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魔法の才能  作者: 35
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ファイナルラウンド後半 魔法力と身体能力

『輝細雪刃が無くなって、フィールドは中途半端に完成した灼熱地帯だけになりました。一応聡美さんが有利にはなりましたね』

「まだまだ。元会長は伊達じゃないですよ」

『フィールドに大きな建物が立ちました! あれは確か……』

フィールドの約3分の1を埋め尽くす3階建てのマンションのような構造の氷でできた建物が明治も聡美も覆う。

「めいじが昔当時の会長を破った大技、氷中迷子(アイスラビリンス)です。薄いですが強度の高い氷でしかも透明。一見何もないように見えるんですよ」

『確かにそうですね。よく見ると氷の層が見えますけど、明治さんが浮いてるように見えますもん』

1階くらいの位置に聡美がいて、丁度対角線上に逆の位置に当たる3階くらいに明治がいる。

「中は階段とか、高さが違ったりとかかなり複雑な構造で作ってあるそうです。本人から聞きました」

『明治さんが攻撃を仕掛けてます。反射冷線(リバウンドフローズ)を連続で打ってます。これは何度でも跳ね返り不規則な動きをする冷線です』

階段や壁に反射して何本もの冷線が、行ったり来たりする。

「万物引火を使うには対象が大きすぎるみたいですし、さっきのような手は使えないようです。さっきまでのダメージもありますし後1発当たったら有効が出るでしょう。流石にこれは厳しいですかね」

しかし、その後中々当たらぬまま残り1分になる。

『当たりませんね。偶然でしょうか?』

「いえ……、驚きました。めいじ以外にきちんと身体能力も鍛えている魔法使いがいたんですね」

『あれは分かって回避していると?』

「魔法力による読みと身体能力による回避ですね。」

身体能力を鍛える魔法使いが少ないのは、魔法力がある程度身に付けば、魔法で身体能力を上げられるからである。 

実際に、使える魔法を増やす方が身体能力を鍛えるより効率がよい。

だが、魔法力は人1人につき限界があるので身体能力を強化する魔法を使うとその分他の魔法に使える分が減る。 

それは微差ではあるが、実力者がぶつかればその差が決定的な差になる。

「彼女が魔法による身体能力強化を今使っていれば、その維持に手一杯で反撃はできません。しかし、飯田さんの身体能力による回避ですから、対抗できる技さえあれば反撃できます。回避しているということは何か対策があるはずです」

『また目を閉じました。詠唱しています!』

次の瞬間、氷でできた建物が発火した。

『建物が崩れ落ちていきます! 水蒸気が多すぎて中の様子が全く分かりません!』 

「……陽炎旋律(メロディバーン)。音という音全てに反応して発火させる技。彼女は荒業が好きですね」

『さっきの反射冷線も反射する的にかなり音が出てましたもんね。今も崩れ落ちる音に反応して更に燃え盛っていますね』

残り20秒くらいに火も水蒸気も無くなってようやく景色が見える。

火や熱に強い聡美は何とか立っていた。

明治は片膝をついていたため、志村副審が、有効をつけた。

『まだ倒れてはいません! この場合は10秒以内に立てれば試合続行になります』

会場は明治コールが沸き上がる。

主審である松田がどちらにも有効を付けなかったため、明治が試合続行を出来れば延長戦もあり得ると思ったからだ。

『8カウントで立ち上がりました! 試合続行です』

「いえ、無理です。よく立ったとは思うんですが」

そしてまもなく、明治は後ろ向きに倒れ、審判全員が、試合続行不可能の、赤旗を上げた。

『決着がつきました! 残り1分の大逆転劇! 明治さん1年ぶりの敗北! 新しい時代の幕開けだ!』

全力を出しきった聡美は決着を確認したところてその場に倒れ、ざわめきも歓声も聞こえなかった。

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