ラウンド2とラウンド間
実況と解説は大事です。
ラウンドとラウンドの間はフィールドが元に戻される。
その間インターバルが5分ほどあり、休憩したり作戦を立てたりする。
『しかし、ラウンド終了間際の明治さんが奪ったダウンは見事でした』
「めいじが去年の冬にスケートを練習してたんですけど、このためとは思いませんでした。魔法だけに頼らずに自らを鍛えることもしているからこそめいじは強いんですよ」
『なるほど。確かに足場を作ったのと、攻撃に使った氷は魔法ですが、スケートそのものは魔法ではありません。だからこそ聡美さんが対応しきれなかったんですね。ちなみにですが、明治さんのスケートはどこで誰と練習したんですか?』
「……僕と2人で、めいじの家の近くのスケートリンクです」
『2人で? 2人きりですか?』
「そうですが何か?」
『いえいえ何も(笑)』
「笑っちゃってますよ、めいじ、後で会議しよう」
『実況解説用のマイクを連絡に使わないでください』
マイクの声が聞こえたのか、休憩中の明治が秋大に手をふる。
これが、思い切り手をあげるわけでもなく、胸元で軽くふるだけ、しかもハニカミ顔である。とても可愛らしい。
『さて、第2ラウンドはどうなりますかね』
「何事も無かったかのように話を戻しますね、まぁいいです。どちらもまだまだ底が見えません。有効を取ったとはいえ、めいじが確実にこの後順調に勝てるかまでは分かりません」
第2ラウンドは第1ラウンドの流れをそのままに明治がやや押す展開になった。
フィールドはまた互角。しかし、明治が序盤に出した技、空間氷結に聡美は大苦戦した。
空間氷結は、特定の気体の一部を液体を介さずに固体化させる技。
聡美のフィールドの酸素の一部を固体化させ、火力も行動力も大きく落とし、そこに遠距離から氷の矢で攻めこんだ。
聡美は何とか炎壁で粘った。
火属性には珍しい防御技。決定打こそ無かったが、明らかに明治が優勢になったのは見て明らかであった。
『第2ラウンドは、明治さん有利となりました。しかしあれはなかなかえげつない技ですね。仮に酸素を全て固体化させられたら、兵器ですね』
「そんなことができたら、学生のレベルじゃありません。それより、よく飯田さんは守りきりましたよ。完全に決めにいってましたもん」
『決めることこそできませんでしたが、次のラウンドも空間氷結を使えば、判定で勝てるんじゃないですか?』
「そうですね。めいじがそれをよしとすればですが」
『彼は勝ち方に、こだわるんですか?』
「こだわりますよ。最終ラウンドは何か仕掛けるかもしれないです」
『聡美さんも最終ラウンドは、攻めるしかないですからね。また一波乱期待できるかもしれないですね』
第2ラウンドはダイジェストでお送りしました。