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⑥ 突然すぎる……!?
「はっ!?」
彼女は耳を疑った。勢いで立ち上がりさえした。顔を見る間もなく抱擁される。
ぐるんと胸がひっくり返ったんじゃないかと思った。おかげで心臓はばくばく、別の意味で大きな声を上げている。
「けっ――こ……!?」
上手くその単語を言えない。
俄に信じられたものじゃない。
「ま……っ、まさか、いまのプロポーズ!? ええっ……」
それにしては唐突すぎる。
もう一度彼の顔を見上げようとするがすっかり腕に取り込まれていて上手く動けなかった。
「っ――!」
本当にプロポーズかもしれない。
彼女は何も返事をしていないのだが。
彼の頭が自分の頬にすり寄せられる。大事そうに彼女の名前を呼ぶ声がする。