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ワインレッド

 



 彼女が我に返った時、「やはり」彼はいなくなっていた。



――――



――あの夜の出来事は夢だったのかもしれない。


 現実味を持って彼女の頭に記憶されていたけれど、お酒のせいでどことなくぼんやりしていた。


 何より彼は忽然と姿を消し、音沙汰もなくなってしまった。温もりが感じられない今、彼女は冷えた体を独りで温めるしかないのだ。


 手っ取り早く温まる方法は布団にくるまること。


 朝目が覚めてから――否、目が覚めて何となく朝だと思ってぼんやり過ごしていた。うとうとしかけた時に、電話がかかって来た。


「……もしもし」


「あぁ、よかった……アンジー、体調はどう」


「お父さ……、モーズレイさん、ロンは? ロンはあの後どんな様子ですか――」


「――いや、あのね。……あー、先に手短に言うよ」


――これは君のためなんだよ。アンジー……。


 その瞬間から、世界は緋色に染まり始めた。緋色の糸が見えないように。




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