第二話 異世界 アスタリスク
「ぅう、ここは…どこだ?」
辺りは白い不思議な空間に包まれていた。
ここに来る前の光にも似た空間の中だった。
気掛かりな事はそれだけではない、あの後どうなったのか
ここが死後の世界なのか、考えたくはないが当然そうであっても
おかしくはない状況だったのだ。
「おはようございます。タカトさん」
「あ、あなたは?初めまして?」
そこにはこの世も者とは思えない程、美しく、神々しく
息をすることも忘れすような美人が立っていた。
「はじめまして、私はタカトさんの住まわれていた地球とは違う
アスタリスクという世界の創造神をやっております。
名はシスティーナと言いますので以後お見知りおきを」
創造神たるシスティーナの動き、言葉、全てが美しく
異世界やら、そう言った内容が頭に入らない程タカトは
見とれてしまっていた。
「……ご丁寧にありがとうございます!
創造神様に会えるとは思っていなくて…」
「システィーナ、そうお呼びください。
タカトさん、疑問があればお答えします。
何なりとおっしゃってください、私にはあまり時間が残されておりません。」
時間が残されていない?タカトは気になったが、そこには触れないでおく事にした。
今重要なのは自分の、置かれた状況なのだ。
「ではシスティーナさん、僕は死んだのでしょうか?」
「やはりそこが、気になるところでしょう。
タカトさん、あなたを含め あの地域に住んでいたものは皆生きております。
もちろん妹さんも生きております。
それから、システィーナとお呼びください。」
タカトは安堵した、死んでいないと分かった以上
妹の安否は最重要事項だった。
「そこが引っ掛かりますか?
では恐縮ですがシスティーナと呼ばせていただきます。
いきなりですが、これからどうなるのでしょうか?」
創造神システィーナ、恐らく彼女があの巨大隕石から救ってくれたのだろう事は
容易に想像できた。
地球の神はその間どうしていたのだろうとすら思ってしまうが、
そもそも地球に神が存在しているのかすら不明である。
「これからは地球にお返しすることは大変難しいので
アスタリスクで生活していただくことになります。
タカトさんの住んでいた、ラノベでいう所の異世界転移というやつです。」
ラノベ!そうラノベでは主人公が不慮の事故で亡くなったり、急に魔方陣が現れて
異世界に転生したり、転移したり様々な物語がタカトの周りでも人気を博していた。
「神様からラノベというワードが出るとは、
しかし、転移となると一体どのくらいの人数になるのでしょうか?
それと、いきなり生活なんてできる様なイージーモードなのでしょうか?」
「ラノベの件はさておき、質問にお答えしましょう。
まず人数ですが、1万115人です。
この方たちにつきましてはこちら、神界で神々と議論の末 転移先の選別は
すでに終了しております。
イージーモードかどうかは分かりませんが、転移先の知識や読み書きにつてはこちらで
転移者の方々には情報をプレゼントしております。
タカトさんも転移先に到着すればこの意味が分かると思います。」
唖然としていた、1万115人 システィーナが救った人数と言っても間違えではないのだ。
「振り分けって?
そもそも神々ってことは神様はシスティーナだけではないってことですか?」
「振り分けですが、現状アスタリスクには6つの大陸が存在します。
1か所にその人数を転移するのではなく、6か所に振り分けて転移することで転移先の国の負担を
減らそうと考えたのです。
アスタリスクでは神は認知されており
聖女と呼ばれる者は教会にて私たちと会話することが可能なのです。
各国の聖女には今回の説明は済ませてあります。
転移者には各国しっかりした対応をしてくださるはずです。
そして神界は人界と同じく、小さな力を持った神から
私のような創造神など多くの神が存在しております。
今回の転移で動いた神は上級の私を含め6神です。」
振り分けとはバランスのを取るための措置だったのか、
聖女に神々とはまたファンタジーな世界なのだと実感する。
「国の負担があるってことはラノベみたいに いきなり放り出される訳ではないんですね。
あ、もしかしてアスタリスクって魔法とか使えたりします?」
「いきなり放り出したりはしませんよ。
各国の都市の近くに私たちは土地を準備しました。
一年間は私たちが渡すシェルターで生活するようになると思います。
分かりやすくいえば簡易的な家です そして各国には一年間納税はさせないように
指示は出しております。
一年で生活の基板は築いてほしいのです。
そして、魔法については存在しますが、全ての人が平等に使えるものではないのです。
魔法には適性が存在し、適性がない属性の魔法は使うことすらできないのです。
そして、ステータスも存在しております。
念じると自分にだけ見えるステータスウィンドウが視界に表示されます。
教会やギルドではそのステータスを特殊なプレートにしてもらうことも可能です」
やはり魔法は存在するようだった 男の子なら誰もが一度は夢見た
世界だろう。
ステータスとはまたよりゲーム感をかもしだす。
「タカトさん、そろそろ時間のようです。」
システィーナの体が半透明になっている。
これもまた、神秘的で美しいと思ってしまうのだ。
「システィーナいろいろ説明ありがとう。
アスタリスクでは頑張ってみるよ!」
それを聞いてシスティーナは優しく微笑んだ。
「タカトさんの活躍、楽しみにしています。
最後に何かありますか?」
システィーナは優しく微笑んだ。
タカトは恐らく今後会うことのないであろうシスティーナに
とんでもないお願いを思いついた。
「最後に、システィーナ一目見た時から好きになりました。
結婚してください。」
タカトにとっては人生初のプロポーズだった、しかも神様に
「ありがとう。しかし私は結婚することはできません。
神には結婚という概念がないのです。
餞別です。」
するとシスティーナはタカトの頬に優しくキスをした。
「あなたには幸せになってもらいた。
私とではない他のだれかと。
もしまた会うことがあればお話ししましょう。
今ではない未来のお話、楽しみにしています。
どうか、お元気で。」
そう言い終わると、白い光の空間は一層の光を増し
タカトの意識は暗転した。
ピコーン!
「固有スキル 創造神の加護」