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両種族、相撃つ!

恐らく、Gとコボルトの戦いは昔から繰り返されてきたのでしょうね……

今回はその一幕です。

「ギレス、ギゥァアァッ! (死ねや、おらぁああッ!)」

「ガゥルァッ!!((くたば)れッ!!)」


鉄剣と小楯を構えて突貫してくるゴブリンの刺突を体捌きで躱し、三角立て耳のコボルトが利き腕のフックを側頭部に叩き込む。


「ッ、ギゥ、ッ……」


その手にはT字型の(パイル)が握り込まれており、指間から伸びた鋭い先端がゴブリンの頭蓋骨を貫通して絶命させるが……


「ガルギアゥスッ! (犬風情がッ!)」


「ウオォッ!?ッ、グブッ……ウゥ……ァ」


倒れていく相手の後方から新たなゴブリンの鉄槍が鋭く突き込まれ、そのコボルトの腹に刺さった。


「ガゥ、クァウッ! (ちッ、退()けッ!)」


同じ班のコボルトが鉄槍の先端部を切り落として負傷した仲間を退避させると、すかさず白モフのコボルトが駆け寄り、慎重に槍先を引き抜いて治癒魔法をかけていく……


森の至る所で怒号が飛び交い、コボルトとゴブリンたちが刃を相打(あいう)()らす。既に双方ともに何匹かの犠牲が出ており、亡骸が少し湿った森の大地に転がっていた。


「ギ、ゥアァッ、ウ……ッ…ァ」


今この瞬間も、刃に取手(とって)があるだけの打撃斧を握り込んだブラウが右ストレートを繰り出し、大柄なゴブリン・ファイターの顔面を叩き潰して絶命させた。


「ッ、グォルガ ウォファルオォウッ!!

(ッ、不用意に前へ出るんじゃねぇ!!)」


「キュオゥッ、グルァ (すまないッ、族長)」


うっかり前に出過ぎて死にかけた仲間の立て耳コボルトを怒鳴りつけながら、ブラウは左斜めから襲い掛かるゴブリンの斬撃を刃を纏わせた左ショートアッパーで弾き、反対の拳でボディーブローを打ち込む。


打撃斧の刃を纏った一撃が相手の腹を深く裂き、致命傷を負ったゴブリンは腹部を抱えたまま意識を失い倒れていくが…… 敵である小鬼族の数が多いため、油断する事など一瞬たりともできない。


(くそッ、切りがねぇッ!!)


ブラウは内心で毒づくも、混戦の中で部隊を小集団に分けて連携させる試みは地味に効果を発揮している。ヒーラーである白フワのコボルトを各班に一匹、均等配置していることがコボルトたちの継戦能力を高めていた。



加えて、戦闘は集団の “先端” で行われる。


例えば、”狭い路地に大軍を投じても戦える兵は先頭だけ” と言えばわかりやすいだろうか? これは寡兵で大勢を相手に持ちこたえる時間稼ぎの手段であって、その状態に陥っていること自体が失策だが……


とにかく、集団の “先端” こそが戦場であるという事実を利用して、効率的に戦いを進めることも可能だ。


銀の弓兵(アーチャー)の入れ知恵もあって、コボルトたちは機動性を活かしながら半包囲陣形を維持し、先端部のゴブリンたちを包み込んで削っているが…… それだけで上手く事が運ぶわけでもない。


「ギゥルガッ、グエル ギゥッ!! ( 切り裂けッ、光の刃よッ!!)」


「ギャウウッ!?」

「ガゥウッ、ッ、ウゥ……ッ……ァ」


光り輝く大剣が二匹のコボルトを構えた刃ごと切り捨てて落命させた。いくら陣形が機能しても実力差が大きい場合、相手を止めることは難しい現実がそこにある。


「ッ、ヴァルオア “ガアゥ” !!

(ッ、束縛しなさい “樹戒” !!)」


「ウオォオッ!? (うおぉおッ!?)」


光の斬撃で斬り飛ばされた仲間たちの姿に、シルヴァは大剣を持った変異種のゴブリンの脅威を認識すると、大地に手を突きながら拘束系の土魔法を放ち、異常成長させた蔦を相手に絡ませていく。



その場から少し離れた左翼側では、シロが展開した聖属性の中級魔法 “聖廉の障壁” が眩く奔る雷光を防ぎ、淡い燐光が飛び散っていた。


ハスタからシロに預けられた白黒コボルトを中心とした各班をシルヴァたちの班と連携させていたところ、双剣を持った長身痩躯のゴブリンが雷撃魔法を撃ってきたのだ。


「ガ、ガァオウゥ~ (あ、危なかったよ~)」


思わずそんな言葉が漏れるものの、彼らの危機が終わった訳ではない。長身痩躯のゴブリンが配下の小鬼族の戦士たちと共に距離を詰めて斬り込んでくる。


「「「ギャオァアァッ!!」」」


「ヴォアルオゥウッ (穂先を並べてッ)」


シロの指揮に応じて、十数匹の精強な白黒コボルトたちは鉄槍を一斉に突き出して敵方の突撃を迎撃するが、長身痩躯のゴブリンは止まらない。正面の相手が持つ鉄槍の太刀打ち部分を鉄剣で叩き落としながら、押さえ込むと同時に紫電を刃に纏わせる。


「ッ!? ギャウゥッ!!」


鉄槍を這い上がった雷撃を受け、一瞬だけ動きを止めた白黒コボルトの喉元をもう片方の鉄剣が狙う!


「ワォウァアンッ!! (させないよッ!!)」

「ギャオウッ! (ちいぃッ!)」


鋭い斬撃が喉を切り裂く寸前、僅かな差でシロが展開速度を重視した魔法の小楯を宙空に生じさせて、長身痩躯のゴブリンが繰り出す狂刃を弾き飛ばした。


さらに攻撃直後の隙を穿って、左右の白黒コボルト二匹が長身痩躯のゴブリンに鉄槍を突き込むが、相手は素早く飛び退ることであっさりと身を躱す。


その間に他のゴブリンたちを牽制しながらも白黒コボルトたちは感電した犬族を退避させ、白フワのコボルトに治癒を任せて睨み合いを続ける。



一方、右翼側の白フワコボルトたちはハスタの指揮の下、治癒魔法に加えて負傷させないための防御魔法も展開しており、偶に飛んでくるゴブリン・メイジの攻撃魔法を相殺していた。


その刹那に生じる淡い魔力光を目指して、森の中に潜み機を窺っていた小鬼族の騎兵隊が動き始める。


「ギャウィアルッ!! (仕掛けるぞッ!!)」

「「「ウガァアァアァッ!!」」」


小鬼族の族長ヴァリに従い猟騎兵たちが二足歩行の土蜥蜴(ランドリザード)を走らせ、微かな燐光に照らされながら右翼に向けて突撃を敢行していく!


「クァッ、クォアッ!? アーヴァー!

(ちょッ、まだなのッ!? アーチャー!)」


予想外に強力な変異種のゴブリンを押さえるのに手が一杯で、さらに騎兵突撃まで仕掛けられたシルヴァは焦りを露呈するが…… その瞬間、ゴブリンたちが背後に護る村から炎と黒煙が立ち上る!

集団戦は描写が難しいですね。

でも、”皆様に楽しく読んでもらえる物語” のために日々精進です!


ブクマや評価などで応援してくれれば、本当に嬉しく思います!!

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[気になる点] 一方、右翼側の白フワコボルトたちはハスタの指揮の下、治癒魔法に加えて負傷させないための防御魔法も展開しており、偶に飛んでくるゴブリン・メイジの攻撃魔法を相殺していた。 から 予想外に強…
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