決着 差をつけたのは……
『ラウンド2ファイト!』
『さて、動きのなかった第1ラウンドですがどうなるでしょうか、あっと山根選手が動きました! 杖を持ち上げて地面にたたきつけて起こした大地震がフィールドを襲います! 大地竜脈です。全フィールドを襲われてはさすがに回避が難しいか!?』
『いえ、伊達選手止めれてますね。地面に思い切り弓矢を打って風圧で自分の周りだけ地震を防いでます。風圧力です。中島さんいかがですか』
『1ラウンドではまったく地震を使う素振りは見せなかったんですが、隠してましたね。決着をつけるには奇襲しかないでしょうし。お互いの手のうちは知ってても、戦い方までは分かりませんから。それは伊達選手も同じですから第1ラウンドで様子見の動きになったんでしょう』
『ありがとうございます。それでも受け切れてしまうところはやはり友人同士ということですか……。お互いの試合とか見てるんでしょうね。さて地形が大きく変わってしまいました。フィールド魔法ではありませんが、地形破壊は土属性のみの特権。こうなると土属性のフィールドを作ったも同然ですし、機動力が大きく落ちますから伊達選手には不利になってきますね。いかがですか藤本さん』
『地面が盛り上がった部分はお互いの身長よりも大きくなってしまいましたね。これは危険ですよ。落石や、砂嵐などが地面が高いことで非常に効果的になります』
『なるほど、中島さん、伊達選手に対抗策は?』
『フィールド破壊の術はないでしょうが、本物のフィールド魔法ではありませんから強い攻撃でこの擬似フィールドを破壊することができればいいんでしょうが、予選からの試合を見る限り伊達選手は攻撃力という点では厳しいと思われます』
『じりじりと伊達選手が押されています。こうなってしまうと防御の高い山根選手を逆縁するのは難しいぞ! 残り1分!』
『見てください。平原さん』
『藤本さん、どうされました』
『山根選手は杖を持ち上げて杖に力を入れています。大技の準備ではないでしょうか?』
『とどめをさすつもりでしょうか! これは決まってしまうのか?』
『いえ、平原さん! 伊達選手も弓矢を3本同時に思い切り引いています!』
『何か大技があるのか! これは分からなくなりました!』
『私も中島さん同様に予選から試合を見てきたんですが、伊達選手の3本の矢も、山根選手のあの長時間のためも1度も見ていません。もしかすると決勝用の大技ではないでしょうか』
『伊達選手、弓矢を打ちました! 山根選手杖を置きました!』
『見えなくなりましたね……。煙があがって何もフィールドが確認できません』
『どうなったのかしら?』
『2人とも技はご存知ですか?』
『山根選手の技は地形操作、伊達選手の技は風神王だと思います』
『地形操作は土を岩にでも砂にでも自由にできる技、風神王は2本の矢で空気振動を強制的に止めて、その止めた振動を最後の1本で相手にぶつけられる技です』
『おそらく山根選手は盛り上がった土を全て岩にして攻撃する予定だったと思います。そして、伊達選手は空気振動を押さえ込んで、隆起した地面を押さえ込むつもりだったんでしょう。無理やり地殻変動させたので地面がまだ揺れ続けていることを利用できますから』
『つまりこの2つの技は相反することになりますね?』
『そうです。山根選手の技が勝れば、そのまま岩による攻撃で伊達選手はもう対抗できないでしょう。逆に伊達選手の技が勝れば、最後の矢によって山根選手は致命的な攻撃を受けるでしょう』
『煙が30秒以上たってようやく煙が晴れました。どちらか倒れております! どっちだ!』
『地面が均されています。これはどうやら……』
『矢を受けて山根選手が倒れています! 決着です! 第10回第2種学生M-1グランプリ優勝は伊達紗枝選手です!』
そのコールの瞬間、会場が大歓声に包まれた。
『最後は見ごたえがありましたね。藤本さん今日はありがとうございました』
『決着となった技はどちらも互角でしたし、実力も互角でした。最後は相性が差をつけましたね』
火属性、水属性、自然属性で3すくみとなっているが、自然属性3つにも3すくみがある。土は雷に強く、雷は風に強く、風は土に強いというものだ。
『防御に徹すれば山根選手は勝てたかもしれなかったですね。でも決勝でしかも相手が友人ですから全力でやりたかったんだと思います。いい試合が見れました』
『中島さんもありがとうございました』
「しかし、平原さん。あの2人の道具を作ったのは誰なんですかね?」
試合終了後にマイクをオフにした実況室で藤本が平原に質問する。
「決勝戦で両方オーダーメイドなんて考えられませんよ。きっちり仕上げてますし」
中島も気になって質問する。
「申し訳ないです。本人たちが固く口を閉ざしているので、分からないんですよ。道具の製作者に名前もないので作られた人が拒否しているみたいです」
「去年も確か東魔法学校の人が優勝して、その人も製作者不明のオーダーメイド品を使ってましたよね」
「優勝した海泉ちゃんとは私知り合いなんですけど、彼女も教えてくれなかったんですよ」
比較的情報通な3人も分からない。完全に隠されているようだ。
「でも、去年今年と連続で出てくれば、周りは放っておかないと思うんですよ。何かトラブルにならないといいんですが……」
平原は彼女たちの道具を作った人物の正体は気になったが、それ以上にそれだけの道具を作れる学生が何か問題に巻き込まれないか心配した。




