第506話~大海溝の遺跡 地下二階針山地獄風ダンジョン 力の試練をクリアしろ!~
「『力の試練』ですか?」
ヴィクトリアのおじいさんの口から『力の試練』というキーワードが出てきたので、何か情報を聞き出せないかと思い、おじいさんに聞き返してみる。すると。
「その通りだ。この遺跡では階層ごとにお前たちがクリアすべきボスか試練を用意しておる。そして、この階層の課題は『力の試練』だ。見事クリアしてみろ!」
との返事が返って来るのだった。
どうやら試練の具体的解決方法については教えてくれるつもりは無いようだった。
そう言えば獣人の国の時も、ヴィクトリアのお父さんは決して試練の解決方法を教えてくれたりはしなかった。
どうやら神々の間では、この手の試練では俺たちに解決方法を教えてはダメという暗黙のルールがあるらしかった。
まあ、いい。 こうなれば自力で解くだけの話だ。
そう考えた俺は、無い頭を使って必死に考えるのだった。
★★★
俺は戦いながら必死に考えた。
考えに考えた。
そして、あることに気がついた。
「ここの魔物って、倒しても倒しても出て来るけど、このフロアにそんなに魔物が生息しているものなのか?もしかして、誰かが次々に魔物を作り出してそれが出てきているのでは?」
そう考え、魔物の製造者の存在を疑った俺は魔物の動きを観察する。すると。
「どうやら魔物どもはあっちの奥の方から出てきているみたいだ」
魔物の群れがこのフロアのある部分から湧き出てきていることに気がついたのだった。
それに気がついた俺は仲間たちに指示を出す。
「おい!ここの魔物たち、あっちの方からまとめて出てきているみたいだ。ということでここらの魔物をまとめて排除して、一気にあちらの方へと向かうぞ!」
「はい!」
俺の指示を受けて全員が一斉に動き出す。
「『極大化 天爆』」
「『極大化 大爆破』」
「『極大化 大爆破』」
まず俺とエリカとホルスターがいざという時のために温存していた魔力で大魔法を発動し、魔物の群れの排除にかかる。
ドガーンというすさまじい音とともに、魔物たちの体が砕けて行く。
そして、そこにリネットとネイア、ヴィクトリアが突っ込んで行く。
「『閃光雷撃突き』」
「『武神昇天流奥義 龍破撃』」
「風の精霊よ!魔物たちの核を破壊するのです!」
そうやって魔法で体が砕け核がむき出しになった魔物たちの核を壊していき、とどめを刺していく。
こうやって、目の前の魔物たちを一気に排除した俺たちは一気に目的の方へと進んで行く。
★★★
「見つけたぞ!」
魔物を排除して先へ進むと目的の物を見つけた。
目的の物はどうやら工作機械のような魔道具で、真ん中に真っ赤な魔石が埋め込まれており、周囲を透明の硬質性のガラスのような膜で囲まれていた。
そして、真ん中の魔石が光る度に魔物たちが誕生して行っていた。
どうやら目の前の機械が魔物たちを生み出している元凶のようだ。
「『天爆』」
試しに俺はその機械に対して魔法を放ってみた。だが。
「何!効かないだと!」
魔石を覆う透明な膜があっさりと魔法を弾いてしまった。
こいつ、もしかして魔法がきかないんじゃあ。
俺がそう思っていると、ここでおじいさんが口を挟んできた。
「ほほほ。どうやら魔法が効果なくてお困りのようだな。そんなお前たちに一つ教えてやろう。ここは『力の試練』だと言っておいただろう。ということは……」
なるほど、あの機械を止めるには力づくでやるしかないという事か!
そうと分かった俺はおじいさんにお礼を言い、仲間たちに指示を出す。
「ありがとうございます。そして、みんなそういう事らしいから力づくであれをぶっ壊すぞ。ということで、俺とエリカとホルスターと銀で湧き出てくる魔物たちに対応するから、その間にリネットとネイアの二人で機械をぶっ壊してくれ!」
「はい!」
こうして俺の指示を受けたメンバーたちは一斉に動き出した。
★★★
「『八門遁甲の術』」
まず銀がホルスターの後ろに隠れながら幻惑の魔法を唱える。
「ウガ?」
核で動くような魔物はそんなに頭が賢くないやつが多いので、銀の妖術に惑わされてたちまち魔物たちの行動パターンが狂い、明後日の方向へバラバラに動き始める。
「『極大化 防御結界』」
敵を惑わしたところでヴィクトリアが魔法で防御を固める。
「『極大化 天爆』」
「『極大化 大爆破』」
「『極大化 大爆破』」
そこへ俺とエリカ、ホルスターの三人が魔法を放つ。
今回の魔法は先程と異なり、効果範囲が狭いかわりに威力が高いように設定して放っている。
これを魔物の核めがけて放ち核ごと魔物を粉砕するつもりなのだ。
この思惑は思い通りに行った。
「パパ、やったよ!」
「良くやったな、ホルスター」
「その調子よ、ホルスター」
魔物核ごと吹き飛ばすことに成功したホルスターが、俺とエリカに褒められてうれしそうにしている。
威力を高めた爆発魔法で覚悟と魔物を攻撃する作戦はうまく行き、俺たちは順調に魔物を排除できている。
そうやって俺たちが魔物を寄せ付けないでいるうちにリネットとネイアが頑張って機械の破壊に着手する。
「『一撃両断』」
「『武神昇天流奥義 龍破撃』」
リネットは大斧、ネイアはカイザーナックルを装備して機械に対して攻撃を仕掛けて行く。
先程の俺の魔法ではびくともしなかった膜だが、リネットたちの打撃攻撃は効果があるらしく。
「うん、少しずつ削れている感じがするね」
「この調子で頑張りましょう」
二人の攻撃で確実に膜を削って行くことに成功していた。
ただ壊されそうな機械の方も必死で、段々と魔物の製造速度が上がって行き、俺たちが対処すべき魔物の数が増えて行っていた。
このままではやばいかも!
そう思った俺はヴィクトリアに指示を出す。
「ヴィクトリア!超聖石を取り出してリネットとネイアに神気を補充しろ!」
「ラジャーです」
「リネットとネイアは補充された神気を使って一気にケリをつけろ!」
「了解だよ!」
「はい!」
こんな風に俺に指示を出されたリネットとネイアはヴィクトリアに神気を補充してもらい、最強の一撃を出す準備をする。
そして……。
「『フルバースト 飛翔脳天撃』」
「『フルバースト 武神昇天流 龍殺飛翔撃』」
二人同時に飛びあがって、機械の魔石目掛けて攻撃を仕掛ける。
二人の強烈な攻撃を同時に受けた機会を防御していた膜はパリンという甲高い音を残して粉々に破壊され、さらに。
「「行けええええ!!!」」
二人の攻撃は膜を破壊するだけではとどまらず、機械の中心である魔石を直撃する。
二人の攻撃を受けた魔石はひとたまりもなく。
「「やった!!」」
二人の攻撃により真っ二つに割れ、機械はプッツンという意図が切れたような音を残して機能停止するのであった。
「お!機械が止まったら、魔物たちも動かなくなったな」
そして、機会に操られていた万野たちも支配者がいなくなりピタリと動かなくなるんだった。
「これで、ここもクリアだな」
こうして俺たちは『力の試練』を突破したのだった。
★★★
地下三階へと続く階段への扉は機械のすぐ後ろにあった。
「さあ、行くぞ」
地下二階『針山地獄風ダンジョン』をクリアした俺たちは、扉を開けるとゆっくりと下へと降りていった。
さて、これで地下二階までクリアだ。
次の地下三階ではどんなダンジョンが待っているのだろうか。
楽しみ半分、嫌な予感半分の気持ちで俺たちは進んで行く。




