表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/740

閑話休題4~女神のつぶやき 指輪の件の裏話 そして……~

 モンスター討伐が終わってすぐの頃。


 ワタクシ、ヴィクトリアはリビングのソファーで本を読みながら寝そべっていました。

 王子様がお姫様を魔王から救い出し、結婚しちゃうという内容です。


 そのラスト、王子様がお姫様に指輪を渡してプロポーズするという場面を読んでいるとき、エリカさんがやってきました。


「ヴィクトリアさん、またゴロゴロして」

「ええ、だって」

「だってじゃないですよ。ほら、服にしわがついてるじゃないですか。もっとちゃんとしなさい」

「はい」


 ワタクシは起きてソファーに座りました。


「あら」


 その時、エリカさんが何かに気づいたようで、ワタクシのことをジロジロ見てきます。


「ヴィクトリアさん、髪の毛がずいぶん傷んでいるようですが」

「えっ」


 ワタクシは目を丸くしました。


「やだなあ、エリカさん。女神であるワタクシの髪が痛むなんてあるわけないじゃないですか」

「でも、今は力を失って人間と変わらないんでしょう。だから傷んだんじゃないですか。あなた、私が教えた髪の手入れとかさぼっているようですし」


 ワタクシは慌てて自分の髪を触った。確かにパサついている感じがする。ワタクシは泣きそうになった。


「ねえ、どうしたらいいですか」

「傷んだところを切るしかないですね」

「切るって、どのくらい」

「そうですね」


 エリカさんはワタクシの耳の上の位置で髪を掴み、手で切る真似をして見せた。


「ベリーショートくらい?」

「ベリーショートお!?」


 ワタクシは腰が抜けそうになった。そんなに切りたくはなかった。何とかならないか聞いてみる。


「そんな男の子みたいな髪型は嫌です。何とかしてください」


 ふふふ、とエリカさんは笑う。


「冗談です。痛みがひどいのは毛先だけですので、今回はそこを切れば大丈夫です」

「よかった」


 ワタクシはほっと胸をなでおろしました。


「ただし、他の所にも痛みの兆候は出ていますからね。これ以上放っておいたら、次はべリ-ショートコースですよ。それがいやだったら、ちゃんとお手入れなさい」

「はい」

「よろしい。それでは今から髪を切ってあげますからこっちへ来なさい」


 そう言うと、エリカさんはお風呂に椅子を置き、ワタクシをその上に座らせた。

 そして、ワタクシの体に布を巻くと、髪に霧吹きでシュッシュと水をかける。


「では切りますよ」


 エリカさんが髪にはさみを入れる。

 チョキ。チョキ。

 傷んだ髪の毛、毛先から5センチくらいが落ちていく。


「エリカさんって何だかおばあさんみたいですね」

「おばあさん?……ヴィクトリアさん、今、一思いにベリーショートにしてくれって言いましたか」


 バカにされたと勘違いしたのだろう。エリカさんはそう言うと、本当にワタクシの髪を掴んで根元から切ろうとしたので、ワタクシは慌てて弁解する。


「違います。おばあさんというのは、”ワタクシのおばあ様”のことです。おばあ様には昔よく髪をとかしてもらっていたので」

「ああ、そういうことですか」


 エリカさんは、髪を掴むのをやめた。危なかった。もうちょっと弁解が遅かったら本当にベリーショートにされるところでした。


「エリカさん、おばあ様みたいに優しいんですもの。きっと、おばあ様みたいにワタクシを大事に思って下さっているのでしょう」

「そうでもないかもしれませんよ。現にあなたが最初家に来た時、この旦那様を狙うクソ女め、と思っていましたけど」

「えっ、そうだったんですか」

「安心なさい。今はちゃんと家族だと思っていますよ」


 そう言うとエリカさんは髪を切るのを中断して、ワタクシの頭を撫でてくれました。とても暖かい手でした。


「そういえば、何の本を読んでいたのですか」


 言っていて照れくさくなったのでしょう。エリカさんが話題を変えました。


「えっと、、魔王から救い出されたお姫様が王子様と結婚する話です。お姫様が王子様から指輪をプレゼントされるところまで読んでました」

「指輪ですか」


 エリカさんが何かを思い出したような顔つきになる。


「そういえば、前に男の人から指輪をプレゼントされたいって言ってましたね。誰か相手の候補はいるのですか」

「いえ、そんな人はいませんけど」

「だったら、旦那様にもらったらどうですか。今度私の指輪を買いに行きますから、その時にでも」

「え、でもワタクシは、そのホルストさんとは」


 フッと、エリカさんは笑う。


「あなたも旦那様もお子ちゃまですね」


 なんか意味深なことを言う。


「まあ、いいです。とにかく買ってもらいなさい」

「でも、今回はエリカさんの」

「私がいいと言っているのですから、いいのですよ。ほら、ここでもらわないと後悔しますよ」

「そこまで言うのなら」

「では、作戦を練りましょうか」


 ワタクシたちのガールズトークは、散髪が終わった後、夕刻まで続いたのでした。


★★★


「エリカさんの言う通りにしたら、本当に指輪を買ってもらえました。嬉しいです」

「良かったですね。大事にするのですよ」


 そして、後日エリカさんの指示通りうまく立ち回ったワタクシは見事指輪をゲットできたのでした。


 と、こんな感じでエリカさんやホルストさんたちとうまくやっているワタクシなのですが、その後ちょっとした事件が起き、それによってさらに二人との距離が縮まり仲良くなることになるのでした。


 え?それはどういう事件かって?


 それは次回からのお楽しみです!

2章は以上となります。

いかがだったでしょうか。

楽しんでいただけていれば幸いです。


次からは3章になります。

22時ごろ投稿します。

ご期待ください。


この作品を読んで面白いと思われた方、興味があると思われた方は、ブックマーク、このページ下の方の評価のクリック、感想などお願いします。


していただけると作者非常にうれしいので、モチベーション上がりまくりです。


何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ