大ピンチ
「さすがだ。もうほとんど残っていないではないか」
高ノ宮が感心する。
先ほどまでかなりの数がいたレインのメンバーはほとんどが倒れていた。
「疲れたわ……、でももうあなた1人だけ」
「どんな手があるか分からないから油断はしないじゃない」
「皆を元に戻してもらうよ」
「ハッハッハ! はじめから君たちの狙いは分かっている。時間稼ぎだろう。君たちが必死に隠して戦っているが、本命はあの大会で優勝した魔法使いの技だろう」
高ノ宮の目線は、3人の後ろの沙理に向いていた。
「やってしまいなさい」
高ノ宮がそういうと、拘束されていたはずの魔法使いが5人ほど立ち上がって杖を振る。
杖からは何かしらの魔法が発されており、それを戦っている3人だけでなく、こっそり隠れていた沙理にも命中する。
「彼らは私の仲間だ。被害者の振りをしてもらっていた」
「……!」
「…………じゃない?」
「…………!?」
「……、…………、……」
これが出なくなったため(なぜか明治の語尾は言えたが)高ノ宮が発した言葉に誰も反応することができず、魔法を使用することも、いつものように迅速に動くこともできなくなった。
沙理も詠唱が途中で止められてしまった。
「フフフ、これで君たちはただの子供だ。拘束してしまえ!」
先ほど杖を振った部隊が、人数を多くして3人を拘束しようとする。
能力を制限されても、有り余る力を持っていた聡美と、とっさに自分で作った氷の上に乗ってスケートを使った明治はなんとか沙理と秋大の元に逃げることに成功したが、真澄は捕まってしまった。
「…………じゃない!」
「確かにこれはまずいな。完全に囲まれている」
明治が『このままじゃ皆つかまっちゃじゃない』といいたげな表情をしたので、秋大が答える。
「……、…………、……?」
「あれは沈静魔法だけどここまで精巧なのは初めてだよ」
沙理が『いったいあの魔法は何?』とでも思っている表情をしたので、秋大が答える」
「…………」
「まぁ付き合いが長いから。なんだかんだで飯田さんともけっこう一緒にいるしね」
聡美があきれた表情で『こんな状況で言うのもなんですけど、よく会話できますね』という突っ込みをしたそうだったので、秋大が答える。
「とにかく、また奥に行こう」
まだ完全に包囲されていなかった控え室があるほうに4人は逃げていった。




