第67話 旅路
モブと桐生さんの話。あ、あと白河も。
「桐生さん、身体は大丈夫?結構長いこと馬に乗ってるし、休もうか?」
「・・・良いから、心配なんかしなくても。あと話しかけないで」
「そう?じゃあ、もう少し頑張って進もうか」
「・・・・・・」
ああ、空は今日も青・・・くないな曇りですね。
どうも皆さんこんにちは。佐藤拓郎です。モブではありません。そこのところよろしくお願いします。
今ですね、エンデスの王城から自由国家という名のダンジョン国家、ソルカサスに向かう旅路についています。何でそんなことになっているのか?それはエンデス王が行けって言ったからだよ。
前に桐生さんの部屋にお呼ばれされて、部屋から出た後白河から明日広場に来てくれって言われたことがあったじゃないですか。それで行ったら、いきなりソルカサスに行ってこいって言われたんだよ。
曰く、『これから起こる魔王襲来に向けて各国で協力したいから、ソルカサスのお偉いさん達に挨拶に行ってこい。後ついでにダンジョンでレベリングしてこい』とのこと。
何で俺と桐生さんがそんなことしないといけないんだよって聞いたら、一番レベルが高いから。あと桐生さんがいれば、ソルカサスのお偉いさん達に好印象を持ってもらえるから、とのこと。美少女って大変ですね。
ちなみに参加メンバーは、俺と桐生さん、白河とその取り巻きの女子三人だ。男女比2:4で女子の方が多いが、嬉しいと思ったことは一度も無い。だってどの女子とも仲良く無いもの。え、桐生さんはどうなのかって?・・・仲良いと思うか?
どうでも良いけど、宮野は外されている。多分DQNだからじゃないかな?
ところで、アキラに会いに行くって話だったのに、ソルカサスに向かって良いの?アキラがいなくなる前に渡していった手紙には、ミールに行くって書いてあったじゃん?と、思うかもしれない。俺もそう思ったし。
だけど桐生さん曰く、『ミールに向かうよりも、ソルカサスに向かった方が早く水瀬君に会える気がする』とのことで、寧ろソルカサスに向かった方が良いらしい。ちなみに根拠は勘とのこと。
不思議だね。勘っていわれても胡散臭いけど、乙女の勘っていったら何となく当たる気がするし、ヤンデレの勘っていったら当たる気しかしない。
「桐生さん知ってる?ソルカサスには、誰も登ったことのない山があるんだってさ。何でも、登ろうと思ってもいつの間にか道が分からなくなって、気づいたら山の入り口に戻ってしまっているんだって。不思議だよね」
ところで何だけど、このソルカサス遠征開始当初から度々白河の奴が桐生さんに話しかけてるんだよな。別になんてことない、ただの世間話ばっかだけど。だが対して、桐生さんの反応は?
「・・・・・・」
無視が基本である。偶に言葉を返すけど、九割以上シカトである。桐生さんマジで桐生さん。
「ちょっと桐生さん!折角白河君が話しかけてくれてるのに、無視って何考えてるの!」
だがシカトしていると大体取り巻きの女子が桐生さんに対してキレる。桐生さんの反応は?
「・・・・・・」
一瞥して終了。桐生さん流石桐生さん。
「ちょっとあんた、ほんとにねぇ・・・!」
シカトされたことによって更にヒートアップ。だがしかし。
「まあまあ、僕が勝手に喋ってるだけだからさ。あんまり怒らないでよ」
ここで白河が止めに入る。この一連の流れ、見るの何度目だろうな。少なくとも一桁じゃない。
「ところで佐藤、お前は大丈夫か?さっきから無言だけど」
「あ、ああ。大丈夫だ」
偶にだけど、白河が俺に声をかけることもある。
何だかなー・・・。あんまり白河、悪い奴には思えないんだよなー・・・。前にアキラは、ゴミとかカスとか生ける産業廃棄物とか地球温暖化の元凶とかって言ってたけど、少なくともそこまで言われるほどではないと思うんだよな・・・
何回か野宿した時男女別で、一緒のテントで寝たんだけど、眠りに落ちる前に少し話をした。その時の印象としては、気さくで穏やかで、顔も合わせたらそりゃ女子にモテるだろうなー、って感じ。
本当に何でアキラが、あそこまで毛嫌いしていたか分からない。アキラは基本、他人に対しては無関心だ。俺とか桐生さんとか、仲が良い人とは普通に接するけど、それ以外対しては認識しても、意識しようとはしない。そんなアキラが、何であんなに嫌っていたんだ?
・・・まあ、いくら考えたところで分かることじゃないよな。これは、本人たちに聞かなくちゃ分からないだろう。白河に聞くのはどうかと思うし、アキラに会ったらそこのところも聞いておこう。
「ねぇ白河くーん。私、なんだか疲れてきちゃった〜」
「そう?じゃあ、そろそろ一旦休憩しようか。あんまり無理をしても、体に悪いからね」
「あ、じゃあお菓子食べよー。料理長さんに貰ったお菓子、まだまだいっぱいあるからね〜」
「もう未来、お菓子持ってきすぎじゃない?」
「だって長旅なんでしょー?たくさんあった方が良いじゃない。白河君もそう思うでしょ?」
「うん、まあそうだね」
「ほら〜、じゃあ食べよ〜」
・・・・・・・・・・・・・うん。別に、リア充爆発しろ、何てことは言わない。見慣れてるからな。だけど、
ぼっちは辛い・・・!話せる人がいないの、かなり悲しいです。
後書きで何か書こうかと思ってたけど忘れた。




