つがるんデレ
「すっごくはぐいぃ(くやしいです)。せっかく秋大さんがきっちり仕上げてくれたのに」
それぞれ麻美と紗枝が控え室に戻った後、秋大は気になって負けた麻美のほうに顔を先に出しにいった。
「最後は相性だったね。あの技には何の問題もなかったから完璧だった。よく俺の道具を仕上げてくれたよ」
顔を覆って泣いていたので慰めの言葉をかけるが、よりいっそう泣き出したため、泣き止むまで控え室を出ることができなかった。
「いい加減泣き止んでくれよ。伊達さんの方に顔がだせないじゃん」
秋大の服の裾をつかんで離さないので出て行くことができないでいた。
「秋大さん。早ぐわのどごさこながけろし。優勝したんじゃかきや!(秋大さん。早く私のところに来てくださいよ。優勝したんですから!)」
時間がかかりすぎて紗枝が麻美の控え室に入ってきた。
「あ、スマンのぉ紗枝ちゃん。ほんまなら優勝した紗枝ちゃんが先に祝われんにゃぁいけんのに」
「麻美ちゃんば慰まなぐてたんじゃか。だば麻美ちゃん勝負だかきやきゃ。わは負痒いても泣かながった私し(麻美ちゃんを慰めてたんですか。でも麻美ちゃん勝負だからね。私は負けても泣かなかったわよ)」
「悪かったね伊達さん。でも、山根さんがちょっと心配だったからさ」
「べ、別さ褒まなぐてほしがたばって、麻美ちゃんしり先さこながほしがたとが思ったわげだばねんだかきやきゃ!(べ、別に褒めてほしかったけど、麻美ちゃんより先に来てほしかったとか思ったわけじゃないんだからね!)」
「そっか、先に優勝を祝ってほしかったのか……」
「おめでとう。ええ試合ができてえかったよ。大丈夫、仮に勝ち負けが逆じゃったら秋大さんは先に紗枝ちゃんのところに行ってくれたよ。ウチを優先したわけじゃないから」
「んでねぇって言っただばん! だば一応聞いておぐばって、麻美ちゃんの言ったっきゃおりさ勝ち負痒いが逆だったきやわのどごさ先さこながけだ?(違うって言ったじゃん! でも一応聞いておくけど、麻美ちゃんの言うとおりに勝ち負けが逆だったら私のところに先に来てくれた?)」
「もちろんだよ。2人とも俺の期待以上の成果を上げてくれたんだから。むしろ伊達さんのほうが負けたときは心配だけどね」
実はこの2人見た目と中身が余りあっていない。
大きな杖を使い、活発な印象をうける麻美はじつはとてもおっとりしていて、茶髪はなめられないためにやっている。
弓を上品に使い、たれ目でおっとりした印象を受ける紗枝はじつはとても勝気で、素直でない。
津軽弁でツンデレを炸裂させる彼女は通称つがるんデレと呼ばれる。
「へばいい私。こいかきやもよろしぐたのむっきゃ(じゃあいいわ。これからもよろしくお願いします)」
すでに大分デレているが。




