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第508話~大海溝の遺跡 地下三階極寒地獄風ダンジョン ヴィクトリア、念願の小鬼を抱きしめる そして、対決へ~

「青い小鬼?」


 地下三階へのボス部屋への扉をくぐった先にいたのはかわいらしい感じの青色の小鬼だった。

 小鬼は地下一階の赤丸と異なり寝そべったりはせず、部屋の真ん中の椅子に座り、堂々とこっちを見ていた。


 それを見て可愛い生き物好きのヴィクトリアがはしゃぎだす。


「うわー、青鬼の小鬼ちゃんです。可愛いです」


 そして、そのまま走り出すと小鬼を抱きしめてしまった。

 さっきはぐずぐずしていたばかりに小鬼状態の赤丸を抱きしめられなかったから、それを反省しての素早い行動だった。


 それはそれとして、ヴィクトリアに抱きしめられた小鬼が慌てふためいている。


「な、何をするか!我はこう見えてもクリント様からこの極寒地獄風ダンジョンの守護を任されている青丸であるぞ!こんな風に抱き着いてなでなでしていい存在では決してないぞ!離せ!離すのだ!」


 そう言って、ヴィクトリアに抵抗するが、ヴィクトリアは止める気がないらしく抱き着いたままだ。

 そんなわがままな孫を見かねたのか、青丸におじいさんが声をかける。


「すまんな、青丸。私の孫が急に抱き着いたりして」

「こ、これは……まさかクリント様?」

「うむ、久しいな。元気そうで何よりだ」

「は、おかげさまで元気であります。ところで、クリント様、今目の前の女性のことを孫だとか仰っていませんでしたか?」

「そうだ。その子は私の孫のヴィクトリアだ」

「何と!このお方はクリント様のお孫様でしたか!」


 ヴィクトリアがおじいさんの孫だと聞いた青丸は態度を改める。

 それまでじたばたとヴィクトリアを振りほどこうとしていたのを止め、大人しくなる。


 随分急な態度変化だと思うが、相手が上司の家族だと知った以上青丸が抵抗しなくなったのはしょうがないと思う。

 俺だって上司の家族に手を出したりはしないからな。


 それはともかく、態度を改めた青丸はおじいさんに質問を始めた。


「それで、クリント様がここへ参られたということは、やはり『海竜の徽章』を?」

「そうだ。その通りだ。まあ、ゆっくり話してやろう」


 ということで、おじいさんが青丸に経緯を説明してくれるのだった。


★★★


「わかりました。そういう事ならこの者たちと戦いましょう」


 おじいさんの説明を聞いた青丸は、そう言うと戦いの準備をし始めた。

 あ、邪魔だからヴィクトリアは既に青丸から引きはがしているぞ。


「残念です~」


 ヴィクトリアはそう言いながら本当に残念そうな顔をしていた。

 だから、「代わりに俺にでも抱き着いとけ!」と、言っておいたら、「はい!」と、俺に抱き着いて来て大人しくしていた。

 このことでおじいさんには少し睨まれたが、ヴィクトリアも大人しくなったし、俺も気分が良かったりで結果オーライである。


 さて、それで肝心の青丸の方だが。


「はああああああ」


 そうやって青丸が気合を入れると、地下一階の赤丸と同じように、どんどん体が巨大化して行き。


「でかいな」


 俺がそう驚くくらい、大体赤丸より一回り大きいくらいまで体が巨大化したのだった。

 こうして戦闘準備を整えた青丸は俺たちにこう言ってくるのだった。


「さあ、こちらの準備は終わったぞ!かかってくるがいい!」

「ああ、俺たちの方はもとよりバッチリだ!それじゃあ、行くぞ!」


 こうして俺たちと青丸との戦いの火ぶたが切って落とされたのであった。


★★★


 俺達と青丸との戦いが始まった。


「ひとまず集まって青丸の攻撃に備えろ!」


 俺達は青丸がどんな攻撃を仕掛けて来ても対応できるように一塊になり、即応体制になる。

 それを見定めた青丸が攻撃を仕掛けてくる。


「『氷槍』」


 青丸はたくさんの氷の槍を作り出すと、一斉に俺たちに飛ばしてきた。


 これは予想通りの攻撃と言えば攻撃だった。


 地下一階にいた赤丸が灼熱地獄風ダンジョンの主で炎攻撃を仕掛けていたので、極寒地獄風ダンジョンの主である青丸は冷気攻撃が得意なのでは?

 そう考えていたのでこの攻撃は想定内だったのだ。


 ただ攻撃の手数が想定よりも大分多かった。


「軽く三百はあるな」


 青丸が放ってきた氷の槍の数は三百を超えていたのだった。

 中々の数である。

 俺やエリカでも同じことができるが、少し準備をしないと放てない数だった。


 どうやらこの青丸というやつ、かなり魔法攻撃が得意なようだ。

 ……って、そんなことを考えている暇はないな。


 俺達は急いで青丸の攻撃を迎撃する。


「『天火』」

「『炎槍』」

「『火球』」

「『鬼火』」

「『精霊召喚 炎の精霊』。炎の精霊よ!青丸の魔法を迎撃するのです!」


 皆で炎の魔法を放って青丸の攻撃を迎撃して行く。

 こうして青丸の魔法を迎撃できたのだが、青丸の攻撃はこれで終わらない。


「『鬼装装着 氷の鎧 氷の槍』」


 青丸は魔法で氷の槍と鎧を召喚するとそれを装備する。

 そして、そのまま槍を構えると俺たちに迫って来る。

 それに対してリネットとネイアが前に出て迎撃する。


「ネイアちゃん、行くよ!」

「はい!」


 そうやって武器を構えると二人で一丸となり青丸に向かって行く。

 それに対して青丸も本気で攻撃してくる。


「はあああああ。『鬼神流槍術 車輪烈風撃』」


 そんなセリフを吐きながら、槍を振り回し、周囲に突風を巻き起こしながら攻撃してくる。


「「くっ」」


 突然の突風にあおられながらも、リネットとネイアは何とかこらえて青丸の攻撃に対応している。

 ただ少しリネットたちの方が旗色が悪そうな感じだ。


 そんなリネットたちの苦境を見て俺が前に出ることにする。


「リネット、ネイア下がれ!俺が相手をする!」


 俺の指示に従ってリネットとネイアが後ろに下がる。

 こうして俺と青丸の一騎打ちが始まった。


★★★


 青丸は手強い相手だった。


 後で知ったのだが、青丸も赤丸も鬼神という『神』の名前を許されているくらいの高位の鬼で、神の力も一部使えるらしかった。

 リネットたちが手間取ったのもそういう理由だったのだ。


 それで俺と青丸の勝負だが互角だった。


「『神化 氷弾』」


 何と青丸は『神化』魔法まで使うことができるほどの使い手だった。

 これに対して俺も神属性魔法で対応する。


「『神化 天火』」


 そうやって神気を魔法に込め青丸の魔法を迎撃する。

 バンッ!と大きな音がして、お互いの魔法がはじける。

 互いに魔法が通じないと悟った俺たちは次は接近戦を開始する。


「はああああ」

「うりゃあああ」


 互いの剣と槍が交錯し、剣と槍がぶつかる度に衝撃波が周囲を揺らす。


 この戦い、一瞬でも隙を見せた方の負けだな。

 そう感じた俺は、激しい戦いを繰り広げて行く中でも全神経を集中して青丸の隙を伺う。


 そして、しばらく待つうちにチャンスがやって来た。


 ドゴッ、と鈍い音がして天井から大きな氷柱つららが俺たちめがけて落ちてきたのだった。

 どうやら俺たちの戦いの衝撃のせいで天井から落ちてきたらしかった。


「くっ」


 氷柱が落ちてきたのを見て青丸が一歩引いた。

 もちろん氷柱を避けるためだ。


 本当ならば俺もそうすべきだったのだろうが、俺はここで賭けに出る。

 後ろに引く青丸に対して、逆に前に出て攻撃を仕掛けて行く。


 そして、そのまま必殺剣を放つ。


「『フルバースト 一点突破』」


 ここぞとばかりに全力を込めた渾身の一撃を青丸に放つ。

 俺に必殺の一撃を向けられた青丸は、俺の攻撃を槍でいなそうとするが。


「何!」


 それでは俺の一撃を防ぐことはできず、槍を真っ二つにされ体勢を崩してしまう。


「おりゃあああ」


 体勢を崩した青丸に対して俺は強力な蹴りを入れる。

 すると、青丸は派手に吹き飛び、地面の上を数回ゴロゴロと回転した後、壁にぶち当たって止まる。


 そんな青丸に俺はゆっくりと近づくと、剣を突き立てこう言うのだった。


「どうだ!まだやるか?」

「ま、参った。我の負けだ」


 剣を突き立てられた青丸はあっさりと降伏した。

 俺達の勝利だった。


★★★


「皆様、それではお気をつけて」


 戦いに勝った俺たちを、赤丸の時と同様、青丸は爽やかな態度で送り出してくれた。


「ああ、お前も元気でやれよ」


 そんな青丸に対して、俺たちも爽やかに挨拶を返して、地下三階の扉を開け、先の階層へと進んで行くのだった。


 さて、これで地下三階まではクリアだ。

 この先にはどんな試練が待っているのだろうか。

 期待半分、ドキドキ半分で俺たちは進んで行く。

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