明治の気持ち
「………、じゃあ行ってくるわ……」
決勝戦の時間となり、沙理が控え室を出て行く。
「めいじ、大丈夫か?」
秋大と明治も近くで観戦するために、控え室を出たのだが、その際に秋大が明治に話しかけた。
「何のことかな? ちゃんと聞いてほしいじゃない」
「今回の大会の意気込みはすごかったじゃないか。組み合わせが決まってからも沙理と戦いたいってずっとがんばってたし」
明治は女の子のような風貌をしているが、決して泣くことはない。しかし見た目でわからないからこそ、気にかけないと思っていることがわからないので、よく秋大は明治にこのように話しかけることも多い。
「くやしくないわけじゃないよ。でも3年間ずっとこの大会に出れて、いい戦いができたし、いろんな人と戦えたことでいろんな技が使えるようになったこともあるからすごく楽しかった。この試合も全力でぶつかってすべて自分を出せたから悔いはないじゃない」
沙理に負けたときもそうだが、明治はさっぱりとした性格をしており負けたことをそこまでは気にしない。
勝ち負けなどただの行動の結果であり、勝ち負けを今後どのように生かせるかを気にしている。
この切り替えのよさは明治の美点であり、周りから好かれる要因でもある。
「さーちゃんとは戦ってみたかったね。2回負けてから1年くらい1回も戦ってないし。でもきっと今はそういう時期じゃないんだと思うよ。戦うべきときになったらきっと戦えるじゃない」
「さっぱりだな……」
あまりの切り替えのよさに逆に周りがついていけないくらいなのである。
「それよりもさーちゃんが勝てるように応援するのが1番じゃない」
明治にとっては自分のことよりも、何年も優勝から遠ざかっている東魔法学校のことが気になっていた。
責任感がありやさしい性格の明治は自分の失敗よりも周りのことをいつも心配している。
むしろここで沙理が負けて落ち込むほうが、明治も落ち込むであろう。
「そうだな。明治お疲れさんだったな。また次の段階でもがんばろう」
「うん、よろしくじゃない」
「俺は第3種魔法使いだから何も協力できないけどな」
「いてくれればいいんだよ」
笑顔で秋大を見上げる明治。その笑顔を見て笑顔で頭をなでる秋大。周りからはカップルにしか見えなかったという。




