意味深なことを言って人を困らせるのが好きなので、今回も何を言っているのかわからないですね」
「海竜ということは、何か海竜に関係するものがどこかにあってそれにヒントが隠されているということなのでしょうか?」
「仮にそういったものがあるとしたら、探すのは大変そうですね」
「「「「「う~ん」」」」」
そうやって全員が頭を捻って色々と考える。
「あ、私、一つ思いつきました」
そのうちにエリカが何かを思いついたらしく、そう一言発するとともになぜかネイアを指さした。
「え?私ですか?」
指さされたネイアの方は顔に?マークを浮かべ、なぜ私?という感じでエリカの方を見る。
それに対して、エリカは落ち着いた声でこう答えるのだった。
「ネイアさんというか、ネイアさんのそのドラゴンの刺繍が描かれた武道着。それが解決の手掛かりになると思います」
★★★
「『世界の知識』」
その後、俺はエリカに言われてこの階層のマップを作製した。
俺のマップに載っている情報はそんなに詳しいものではなかった。
ここの大まかな地形と、すでに開けた宝箱の情報くらいしか記載されていないマップだった。
エリカはそんなマップを俺から受け取ると、突然その上に絵をかき始めた。
「海竜の図案?」
エリカが描いたのは、海底世界で一般的に流布されている海竜をかたどった紋章の図案だった。
というか、エリカ結構絵が上手い。
まあ、エリカは裁縫とかも上手で手先が器用だからな。
絵をかくのもお手のものなのかもしれない。
「できました!」
それはともかく、エリカは図案を書き終えると早速俺たちに見せてきた。
その時に、ヴィクトリアは図案の一部分を、そこは海流の紋章の海流の右目の部分だった、指さすと、俺たちにこう言うのだった。
「ヴィクトリアさんのおじいさんが言っていた『海竜の右目』。ここのことではないでしょうか?」
その後、マップの海流の右目にあたる部分に移動した俺たちはその周囲にある宝箱を片っ端から開けた。
ここの宝箱の中身は魔法で分からないのでそうするしかなかったのだ。
しかも、当然のようにハズレの宝箱ばかりで。
「ギャアア、またミミックです~。助けてください」
「ヴィクトリアちゃん、任せて!はああああ」
開けた宝箱からミミックが出てきて、ヴィクトリアが泣き叫びながら助けを求めてきて、それを俺やリネットが退治するという光景が何度も繰り返された。
というか、宝箱は俺と嫁たち全員で交代で開けているのに、ミミックが出てきたと一々叫んでいるのは、ヴィクトリア、お前だけだぞ。
「みんながすぐに退治してくれるのなら、ミミックなんか怖くないです」
とか、強気なことを言っていたのに蓋を開ければこれであった。
まあ、ヴィクトリアのやつ、今までの冒険で不用意に宝箱を開けて罠にかかった経験が何度もあるのでミミックのことが苦手なのだと思う。
それでも、俺たちがちゃんとついているのだから 、そこまで怖がらなくても、とは思う。
「何なら別に開けなくてもいいんだぞ」
とも言ってやったのだが。
「大丈夫です。もし、当たりの宝箱を引けたときはとてもうれしいので」
そう言って、決して宝箱を開けるのを止めはしなかったのだ。
どうやらお宝を見つけた時の快感はミミックの恐怖に勝るようだった。
まあ、お前がそこまで言うのなら止めないけどな。
ただ常に警戒はしておけよ。
俺はヴィクトリアを見てそう思うしかないのだった。
それはそれとして、本当にハズレの宝箱ばかりである。
本当に当たりの宝箱があるのかと疑ってしまいそうだ。
しかし、ここには別に無限に宝箱があるという訳ではなく、その数は有限ではある。
もう少しで当たりの宝箱に巡り合えるはずだ。
そう信じて、俺たちはひたすら宝箱を開けるのであった。
★★★
そして、その時はやって来た。
「おや?この宝箱、触ってもミミックが出てきませんね。……おお!中から何か鍵のようなものが出てきました」
とうとうヴィクトリアのやつが、数ある宝箱の中から鍵の入っている宝箱を引き当てたのだった。
その鍵には海竜の彫刻が彫られていて、多分本物で間違いなさそうだった。
一応万が一ということもあるので確認しておく。
「ヴィクトリア。その鍵を貸してみな」
「ラジャーです」
「それでは……『世界の知識』」
ヴィクトリアから鍵を受け取り、魔法で確認する。
『海竜の鍵』
『大海溝の遺跡』地下四階の扉を開くための鍵。
鍵に彫られた海竜の彫刻がとてもきれいである。
……以上が検索結果である。
どうやら本物の鍵で間違いないようだった。
その事実を嫁たちに伝えると。
「「「「やりましたね!」」」」
と、嫁たちが大喜びではしゃぎ始めるのだった。
嫁たちの気持ちはよく分かる。
何せこの階層ではハズレの宝箱ばかり開けさせられたからな。
ほとんどがハズレと分かっている宝箱を開けるのは本当につらかった。
これでようやくその苦行から解放されるのだから、嬉しいのは当然のことだった。
さて、これで問題の鍵も見つかったことだし、次の階層へ行こうと思う。
★★★
次の階層の扉は鍵が入った宝箱からそう遠くない場所にあった。
扉を見ると鍵穴がついていたので、ここにさっき見つけた鍵を使えば開くのだと思う。
「鍵はワタクシが見つけたのですから、ここはワタクシに開けさせてください」
ここでヴィクトリアがそうおねだりをしてきたので。
「好きにしろよ」
「ありがとうございます」
後はヴィクトリアに任せることにした。
小説好きのヴィクトリアとしては、簡単な作業で主役っぽく振る舞える封印された鍵開けの作業をやってみたくなってそう言ったのだと思う。
こういう子供っぽい所、ヴィクトリアのかわいい所だと思う。
それで、俺から鍵を受け取ったヴィクトリアは鍵穴に『海竜の鍵』を差し込むとくるっと横に回す。
するとガチャリと音がして鍵が開いた。
鍵を開けた後扉を押すと、スーッと言う音とともに扉が開いた。
それを見て俺は言うのだった。
「さあ、次へ行くぞ!」
さて、次の階層ではどんな地獄風ダンジョンが待っているのだろうか?




