第一話 町の消失
ゴゴゴオオォー
「何じゃありゃ~!!」
”それ”に気付いたと同時に、走り出していた。
全力疾走中の彼、杉森鷹人はこの町に住む大学生であり、
この物語の主人公である。
整った中性的な顔立ち、黒くさわやかなショートヘアー
女の子にはモテるが、絶賛彼女募集中の20歳なのだ。
「無理だ、あんなの~!」
思わず口にした言葉、事態の深刻さを理解している鷹人は
これ以上のセリフが見つからなかった。
いや、見つけようとすら しなかった。
決して表現力に自信がないわけではない
しかし、それほどまでに衝撃的な事が 今まさに起きているのだ。
「どうする!どうすれば助かる!!麻衣は!」
この緊急事態だからこそ、出た名前であり
鷹人にとってはただ一人の家族、妹の名前だった。
ゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォー
”それ”は勢いを緩めることをしなかった。
大気が振動し、ジェットエンジンの何倍もあるであろう
大きな音を周囲にばらまいている。
到底逃げ切れる物ではない圧倒的なまでの存在感。
鷹人の絶望を確信に変えるべく迫ってきていた。
そう、無理なのだ。
鷹人は足を止め、背後に迫る”それ”をただただ見つめ、
追いつかない思考で精一杯の感想をひねり出した。
「なんてでけぇ隕石だ…」
その隕石は衝撃映像などの映像でみるサイズとは規模が違うものだった。
逃げることすら諦めるサイズであり、この街一つを
一瞬にして消滅させることのできる巨大な隕石だったのだ。
「…!!」
鷹人は隕石以上に衝撃的な事を目の当たりにする。
「なんだ!?」
鷹人の体が光を放っていた。
しかし、その光は鷹人の体からではない事にすぐに気が付いた。
全てだった、自分が視認できる全てが光を放っていた。
その光の正体が何なのか、それを知る術もなく
ましてや隕石はすぐそこなのだ。
鷹人は考えることを止めた、そうすることが最善だと…
そう思えたからだ。
「うわぁ!!」
光がより一層強くなり、目など開けていられない程になる。
それと同時に鷹人の意識は光に飲み込まれたのである。
この日、日本から一つの街が消失した。
初めまして。
中の人と申します。
本作品が、処女作になります。
至らない点等、多々出てくると思いますが、
生暖かく見守ってやってください。