小町と「エクストラ・ワールド」の出会い
「おねーちゃーん!」
ぐっすりと、熟睡していた私を夢の世界から追い出したのは弟の錬太郎であった。
「何ですか、私の安眠を妨げないでくださいよ、、、」
時計を見るとまだ朝の4時半ごろだった。
「そんなことよりもお姉ちゃん、さすがにコミュ障のお姉ちゃんでも、新しく販売されたVRMMOっていうジャンルのゲームで、エクストラ・ワールドっていうのは知ってるよね。」
「何ですか?そのゲームは聞いたこともないんですが、、、」
「えっ!ほんとに知らないの!?コミュ障ってこじらせるとここまで酷いことになるのか、、、」
「何ですか、朝から自分の姉をいじめるという新たな趣味に目覚めたとでも言いに来たんですか?」
「違うよ、お姉ちゃん、そのエクストラ・ワールドのソフトが二本あるから一本あげようと思って。」
急に錬太郎が微妙な表情になったので、
「どうしたんですか?急にそんな顔をして、ま、まさか、そのもう一本のソフトは良からぬことをして手に入れたとかそんな感じですか?」
「ち、違うよお姉ちゃん。これは、友達から貰ったやつだよー」
「なんで持ってる物をわたされたんですか?」
「その友達は親が厳しくてゲーム禁止されているから、親に内緒でプレイしてたんだけど、正式稼働の日にソフトが宅急便で届くんだよね、その宅急便が来た時に、トイレにいってたらしくて、親が出ちゃったんだよ。それで、息子に荷物が届くとは知らなかったその友達の親が勉強道具だと思って開けてしまったんだよねー、開けてみるとあら不思議なんとその荷物は新しいゲームのソフトではありませんか。怒った友達の親が売ろうとして、ネットオークションに出そうとしたらサーバーが落ちたらしく、誰かに譲れとうるさいので友達である僕に回ってきたというわけ。」
「なるほど、でもなんでそんなにゲームしない錬がそんな有名なソフトをもっていたんですか?」
「それはねー、、、兄さんがやれってうるさくて仕方なくテストプレイに友達と一緒に応募したんだけどなんと当選しちゃって、嫌々やってみたんだけど、やってみると、とっても面白くてはまっちゃったわけ。」
「そうなんですか、でもなんでわたしなんです?同じクラスの子でもよかったのに、、、」
「それはねー、僕の脳内の選択肢にお姉ちゃんしかなかったからでーす。」
「はぁ、まあいいです。で、どんなゲームなんですかそのエクストラ・ワールドというのは?」
「んー、どんなゲームかというとねー、、、こうズバッてやって、ひょいって避ける感じのゲームだよー。」
「なるほど、なるほど、ズバッてやって、ひょいって避けるですか、、、ってわかるかー!!」
(今、普通にわかりかけた私が怖い、、、)
「えー、でもーそれしかわかんないよー。あっ、そうだ兄さんにきいてこようか?」
「いえ、それは無理でしょうね。」
「何で??」
「あの、廃人様であるあの人がこの時間帯に話が通じると思いますか?」
「あ、それもそうだねー。」
なんか微妙な雰囲気になってしまったので、さっさと錬を自分の部屋に返して、私は朝食の準備をするのであった。
ここで、私の家族の話をしよう私の家は両親共働きである(ゲーム会社)。べつに貧乏ではないのに、共働きなのは、二人ともただのゲーム好きということなのだろう。ちなみに後できいた話になるのだが、「エクストラ・ワールド」のゲーム開発部門に二人とも所属していた。私の名前は「橘 小町」高校一年生だ。兄は「橘 一輝」大学二年生なのだが両親以上のゲーム好きで廃人様である。多分弟に何か思うところがあるのか、よくいじめている。弟は「橘 錬太郎」中学二年生だ。私の想像だが多分もてる、ゲームは軽くたしなむ程度で運動系である。いわゆるライトユーザーだと思う。兄弟二人には沢山の友達がいるが、私には一切いない、、、錬がいうには私は「究極のコミュ障」だからだそうだ。まあ、黒髪ロングで、前髪で目を隠していたらそうなるか、、、小学生の頃お化け役を満場一致で決定したほど怖いらしいから誰も話しかけてこないんだよね。仮に話しかけられても恥ずかしくて何も話せないうちに相手も興味を失ってどっかいっちゃうから仕方ないかも、だけど、、、
そんな事を考えているうちに朝食が出来て6時をすこし過ぎていたのでので何時もどうり錬と一を呼びに行く私であった。
これから錬太郎のことを「錬」一輝のことを「一」と呼びます。一応、「れんたろう」、「かずき」と読み、主人公は「こまち」です。