宇宙の真理ですの!
「エビフライが空高く泳いでいる、さしずめ、此処はエビフライハイランドといったところですわね」
周囲を眺め、私は冷静に状況を整理した。
ふと、助けを求めているような視線が突き刺さる。
どうやら彼女は事情を飲み込めずにいるようだ。
「エビフライの後を追えば、近くの集落に辿り着けるはずですわ」
私は続けざまに彼女の手を取り、大きな一歩を踏み出した。
この場所のことは、この場所の住人が一番よく知っている。
ましてや未知の世界へ足を踏み入れたのだから、当然だ。
――あれから、どれだけ歩いただろうか。
「ああ、腕時計くらい持ってくるべきでした…」
彼女は今にも消えそうな声で嘆いた。
私は元の場所で拾ていた石と棒を使い、即席で地面に日時計を描いた。
「二つ太陽があるのだから、元の世界とは計算方法が違うと思いますけれど」
何も手がかりがない今、それだけでも大きな収穫である。
影の位置とサーカスの現場で培った体内時計から、およその時間を割り出す。
「概ね2時間、距離にして3万エビフライといったところですわね」
そう、この世界は私の大好きなエビフライが全ての基準。
恵みの海へ飛び込んで、私は今、水を得た海老のよう。
「それにしても、あの二つの太陽、変ですよ」
ふとした疑問を彼女は口にする。
「大きかったり小さかったり、でも二つは同じ大きさにはならない…そうですわね、きっとこの太陽のまわりを八の字に高速で公転しているのですわ」
今、この世界のもやもやが一つ去った気がした。
ふと目を向けると、どうしてわかるのか、とでも言いたげな表情を返してきた。
「博識だからよ」
私は満面の笑みで答えた。