レイン商会
―――――――――夕方
早めに帰ると言っていたルークの父が大魔女アルフィナを連れ、家に帰って来た。
「なるほど、この子かい?ルークが連れ込んでる女の子ってのは…」
挨拶をしようとアルフィナの前に姿を見せると上から下まで観察され、思わずルークの後ろに隠れしまう花音。
「なっ………!!父上!御祖母様にどんな説明をされたんですか!朝、あれほど違うと申し上げたはずです!」
「いやぁ~私は何も嘘など言っておらんよ。見たまま、そのまま伝えただけで、どう判断されるかは御義母様しだいで…」
そう言って視線をそらす
「か、花音を連れて来たのは、御祖母様に用があったからです!」
「なんじゃい…私にかい?……どうやら、長くなりそうし、晩餐でも頂きながら、聞こうじゃないかい」
長いテーブルに皆で席についた。
ウィルは今日も帰らずに一緒に食事をするようだ。
運ばれて来た食事に皆で舌鼓をうちながら、ルークが切り出す。
「実は花音とはシロンスの森で出会いました。」
「そんな所に1人で居たのかい?」
意外そうに花音を見つめるアルフィナ。
「いえ、居たと云うよりは……俺達の前に突然現れました。あの山小屋の魔法陣上に」
「「!!!」」
その言葉を聞いたジークとアルフィナは固まったように動かない。
先に声に出したのはジーク。
手が微かに震えていた。
「まさか…そんなはず…………」
そんなジークとはうらはらにアルフィナは面白そうな笑みで話しかける。
「ふ~ん…なるほど。それで私に用があったって訳だね………で、彼女、花音を元の場所に帰したいとか、そう云う話かい?」
「はい。……難しいのは分かっています。ですが、あの魔法陣はずっと研究が進められていたはずですよね?他の誰にも出来なくても、母と同じ5属性持ちの俺なら!」
「確かに、可能性はあるかもしれない。だがあくまで可能性というだけで確実じゃないよ………それと、花音、あなたも5属性持ちだね?違うかい?」
確信めいた目で問いかける
「あ、はい。そうです。ウィルに確認して貰って、5属性だと言われました」
「やはりそうかい。なら学園都市に来なさい。表向きは私の弟子という事にしとくから」
(な、なんだか、あれよ言う間に私の今後の拠点が決まってしまった…だけど、表向き大魔女の弟子って…大丈夫なんだろうか?)
不安そうにしていると隣に座っていたウィルが嬉しそうに
「大丈夫。今年から僕も王立学園に通うから学園都市の寮に入るんだ。ルークだって今は帰省してるだけだし!」
なんと、2人は王立学園の学生さんだったのか…
「じゃあ、向こうでも会えるのね。少し安心した」
「とりあえず、着の身着のまま来たんじゃ、何も持って無いじゃろ…明日、買い物に付き合ってあげなさい。まぁ荷物持ちは男手で十分だが、女の子が欲しいね…誰か買い物につきあってくれそうな知り合いは居ないのかい?」
ルークとウィルが顔を見合わせ
ウィルが答える
「買い物に付き合ってくれそうな子に少し心当たりが…」
「そうかい。なら決まりだね!明日、これで必用な物、揃えてきなさい。」
そう言ってお金が入っている袋を私に手渡してきた。
ウィルは明日の待ち合わせ場所を決めると、帰って行った。
ふと、視線を感じて振り向くとルークの父ジークと目が合った。
「おやすみ、ゆっくり休みなさい…」
そう一言だけ告げると書斎に向かってしまった。
結局、ジークとは会話らしい会話をしなかったなぁと後になって思うのだった…
―――――――――翌日
ルークと一緒にウィルとの待ち合わせ場所に行くと、ウィルが髪の短い赤毛の女の子と一緒に待って居た。
「おはよう。ルーク、花音。この子はレイン商会の娘でイーリス…で、こっちがさっき話してたルークと花音。」
ウィルが簡単に紹介を済ませると
「初めまして!イーリスよ。イリスって呼んでくれて構わないわ。私も王立学園に通うの。向こうでも、よろしくね!」
そう言って手を差し出してくる。
「花音です。女の子の知り合いが出来て嬉しいです。」
花音は握手に応じながら、笑顔で応える。
「へぇ~、商家の娘なのに、王立学園に通うなんて、凄いんだね。イリスは」
「せっかく魔力が高いのに使えないままなんて勿体ないじゃない。自分の力を試したいの。気の合う仲間を集めて冒険してみたいと思ってるし、まぁ、いずれは家を継ぐ事になるけど、王立学園の卒業生になれば学園都市にフリーパスで入れるし、将来の販路開拓にもなるでしょ」
「なるほど。さすが商家の娘だけあって将来の事まで織り込み済みってわけだ」
ルークとイリスの会話を聞きながら、疑問に思う
ん?
卒業生ならフリーパス?
学園都市ってパス…入場許可証が必要?って事なのかな?
まぁ、私の場合はアルフィナ様の弟子の扱いだから、たぶん大丈夫だろうけど…
一応、確認してみると
学園都市には王立学園に入れるほどの魔力が無いと行く事が出来ないとの事。
ただし、魔力の無い者、
例えば商人等は通行許可証の魔導具か必用で、
それも数回使えば籠められている魔力が減ってしまうので、新たに補充して貰わなければならないとか…
それも補充認定を取得すれば、イリス自身で補充も可能になり、店の者が使う事が出来るようになるそうだ。
冒険をしてみたいと夢見る娘を少しくらい自由にさせても、商人にとってはおいしい話なのだろう…
イリスの案内でご実家の商会、レイン商会に。
エトワールでも3本指に入る大店でなんでも揃うとか…
ルークとウィルは女性は買い物が長いからとイリスに任せ帰りに合流する事にし別行動に。
まぁ、確かに下着とかも欲しいし、
ずっと一緒だと、買いたい物も買えないしね。
ただイリスと一緒だと、
なんと言うか商売上手と云うか、
あれやこれやと勧められ、
本当に必用な物を厳選するのが大変だったりしたけれど…
どうにか必用最低限の物は揃えられたかと思う。
迎えのルーク達と合流にし、荷物を馬車に運んで貰い帰途へ着くのだった…
久々に同年代の女の子との買い物は異世界であっても楽しかった。




