1割の力
「お断りします。俺は好きに魔法の道具が作りたいんです。努力した人が評価を受けるようにそのサポートをしていきたい。この武器も俺より使いこなせる誰かがいれば譲りたいと思っています」
「秋ちゃんの考え方は一貫して、努力しているのに評価されない人を助けたいという思いだけ。その思いで学校で評価されなくても、ずっとオリジナルの道具を作ってた。それで、海泉さんを覚醒させてからは、比較的自由になってたじゃない」
「では、こちらもお見せします」
そういって邪斧のほうを出す。
「邪斧は聖槍と違って、邪属性の技を3つ持っているんだけど、邪斧の使用にはかなり大きな問題があったじゃない」
「それはどういうのです?」
「邪斧の技を使うには、第1種魔法使いの持っている魔力をかなり多く使うの。その消費魔力は、第1種魔法使いBランクほぼ1人が、1週間は魔法が使えないくらいの魔力を消費するじゃない」
「そんなの使いようが無いじゃないですか」
聡美が驚いて言う。第2種魔法使いの魔法を使うために、第1種魔法使いの魔法を消費するなど本末転倒もいいところである。
「本来ならね。でも1年前の出会いがあの斧の存在価値を上げたじゃない」
「1年前ですか?」
「……、私よ……」
「会長ですか?」
「……思わなかった? 私を1年前に秋大が助けてくれたって言ったけど、私のあふれ出て止まらない魔力をどうやって抑えたと思ったのかしら……?」
「まさか……」
「……、この首のチョーカーは、秋大が作った魔力を自動的に食べ続ける呪いの道具よ。このチョーカーと邪斧は魔法でつなげてあって、私の魔力を消費してあの斧は存在しているの……」
「ちなみにどのくらいの魔力を制限されてるんですか?」
「……、秋大が言うには9割くらいのはずよ。このおかげで私はまともに魔法を使えているの……」
「ということは、沙理さんは1割の力でトーナメントを制覇したってことなんですか?」
真澄がつい横から口を出す。聞いていた話のあまりにも恐ろしさに黙っては入られなかった。
「そうだよ。でもちょうどいいんだと思う。僕に勝ったときはもう少し魔力の調整がうまくいってなくて、明らかにもてあましてたから。成長して魔力の扱いがうまくなれば、秋ちゃんが少しずつ調整するって言ってたじゃない」




