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歪んだ純愛  作者: 死皇
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近くて遠い

下手くそな構想。支離滅裂な文章。思い切り素人の作品です。

憂鬱だ。

流れていくような人々の群れを見ながら、僕は溜息をついた。

僕こと宮島晴夫は、七月の茹だるような灼熱の日の下で、ある人物を待っていた。

もちろん、この暑さも僕を憂鬱にさせるには十分なのだが、本質的には別の理由がある。

もっと間接的でタチの悪い理由だ。

その理由とは、女性から恋愛相談を受ける、というものだ。

なんだそんなことか、と思う人もいるかもしれない。

僕だって普通に恋愛相談をされるならそこまで文句は言わない。

双方のことを客観的に見て、的確なアドバイスだってできるはずだ。

ではなにが問題か、というと…。

そんなことを考えていたら、ようやく彼女がやってきた。

「ごめんなさい、待った?」

少し時間に遅れてやってきた彼女は、走ってきたようで息を切らしている。

「いや、今来たばかりだから大丈夫だよ。」

僕は努めて優しく彼女に言った。

「そっかぁ。よかった。それじゃ、近くの喫茶店でお話ししようか。」

そう言うと、彼女は柔らかく笑った。

「うん…。」

あぁ、やはり憂鬱だ。

僕はまた思った。

好きな女性に恋愛相談されるなんて…。



彼女、小此木舞とは大学で出会った。

以来、六年間の付き合いとなる。

とはいえ、彼女とは学部が同じということ以外、特別な接点はなかった。

特に僕は人付き合いが苦手で、慣れない人とは中々喋ることのできないタチなので、最初は彼女と話せなかった。

しかし、僕は彼女のことを一目見たときから好きだった。

誰もが振り返る美人というわけではないけど、色白な肌やスッキリとした顔立ち、なにより喜んだ時の笑顔が大好きだった。

いつかは舞と話したい、恋人になりたいと思っていた。

しかし、先の性格が災いして、僕は自分から彼女にアクションをとることができなかった。

僕は、この恋は見つめるだけのまま終わってしまうのだろうと悟っていた。

しかし、そんな僕に転機がやってくる。

僕の十年来の友人、橘洋一が、恋に奥手な僕に手助けをしてやると、舞との仲をとりもつ行動にでた。

洋一は非常に明るく、社交的な男だ。

僕なんかとは違い、初めて会う舞とも物怖じすることなく話していた。

そうして彼の紹介で僕も舞と初めて話すことができた。

よく覚えてはいないが、第一声は、天気がキレイですね、みたいなトンチンカンなことを言っていた気がする。

それが可笑しかったのか、彼女はクスクスと笑いだした。

その顔もとても可愛いかった。

こうして僕たち三人はよくつるむようになった。

休日に映画に行ったり、遊園地に行ったりするほど仲良くなっていった。

その都度、洋一は用事があるから席を外す、といって僕たちを二人きりにしようとするのだが、三人一緒でないなら遊ばない、と舞は言った。

その点において、彼女はとても頑固だった。

僕はそれほどまでに彼女がこの関係を大切にしているのだと思っていた。

でも違った。

いや、よく考えればわかることだ。

舞に最初に話しかけたのは洋一だし、洋一はとてもいいヤツだ。

男の僕でも、彼はいい男だと思うくらいだ。

そんな彼に、舞が恋するのにそう時間はかからなかった。

いつしか舞は洋一のことばかり見るようになっていた。

鈍感な僕でも舞が洋一のことを好きなのは分かった。

しかし、舞は自らが課した、"三人一緒"という条件に悩まされていた。

洋一と二人で遊びに行こう誘おうにも、自分が言いだしたことを反故にするかたちになる。

洋一自身も、僕に対しての遠慮からか、舞とそういう話は避けていたらしい。

結局、舞は大学四年間で洋一に想いを告げることはなかった。

彼女の洋一に対する恋愛感情を知っていた僕もまた、彼女に告白することはなかった…。

その後、大学を卒業した僕は舞と同じ会社に就職した。

想いは告げられずとも彼女と離れ離れになるのは嫌だと思ったからだ。

彼女は喜んでくれたが、その笑顔はかつてのような明るいものではなかった。

洋一が実家の家業を継ぐと言ったからだろう。

こうして洋一だけが僕らの元を離れていってしまった。

しかし、彼女は諦めることができなかった。しばらくして、彼女は僕に恋愛相談をお願いしてきたのである。



皮肉なものだ、と僕は思った。

舞との仲をとりもってくれるはずが、逆にとりもつ羽目になるとは…。

早くも嫌気がさしてきたが、それを表情にだしてはいけない。

「ねぇ宮島くん、洋一くんは高校のときとかどんな感じだったの?」

あぁ、本当に嫌になる。

彼女は洋一のことは名前で、僕のことは苗字で呼ぶのだ。

それだけでも嫌になる。

しかし冷静でなくては。

今の僕は相談相手として彼女と話す権利を得ているのだから。

「そうだね…。リーダーシップがあって何事も率先してやってたね。もちろん悪ふざけとかも。」

「ハハ、洋一くんらしい。」

そう、洋一には"らしさ"があるのだ。

そしてその"らしさ"が、彼女には分かるのだ。

胸が痛い。

これだけ近くにいるのに想いは伝わらない。

僕のことを聞いてほしい、僕も君のことを聞きたい。

でも、それはできない。

相談相手になる道を選んだのは僕だからだ。

僕の思いも知らず、彼女は質問をしてくる。

「じゃあ、今まで付き合ってきた娘って、どんな感じ?」

その質問は僕にとって耐え難いものだった。

「小此木…。君は洋一のために、自分を変えようとしているのかい?」

僕の問いに彼女は逡巡したが、やがて静かに頷いた。

「彼にふりむいてもらうためなら。」

聞きたくなかった。

なのにどうして聞いたんだ。

いや、理由は分かっている。

僕は、好きな女性が誰かのために変わってほしくなかったんだ。

そこまでして洋一のそばにいたいのか。

僕はつい冷たい態度になってしまった。

「そういうことなら僕は反対だ。洋一のためなら変われる?変わることで洋一が振り返るとでも思ってるの?」

しまった、と思ったが、本当に思ったことだ。

変わることが良いこととは思わない。

いや、僕は単に彼女に変わってほしくないだけだ。

洋一が振り返るかどうかなんて、正直どうでもいい。

彼女は少し気まずそうに目を逸らした。

「ごめんなさい…。」

と、小さく呟き、別の話題に切り替えた。

僕としてはそちらの方がありがたかったし、何よりこの話を続けたくはなかった。

その後しばらく話してお開きになったが、彼女は別れ際、またお願いね、と笑顔を見せてくれた。

その笑顔は、洋一への恋心を俺に打ち明けてから戻ったものだ。

僕が同じ会社に就職が決まった時に見せた偽りのものではなく、本物の彼女の笑顔だ。

それだけは僕の憂鬱な気分を潤してくれるようだった。


最初なのでまだまだ書けてないところたくさんあります。これからもっとお話を膨らませていこうかなと思います。

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