1.プロローグ
皆さん、初めまして!
この作品は初めて書いたのでダメなところがたくさんあると思いますが、どうかあたたかい目で読んでくれるとありがたいです。
「お前、今から魔王な」
見渡す限り黒で統一された部屋の中、僕は唐突にそんな事を告げられた。
突然過ぎて何がなんだか分からない。
この壁や天井などが全て黒い部屋の中で、唯一黒じゃないのが部屋の奥にある赤い椅子。
その王様が座る様ないわゆる玉座に一人の男が腰掛けていた。
だが、そこに座っていた男はお世辞にも王様とは言えない風貌だ。
ニヤニヤと僕を見ながら笑っている様子が、染めているみたいに赤い髪と相まってどこかの不良の様な印象をうける。
顔は恐ろしい程整っていて、はっきり言ってイケメンなのが腹立たしい。
玉座の上で足を組む姿はムカつくが正直絵になる。
もうちょっと表情を作ればどこかの雑誌で表紙を飾れそうな程だ。
付け加えることがあるとすればイケメンは嫌いだ。
服は上下とも青い服に赤いマントというコスプレみたいな格好なのに、着こなしているのか意外と違和感がない。
男はニヤニヤと口元は笑っているが、獣の様なギラギラとした鋭い金色の瞳でじっと見られているせいか本能が『逃げろ』と危険信号を発しているのが分かる。
なのに身体がまったく動いてくれない。
これがいわゆる恐怖で身体が動かないというやつなのだろうか。
…漫画とかで今と似た場面を見て「いやいや、こんな事ある訳ないでしょ」と心のどこかで思っていた。
だけど、いざこんな状況になると本当に恐怖で身体が動かないんだなと現実逃避をしている自分がいる。
そんな事を考えていると少しずつ冷静になってきたのか、どうしてこんな状況になったのかを探る為に僕はここ数分の出来事を思い出す。
***
僕を一言で言うと普通の高校生だ。
漫画やドラマ、アニメが好きな普通の高校生。
そんな僕は卒業が近づいていた。
勉強が小学校の頃から苦手で嫌いだった僕は大学に進学するのは死んでもごめんだと思っている。
このご時世、明らかに不利になるのは分かっていても、勉強したくない方が勝ってしまったのだ。
という訳で就職以外ほとんど道がないんだけど、はっきり言って夢や目標がない。
そもそも僕が出来る事なんて《自分で言うのもどうかと思うけど》全くといっていいほどない。
元々基本能力が低かった僕は嫌いや面倒くさいという理由で努力することをしてこなかったツケがきてしまった様だ。
そして夢も目標も能力もない人間がここに出来上がってしまったのだが、そもそも大学に行くにしてもさっき言った通り頭があまりよろしくないので名前を書いたら合格できます!みたいな学校でも無い限り、多分無理だろう。
しかも、家はそれほど裕福ではないどころか借金をしている始末。
まあ、少しずつ返せているので上向きっぽいけど。
つまり、金銭面的にも無理なのでどうにもならない。
と、改めて現実に打ちのめされて、思わず遠い目で虚空を眺めてしまう。
そろそろ色々な意味でつらくなってきたので、僕の面白くもない身の上話もここまでにして、ようやく本題へと行こう。
ここまで興味もない身の上話に付き合ってもらって申し訳ないがそれほど難しい話ではない。
覚えていることを端的に言うと、気が付いたら知らない部屋に居た。
言葉にするとただそれだけだったのだ。
よくある異世界もので主人公が死んだり、それがきっかけで異世界転生したりしてるが、僕はそういった心当たりが全くない。
最後の記憶を思い出してみる…。
確か、週刊少年漫画の鬼を倒す漫画の最終回を読もうとして…うわぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁさいっっっあくだ…。
読もうとして雑誌を手に持ったところ以上の記憶がない…。
っていうか、ぶっちゃけ雑誌を手に持った記憶とかいらないんだけど!その後の読んでる記憶が欲しいんだけど!!
死んだのかなんなのか知らないけど、…けどせめて死ぬのなら最終話を見てから死にたかった。
っていうか、なんで死んだ?
ぱっと思い浮かぶ死因を考えてみる。
・病死
生前?のかかっていた病気は主にアトピー性皮膚炎やアレルギー、喘息くらいのものだ。
あとはたまに風邪をひくぐらいでインフルエンザにすらかかったことがない。
少なくとも覚えている限りは命に関わる病気にかかったことがないから除外。
・事故死
家で漫画雑誌を読んでどうやって事故に遭えと…。
仮に事故で死んだとして家でどうやって防げばいいんだ。
てな訳で除外。
・過労死
そもそも過労死するほど熱中することや仕事がなかった。
除外。
・老衰
18歳で老衰って…。
うん。思い当たる死因がない。
きっかけはやっぱり僕じゃなくてあちら側、異世界の方にあるのではないだろうか。
やはり物語の定番、儀式や召喚の類だろうか?
何故、僕だったのかがさっぱり分からないけど。
普通の人の方が僕よりよほど優れているだろう。
外見的にも性格、更に身体能力や頭脳という面においても…。
自分で言ってて悲しくなってきたが、事実なので仕方ない。
…悲しくないぞ、ちくしょう。
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