判定の結果
「ふぁ~、限界じゃない」
控え室に明治が戻って倒れる。判定に時間がかかるとのことで、一端待機となったためだ。
「なんだよあの延長ラウンドは。お互いダメージ受けすぎだろう。これはトーナメントなんだから、ちょっとは考えないといけないだろう」
秋大が明治を諌める。ただでさえ次に当たる選手が、ノーダメージに近い上にノーマークで情報が少なく、戦略もまだノーアイディアなのだから、ダメージを多く受けた上に、手の内をかなりばらしてしまっているからどんどん不利になっていくからだ。
「そうは言ってもね。やっぱり試合中は次のこととか考えられないかな。中田くんとは長いことライバル関係にあったし、学生で公式に戦えるのは最後だから、調整とかはしたくなかったじゃない」
この試合に勝たなければそもそも次はないのだから、調整して負けた方が悔いが残る。中田も同じ気持ちだったから、あのような試合展開になった。
それは秋大も分かっているが、明治を心配して、つい文句が出てしまった。
「まぁ、全力でやったし、後は結果を待とうじゃない」
『どうも、大変お待たせいたしました』
放送が流れて、皆に緊張感が走る。
『今回の判定につきましては、審判団のリーダーである原がご説明します』
「原さんが判定するの? あの人今回の試合の審判じゃないじゃない」
「まぁ聞いてみよう」
『延長ラウンドも非常に僅差となり、1人は何とか中田選手に票を入れましたが、後2人がどうしても差をつけられないとのことです。大変申し訳ありません』
会場がざわめく。
『本来であれば、もう1ラウンド行いたいですが、これがトーナメントであり、あまりにも不利になることから試合は行いません。この場合、M-1グランプリの公式ルールでは、有利とした審判の数で決めますが、第3ラウンドで豊本選手に一票、延長ラウンドで中田選手に一票入っており引き分けです。
そのため、更にポイントを細かく見ました。
第1ラウンドでは、審判1人のみ、豊本選手に有利な得点を与えました。2、3ラウンドは3人がそれぞれダウンを取った方に得点を多く与えました。
延長には得点のルールがないためどちらにも0と判断いたしました。ここに注目して、豊本選手に4票、中田選手に3票入っていると判断し、1回戦第4試合の勝者は豊本選手とさせていただきます。選手のコンディションなどを気遣ったために、判定を多少無理に行いました。ご了承ください。以上です』
「よっしゃ! めいじ、やったな」
「うーん、勝ちは勝ちだからいいよね。白黒きっちりつけたかった気持ちもあるけどまた中田くんとはいずれ戦えるだろうし、今回はこれでいいかな。じゃあ次の試合までお休みなさいじゃない」
明治は判定を聞くと寝てしまった。
「お疲れさん!」




