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庭でのひととき…

――――――――翌日



ルークはアルフィナ様の用事で一緒に出かけてしまい、今日は1人居残りである。

部屋でのんびり過ごして居たけれど、さすがにヒマなので、庭園でも散策しようと部屋を出る。


庭へと続く道に白い1匹の猫がおり、花音の足もとにすり寄って来た。

人懐こい様子から、どうやらこの家の飼い猫のようだ。

あまりの可愛さに花音は抱き上げて庭を歩く事に…


ふと気づくと東屋のある所まで来ていた花音。

そこに優雅に1人お茶を飲んでいる人影が…

ルークの父、ジークだった。


そう言えば、朝食の時、今日はお休みと言ってたな…

しかし何度見ても、若い。

ルークやウィルもカッコイイけど、ジークもなんて云言うか、大人の魅力あって素敵だ…

ルークも歳をとったら、きっとこんな感じなんだろうな。

なんて、想像してみたり…

いやいや…これじゃ私、すごい年上好みみたいさじゃない。

自分の想像に赤面しながら、かぶりをふっていると

向こうもこちらに気づいたらしく声をかけてきた。


「やぁ。散歩かい?こちらで一緒にお茶でもしないかい?」

「あ、はい。ありがとうございます。」

花音は猫を下に降ろしテーブルにつくが、猫の方は座った花音の膝の上にピョンと飛び乗る。

「ずいぶん懐かれたようだね。シアは人見知りな子でなかなか他の人には懐かなくてね…」

「え?そうなんですか?今日、初めて見かけたてこの子の方から近づいて来たんですけど…」

「それはまた珍しい………そうだアイシャ、シアに食事を」

ジークは後ろに控えていたメイドに猫の食事をたのむ。

「あ、シアちゃんはこれから食事なんですね」

「いやぁ~実はシアは極度の方向音痴でね。この屋敷の中でさえ、迷子になって食事を与えてる場所に辿り着けない事が多くてねハハハハハ…」

と笑っている。


猫が家の中で迷子って…

どれだけ方向音痴の猫なのだろう?


「あの、まだ飼い始めて間もないんですか?」

「ん?いや、この屋敷に来てもう18年ほど経つかな。」

「あ、じゃあ、もう高齢なんですね…」

自分の世界の感覚でそう云うと

「シアは長命種の猫でね。人間とそれほど変わらないくらい長生きするそうだよ。それにシアは元々、妻が結婚する前から飼って居た子でね。もう28 歳ほどになってるはずだよ」


そ、そんなに?

けど同じだけ生きるって事は、

ずっと一緒に居られるけれど、どちらかがおいて逝く事になる…

そうシアは置いて逝かれてしまったんだね…

ちょっと切なくなっていると

そこに帰宅したルークが庭でお茶をしてる2人に気づきやってくる。


「只今もどりました。父上。花音とお茶をされてたんですね」

「あぁ。おまえも座りなさい。」

父に席をすすめられ、テーブルにつくルーク。

「で、どうだったい?勇者様達にもお会いになったんだろう?」

「はい。この辺ではあまり見かけない髪色、瞳の色をした勇者で、名前は確か隼人と悠那と名乗ってました。」


2人の会話に横で耳を傾けてると…



えっ…⁉

それって日本人?


この辺ではあまり見かけない髪色って多分、それは黒色なのだろう。

買い物に出た時もだけど、この世界に来てから、まだ黒髪·黒目の人には会って居ない。


ルークでさえ、私が勇者達と同じ世界から来たとは、多分、思っていないだろう。


何故なら私はクォーターだから…

母がアメリカ人とのハーフで私は母の髪色と瞳の色を受け継いでいる。

なのでこの世界でも、全く違和感なく溶け込んでいた。


2人は親子で何やら話しているが、私がその勇者と同じ世界から来たと言わない方が良いような気がして、口にはしなかった。


日本人の2人はアルフィナ様預かりって事は、もしかしたら、学園都市で会う可能性もあるわけで…


帰る方法を探すと云う点では、何か手掛かりがあるかもしれない。

だからと言って、勇者の2人に巻き込まれるのはゴメンだ。

しばらくは様子見で少し距離を置くか、日本人だとバレないようにすべきかな…?


「…難しい顔をして、どうかしたか?花音」

深く考え混んでいる花音に気づき声をかけるルーク。

「え⁉あっ…私も学園都市に行ったら、会う事あるのかな~なんて、ちょっと思っただけで……」

「ん?なんだ会いたいのか?」

「えっ…いや別に会いたいわけじゃ…」

慌てて否定する花音


今すぐ紹介されでもしたら、この世界にまだ不慣れなままだと、確実に違和感を与え私の事も異世界人だと気づかれてしまうおそれもある。

髪色から、まさか日本人だとは思わないだろうけど。


とりあえず、私のする事はこの世界で不自然に思われないように、魔法をもっと覚えながら、帰還方法を探す事にしようと思うのだった。

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