第57話 桐生さんは何故そんなにもシカトスタイルなのか
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今話はモブ視点です。
本日、エンデスの王城には、宗教国家であるソルカサスからの使者が来ていた。俺達異世界人に挨拶をしに。そして今、その使者達は、
「流石勇者殿ですな!お若いのにしっかりとした考えをお持ちでいらっしゃる!」
「あはは、ありがとうございます」
白河と談笑している。凄いな白河。あんな豚野郎と笑顔で話せるなんて。俺は今ものすごく白河を尊敬している。
「勇者殿はきっと、ハクア様のような偉大な方になられるでしょうな!」
「はは、そうですかね」
というか俺、ここにいる意味あんのかな。一応王城にいる異世界人は全員ここにきているけど、俺何もしてないんだけど。こんなことしてる暇があったら、1レベでも上げたいんだが。
それにしても、ハクア様か。ソルカサスについて学んでいた時に、時々聞いた名前だ。
何でも、数百年前に実在していた人物であり、かつて何百万人もの亜人を殺した人らしい。
ハクア・・・どこかで聞いたことがある気がするんだよな、その名前。この世界で召喚される前に。
・・・まあ思い出せないし、どうでも良いことだったんだろう。そもそも、元いた世界で聞いた名前って時点で、そのハクア様とは関係無いし。
ところで、そんなハクア様を敬っている使者達は、つまりソルカサスの宗教の中でも亜人排斥派だということだが・・・。俺は差別とか好きじゃないし、あまり仲良くしたくないなぁ。もうほんとここから離れたいんだけど。でも、桐生さんに何かがあった時に俺がフォローしなくちゃいけないから、そういうわけにもいかないんだよなぁ・・・
「異世界人の方々は、勇者殿を初め見目も麗しい方も多いですなぁ。・・・特にあの娘、大変美しい」
その台詞を言った豚野郎の視線の先には、桐生さんがいた。だが、自分のことを話題に出されたのに、桐生さんは相変わらずのガン無視スタイルだ。流石です。
「お嬢さん、名前を伺ってもよろしいですかな?」
「・・・・・・」
話しかけられても、ガン無視安定。使者として来るくらいだから、ソルカサスの中でもそれなりに偉い人のはずだが、それでもシカト。桐生さんマジ桐生さん。流石です。
「おや?聞こえていないのですかな?」
「・・・・・・」
いや、聞こえてはいると思うよ。ただ話したく無いだけだと思う。というかあれ、俺が行かなくちゃいかないかな?アキラにお前が守れって言われてるし・・・。桐生さんなら、俺が何とかしなくても大丈夫な気がするけど、助けなくちゃ駄目だよな?桐生さんに何かあったら、もれなくアキラに殺害される気がするし。
「聞こえていて無視しているのか・・・それはそれで愛いですな。ほら、もっと顔をよく見せなさい」
あ、豚が桐生さんの肩に手をかけようとしてる。触らせたら駄目だ。桐生さんが反撃する気がする。俺がちょっと間違って手に触れただけで、本気で嫌そうな顔をされた時のことはまだ記憶に新しい。
・・・桐生さん、アキラへの対応と違い過ぎますよ・・・。アキラに対しては自分から軽く身体接触しにいくくらいのに、俺に対しては話しかけたら嫌々反応するって感じだし。
まあこれでもましな方なんだけどね。それ以外には完全無視だから。
あ、考え事してる場合じゃなかった、今にも豚が桐生さんの肩に触れようとしてる。俺は目の前でクラスメイトが人を無感動に惨殺するところなんて見たくない。
だが、俺が何とかする前に、
「初対面の淑女に、気安く触れるのはいかがかと思いますよ?」
白河が、その手を止めた。
「桐生さん。確か、用事があるって言ってたよね?桐生さんがここにいる必要は無いから、そっちに行って良いよ?」
いや、嘘つくなよ。桐生さんが自分の予定を他の誰かに言うわけないだろ。アキラは除く。
「・・・ありがとう」
桐生さんは小さな声で礼を言い、この場を去っていった。どうしよう、桐生さんがアキラがいなくなってから、俺とミルフィさん以外と話すの初めて見た。感動した。
「勇者殿・・・」
「勇者も俺だけじゃないんですから、そっちにも挨拶した方が良いですよ?宮野はプライドが高いですから、俺だけに挨拶してると機嫌を損ねるでしょうし」
そんな会話をしながら、使者と白河はその場を離れていった。
・・・今の、白河は桐生さんを助けたのか?いや、助けたよな。まああいつは基本的に女の子には優しいから、助けても不思議ではない・・・のか?
とにかく、白河が何とかしてくれて助かった。俺が豚の手を止めていたら、確実に面倒な事になってたと思う。具体的には俺が使者に睨まれる事になってた。
さて、桐生さんもいなくなったことだし、ここに居てもやること無いから、その辺で刀でも振ってようかな。俺は、人よりも努力しないと、アキラには追いつけないから。
タイトル変わりました。無駄にかっこよくなりました。




