全てを勝ち取る者
「よし見るぞ。
準備はいいな?」
浩二が言った。
三人の手にはスマホが握られていてそれぞれ受けた学校のホームページにアクセスされていた。
「いっせーの!」
この掛け声で合格発表の一覧を見た。
「どこだ?
あれ?
ない?
くそ!
分からん!」
「浩二が少しは落ち着いてみろよ。
そりゃ千人単位で受けているんだからなかなか見つからないだろう。
合格するのも数百人単位だしな」
「ふふそうね。
浩二は少し焦りすぎね。
でもそう言う颯斗も落ち着いていないんじゃない?」
「それは由美にも言えることだ。
それよりも探そう!」
「そうね」
「そうだな」
二人の声がハモった。
しかしそれに何も反応することなく三人は探し続けた。
そして数分すると浩二の顔が明るくなった。
それは突然の出来事だった。
そして浩二は突然叫んだかと思うと隼人に抱きついた。
「うぉぉぉぉ!!!!
颯斗ーーーー!!!」
「暑苦しいんだよ。
第一男に抱きつくな気持ち悪い」
そう言いながらも颯斗の顔も笑っていた。
由美はそれを見て泣いていた。
「ん?由美どうかしたのか?」
「うんうん。
私ね嬉しかったんだ。
だってそうじゃない?
三人とも合格したんだよ?
嬉しくないわけないじゃない!」
「ってあれ?
俺、合格したって言ってないよな?」
「顔でわかるよ。
何年友達やってると思ってんの?」
「そっか。
ありがとう」
見かねた浩二が言った。
「何神妙な顔してんだよ?
とりあえず親には連絡するぞ!」
「あ、あぁそうだな」
そう言って由美は一階に颯斗と浩二は家に電話をした。
数分で連絡は終わった。
颯斗は二人に質問しあた。
「どうだった?」
浩二が先に答えた。
「いや単純におめでとうってさ。
そういう颯斗はどうなんだ?」
「今日はたまたま父さんがいっておめでとうこれからも頑張れよって言ってくれた。
由美は?」
「私も同じような感じかな。
頑張って夢を叶えてねって」
颯斗は言った。
「やっぱりどこも受かると同じようなことを言うんだな」
「そりゃそうだろ。
俺たちが受かってよろこばないおやがどこにいるんだ。
いるとしたらよっぽどな親だぞ」
浩二は当たり前だろ?
とでもいうような顔をして言った。
颯斗はそれに同調して言った。
「確かにそうだな。
ただ時々過保護なことがあるからそこは控えてほしいよなー」
由美も言った。
「私もそう思う。
だって私のお母さん、自分の思うようにしないと怒るんだもん。
うるさい時が多くて困ってるよ」
浩二は冷静に言った。
「まぁそれも親の愛だと思って受け止めようぜ。
将来俺らが親になったら多分同じことするんだからな」
「そうかもしれないな。
さて、そろそろこの会話を終わりにして合格祝いといきますか!」
由美はそれを言うとニッコリと笑った。
満面の笑みだった。
「そう言うと思ったよ。
さっき注文しておいたからそろそろ来るはずだよ。
大きなケーキも焼いたから持って来るね。
…いやその前に注文した物を食べよっか」
颯斗は質問をした。
「注文って何頼んだんだよ?」
「んーピザとか、刺身とか、オードブルとか、色々なもの」
「金は!?」
「三人の分担。
二人ともお金持ってるんでしょ?
私知ってるんだよ。
二人揃って親も知らないところでお金稼いでるの」
二人は驚いた顔をした。
「「グホォォォ」」
お茶飲んでいた二人は驚くと同時にむせた。
そして落ち着くと言った。
「それをどこで?」
「どこでってさっき私が部屋から出ている時に、話をしていたでしょう?
部屋に入ろうとしたら二人が面白そうな会話をしていたから聞いていたのよ」
「全く侮れない奴だな。
で俺らが何で稼いでいるのか知っているのか?」
「知らない。
ただ今月は二百万とか結構な金額を言ってたから驚いちゃったよ」
「俺たちは二人で本を書いているんだよ」
「まぁその印税だ。
実は入試が終わってから新シリーズを出したんだがそれが予想よりも売れたんだ」
颯斗が言ったことに浩二が付け加えた。
「二人とも何者なの?」
「「陸上選手です!!」」
「あー分かった分かったから二人仲良くハモらなくても良いんだよ」
「悪いな」
颯斗は笑いながら言った。
そして注文したものが届くと三人は過去の話から陸上、将来、今、親について、二人の金稼ぎなど様々な話題で盛り上がり時間も遅くなった頃にその時間は訪れた。
「さて、颯斗俺はそろそろ帰るよ。
あとは任せたぞ」
そう言って浩二は帰った。
由美はそれをみてどうしたんだろう?
という顔をしていた。
颯斗は由美の前に立つと意を決して言った。
それをみて由美も全てを理解したようだった。
颯斗は息を大きくゆっくりと吸って閉じていた目をゆっくりと開けて言った。
「僕は君のことがずっと好きでした。
由美、僕と付き合ってください!!」
これを言った直後颯斗の頭の中はもっといい方法がタイミングがあったのではないか?
失敗?
どうしよう…と言った具合に混乱していた。
数秒後由美が目を開けて小さな声で言った。
その時の顔は赤くなっていた。
「はい」
「そうだよな。
俺となんかとは違うよな…ん?
え?
マジで?」
「うん…」
「マジかマジだよな。
夢じゃないんだよな!
夢が叶った!!!!!
由美ありがとう!!」
これで本編は終わりです。
一旦完結としますが、またしばらくしたらエピローグを1話もしくは二話程度あげます。
この作品を読んでくださったかたありがとうございました。




