とある空の密室にて……
今日は久しぶりの海外旅行!
さぁ、思う存分楽しみぞ!
……なんて、楽しさ極振りで飛行機に乗れたらどんなに良かったことか。
只今僕は、傷心旅行でアメリカへと行こうとしているところ。
友人には裏切られ、彼女にはフラれ、バイトは上手くいかず、心がズタボロにされた俺が1人で行く旅行。
……本当ならこの旅行も彼女と2人で行く、とても楽しい旅行になる予定だったのにな~。
そんな訳で俺は一人寂しく飛行機に乗っているという訳だ。
まぁ、仕方がない。
逆に1人だからこそ自由に楽しもうでは無いか。
……予算が足りる範囲で。
そんなことを考えていると食事の時間になった。
美人なCAさんが食事を渡しまわっている。
そして俺の番になった。
「ビーフorチキン?」
……何と言うか、このまま答えるのがなんか勿体ない気がした。
どうせ、何もかもが嫌になった傷心旅行だ。
ちょっとぐらい吹っ切ったって良いだろう。
「……you」
そう考えた俺はそのCAさんを指さして、そう言っていた。
流石に引かれるか……?
引かれないまでも俺の食事は期待しない方がよさそうだ。
そうドキドキしながらCAさんの反応を待っていると、
「フフッ、私を食べてくれるの?」
「!」
めっちゃ妖艶な表情で凄いこと言うやん!
……こ、これは予想外だったな。
ドキッとしてしまった。
「いえいえ!なんでもありません、すいません。」
俺は慌ててそう言う。
CAさんも俺が冗談で言ったことを分かっていたのか、慌てて謝る俺の姿を見て、「ふふん」と笑って、食事を俺の机に置く。
あれ?俺、どっちが良いか言ってないはずなんだけどな……
そう思って、机に置かれた食事を見て俺は納得する。
「あはは、なるほどね……」
机に置かれていたのは「チキン」だった。
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「とある空の密室にて……」を読んでいただきありがとうございます。
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