⑥ やっぱり君が欲しい
ご飯を食べた後、お酒をじっくり飲む前に彼女を寝室に連れて行った。
彼女を抱きたかったから。それ以外に何もなかった。
「宥めてくれてありがとう」と言ってキスをする。深く。
何度も何度も、彼女の奥深くに潜っていくように。奥で舐めるようにぽ、と撫でる。溶け合って熱を生んだ。
服のボタンに手をかけると拒まれた。
「や……」
そんなの嘘だと思った。
本当に拒むのなら、触れようとする手を掴んだり振り払ったりするだろうに――彼女はメリルの服の裾を掴んでいるだけだ。
彼は彼女のか弱い抵抗の声を聞きながらも手を止めることはしなかった。
白い肌を露わにした彼女をベッドの上に横たわらせようとすると、さっきよりは大きな声がした。
「いや……ぅっ!」
もうその頃には彼の気はやめるということを知らなかったのだが。
目の前の彼女を愛することしか。
ひたすらに彼女を、自分でいっぱいにすることしか。
上からするっとかぶさって、無垢の雪のような肌を唇で舐めた。
「やなの……っ!」
くすぐったがることは知っていて。
おまけに無垢じゃない。なのにどうしてこんなに、まだ染まる余地があると思ってしまうほど白いのだろう。
顔、首、肩や腕に唇を這わせた。彼の唇が強く吸い寄せる度に彼女は喘いで震えた。
我慢できなくて、彼女の脚に手を伸ばした。その上の、さすがに丸みを帯びた、桃のような臀部をそっと抱いて愛撫する。
「いや……っ」
「あのさ――君……」
上半身をぐっと屈めて彼女の唇を塞ぐ。こちらはさくらんぼだった。
みずみずしい。この肉体は甘い蜜でいっぱいだ。
誰に育てられたかを考えてしまうと、メリルは俄然虚しくなった。反動で彼女を侵したくなった。
――早くいっぱいにさせてほしい。
「ぅん……っ、だ……め……」
「それなら……っ、キスなんかさせないでくれよ……ほんとに」
言いながら唇をこじ開ける。
「ぁ……ぅ」
熱い接吻に溺れて彼らの唇はぐちゃぐちゃに濡れた。そのまま彼は彼女の頬や首にも自らを刻むようにキスを落とす。
「――君、おれのこと好きでしょう」
耐え切れなくて切り込んでいた。
「……」
「いい加減、好きでしょ……ねえ」
答えはない。苦しそうに喘ぐ声だけがする。耳からも刺激されると体の芯が疼いて焼ける鉄のように熱くなった。
メリルは彼女に答える猶予を与えるように、一旦彼女を離した。
森で雨に打たれ濡れた葉っぱのような彼女の緑の目を、メリルはじっと見つめていた。