危機の知らせ
「……、あーめんどくさいわね……」
「もうそろそろいいでしょ。インタビューされるなんて名誉じゃないですか」
中々立ち上がらない沙理にイライラして、聡美が沙理を立たせようとする。
「でも、もう外に誰もいなくなっちゃったよ。鍵あいてても入ってこないからおかしいとは思ったんだけど、諦めたみたいじゃない」
「……やったわ。早く帰りましょう……」
そういって沙理は立ち上がる。
「さっきまで足が痛いだの、眠いだの言ってましたよね」
「……うそは言ってないわ。今ちょうどよくなったの……」
「いいじゃん、インタビューは明日以降でもいいし、今日は沙理とめいじを休ませてやろう」
「僕も疲れたし、家に帰ろう。うちの喫茶店でサービスしてあげるから、来月のアドバイスを聡美ちゃんにしてあげようじゃない」
「ぜひ聞きたいわ! 早く帰りましょう!」
「……現金ね……」
「脳筋だね」
「単純じゃない」
「全員で微妙に違う悪口を言わないでください!」
今年の1位と4位からアドバイスをもらえることはかなり有益である。きちんと事前準備をしておきたい聡美にとっては聞いておきたい話であったため、急に方向転換する。
「それにしても……、外に人気が無さ過ぎじゃない?」
「みんな帰ったんじゃないですか?」
「……、明らかに片付いてないのに、役員っぽい人の姿も見えないわ。ちょっと変ね……」
「そのわりに、グラウンドのほうがやけに騒がしいな。今日何かまだ行事あったっけ?」
「ううん、基本的に魔法大会の後は無いと思うじゃない」
その日のスタジアムの予定表を明治が眺めつつ言う。
「ちょっとグラウンドの様子を「助けてください!」
秋大がグラウンドに続く階段を上ろうとすると、悲鳴のような助けを求める声と共に秋大に人が抱きついた。
「ちょっと! 抱きつくんじゃないじゃない!」
「……、殺……」
「2人とも落ち着いて!」
抱きついたのが女性であったため、明治と沙理が動揺する。明治は口調が微妙に変になり、沙理は言語が1文字になる。
「え? 岡田さん?」
その女性は岡田真澄。今年のファイナリストの2人であった。
ずっと浮かべていた笑顔ではなく、今にも泣きそうな表情であった。
「何があったんです?」
「と、とにかくここじゃだめなんです。どこか隠れられる場所に……」
「控え室に戻ろう。鍵もあるし一旦はなんとかなるじゃない」
「じゃあ会長の控え室に……」
「……あそこは鍵が壊れているから隠れられないわ……」
「誰よ、壊したのは!」
聡美が叫ぶ。
「誰だ全く」
「ほんと誰だろう、わからないじゃない」
「……誰?……」
「ごめんなさい私です! 忘れててごめんなさい! でも今はそれどころじゃないからふざけないであげてください」
結局、明治の控え室に逃げ込みました。




