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魔法の才能  作者: 35
9/205

ファイナルラウンド前半 オリジナル魔法

ちょっと長いので分けました

「ファイナルラウンド、ファイト!

『さて最終ラウンドです。このままですと、明治さんが大差の判定になりますが……』

実況が話しきる前に動きがあった。前の2ラウンドはどちらもフィールドを作ったが、このラウンドは違った。

『な、なんと! 有利なはずの明治さんがフィールドを作らずに攻撃しました!』

「フィールド作成をしないと、攻撃や防御にフィールドを活用できなくなりますが、相手よりも早く攻撃体制に入ることができます」

『フィールド全体に小さな氷の粒が降り注いでいます。これは綺麗ですね……。動画で保存して後でネットに上げよ』

「真面目に実況しなさいよ! せっかく見せ場なんだから。後勝手にそんなことしたら怒られる!」 

ちなみに学校での試合は全て動画で撮られている、このような試合を含めレベルの高い試合は、学校での教材に使われたりする。

実況も込みで残されるので、あまり迂闊なことを言うと怒られる。もう今回は間違いなく怒られる。

『降り注ぐ氷の粒は刃のように尖っています』

「飯田さんが、ギリギリ受けましたね。2ラウンドと同じ炎壁です。フィールド展開を中途半端に止めてまで防御に回ったのは最善手でした」

『フィールドはきちんと作ると時間がかかりますが、基本的には両方ともフィールドを作るから問題にならないんですよね』

「だからこそ、時々あるこういった奇襲が意味があるんですよ」

『しかし何故有利な明治さんがフィールド無作成のリスクを負ってまで攻めこんだんですか?』

「ただ勝つだけならフィールドを作って粘るのが最善でしょう。ですが、挑戦を受ける側の責任として逃げないことにしたのでしょう。めいじは、見た目に反して頑固なんです」

『プライドってやつですね』

「逃げないとすると、このラウンドは飯田さんが攻めるしかないことは明白です。ランクBの火属性の彼女が捨て身で攻撃をしてきた場合、相性で不利なめいじにまさかの痛手を受けるかもしれない。そうやって苦戦をする前に主導権をとろうと攻めたんですよ」

『この技私知らないんですけど、ご存じですか』

「それは分からないでしょう。めいじのオリジナルで最近開発したばかりですから」

『オリジナルですか! 完成してたんですね』 

魔法は基本的に同じようなものしか使用できない。

明治の使った氷の矢や、聡美が使った火球もランクが低くとも使うことだけならできるが、矢や球が1つしか出なかったり、距離や命中制度も低かったりする。

この2人のように、レベルが高い魔法使いというのは魔法の精度が高いことを言うのである。

このような魔法を汎用魔法と言う。ただ汎用魔法とは言っても、使い手によって精度や効果が異なるため、全く同じ魔法は2つないと言えるからある意味こちらもオリジナルであるとも言えなくもない。

だが、オリジナル魔法とは、2つ以上の魔法を組み合わせて、完全に、新しい魔法を作ることを指す。

輝細雪刃(ダイヤモンドダスト)と名付けてました。空間氷結に水滴軍隊(パレットアーミー)という、水を散弾銃のように飛ばす技を組み合わせて作ったようです」

『カッコいい技ですね。氷属性の彼が、水属性の水滴軍隊を使用できるのも驚きです。他属性の技を覚えるのは並大抵ではないはずです』

「いい技ですよ。空間氷結は空気が無数にありますからいくらでも発動できますし、相手フィールドの空気も減らせるし、自由自在な攻撃が可能です」

『しかし粘りますね。なにもできてはいませんが、ダメージは受けてないですよ』

「炎壁は防御に徹すれば強いんですよ。発動中一切の攻撃こそできませんが本来攻撃に使う魔力を完全に防御に振るんですから」

『確かに全て壁に阻まれてますね』

ところが、徐々に攻撃が当たりはじめた。

「めいじが攻め方を変えましたね。粒を大きくしました。数は減りましたが、壁を通過して飯田さんに当たるようになりました」

『副審が2人とも有効を宣言しました。主審も飯田さんをずっと見ています』

『これはどうしようもないでしょう。有効は時間の問題では?』

「どうですかね……。主審の先生が有効を出さないのは何故なんでしょう? 今ちょうど飯田さんが主審の近くにいますから、何か飯田さんがしようとしているのが見えているのでは? 自分達からはちょうど遠くて見えませんね」

『双眼鏡ありますよ』

「あらどうも、確かに目はまだ諦めてないですね。あの目を見たら僕も有効は出さないですよ」

『しかし何かあるんですかね? え……』

なんと聡美は炎壁を解除していた。そして攻撃がかなり当たるが意に介せず目を閉じて詠唱する。

「何かあるんですね。何もないなら特攻するしかないですから」

『無数の氷の粒を明治さんがまとめて一気にぶつけにかかります! 決まるのか!』

攻撃が当たる寸前、聡美が目を見開き手をかざすと、無数の氷の粒が全て発火して一粒もなくなった。

『大技が炸裂しました! あれだけフィールドを覆っていた氷の粒は火の粉と化しました! その火の粉が明治さんを襲います!』

「めいじ咄嗟で回避しきれませんでしたね。西本副審が有効を1つ付けましたね」

『あれは私も知っています。万物引火(イグナイテッド)ですね』

「発火条件を無視して物体に火をつけられる技ですが、氷にまでつけられるとは相当の精度です。さすがランクBです。有効をめいじが取られるのは久々に見ました」





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