もちろん逆効果であったことは言うまでもない
学生の大会で、まず学校ごとに代表を4人決め、計28人が東京の学校に集合する。
ランダムに7つのブロックに分かれて、上位1人と最も1位に近かった1人の計8人でトーナメントを行う。
代表の決め方は各学校ごとに自由で決められるが、普通は希望者で成績が上位の生徒が代表になる。
実力主義の東魔法学校でも同じ用に実力者が戦う。
当時は6月半ば、東魔法学校では後半月に迫る大会に向けて3人は代表がすぐに決まり、後1人が難航したがようやく決まった。
『最後の1人は、3-Dの清水海泉に決定いたしました』
最後の決め手は安定感。6月頭から6連勝、しかも相手の属性関係なく実力者に勝ち続けたことが評価され、大会向きであるということか理由になった。試合数の少なさから考えると異例の抜擢であった。
「秋大様! 私代表に選ばれました!」
「おめでとうございます。それはいいけど何で様付けなんですか?」
「今回の私の道具作りから修練まで1ヶ月ずっとご協力して頂き、こうして結果にまで繋げてもらい感謝のしようがありません。秋大様は私がお仕えする明治様のご友人であり、私を助けていただいたんです。この2つだけで尊敬に値します。敬意を称して秋大様と呼ばさせていただけますか?」
「それはいいんですが、ちょっと周りの目が……」
今更だが、海泉は学校にいるうちはメイド服を着ているわけではない。ふつうの制服である。
3年生で、代表に選ばれ、容姿もスタイルもよい彼女が、1年生である彼を様付けで呼ぶのは明らかに目立つ。
詳しい事情を知らないと、何か弱味を握って言わせているかとも思われかねない。
既に容姿で損している彼がより損しかねない。人は見た目で判断されるものである。
「なるほど……、わかりました」
次の日から、彼女が学校にメイド服で来るようになった。もちろん逆効果であったことは言うまでもない。
明治のフォローもあり、何とかなりましたが。
「と言うわけで、私は明治様の専属の使用人となることができたのでございます」
「大分長かったですね。途中で大会の説明まで入ってますよ。しかも兼田先輩の時もそうでしたけど何で毎回コントが入るんですか」
「コントというのはどちらでしょうか?」
「道具作りの話が明らかにコントです」
「あの時は真面目にやってたんですよ」
「今思うとどうです?」
「コントですね。今思うと、緊張していた私を秋大様がリラックスさせるためにやったことだと思っております」
「それはさすがに角田先輩を買い被りすぎでは?」
自分の危機を救ってもらったこともあり、やや盲信気味の海泉だが、真実は秋大しか分からない。
「というより、肝心な大会の場面とかの説明がなかったですけど」
「そういうシーンは、本編でやりたいのです。過去編でやるのはもったいないですよ」
海泉は時々変な視点で物事を見ているようだ。




