第46話 バレンタイン
今回で漸く気づいた。エロいのよりも甘々恋愛の方が書いてて辛い、と。
今日は2月14日、つまりバレンタインだ。女の子が男の子にチョコをあげる日。
私は水瀬君にチョコをあげることにした。今まで水瀬君にはお世話になっているし、あげなければ逆に失礼だろう。
「うーん、どうしようかな・・・」
だが今は放課後で、本当はこの時間に渡したかったんだけど・・・。困ったことに、今日水瀬君は学校を休んでいるのだ。なんでも、風邪をひいてしまったらしい。私は水瀬君の家がどこにあるのか知らない。渡したくても渡せないのだ。
「先生に水瀬君の家の住所を聞こう」
それが一番良いだろう。学校で配布されたプリントを渡しに行く、と言えば教えてもらえるだろう。
職員室に行く。
「あの、すみません・・・」
「あら桐生さん、どうかしたの?」
担任の先生に話しかける。
「その、水瀬君にプリントを渡しに行きたいので、水瀬君の家の住所を教えてくれませんか?」
「水瀬君の家?・・・あー、そういえば今日はバレンタインだったわね。分かった、えっと水瀬君の住所は・・・」
先生に水瀬君の家の住所を教えてもらう。
「先生、ありがとうございました」
「どういたしまして。桐生さん、頑張りなさい」
何故か先生に応援され、職員室を出る。
よし、水瀬君の家に行こう。
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水瀬君の家に着いた。水瀬君の家は、普通の一軒家だった。
「あれ?水瀬君、いないのかな・・・」
呼び鈴を鳴らすが出てこない。もう午後5時なのに、どこの部屋の電気もついていないし、いないのかな?寝てるのかもしれない。
「待とっか」
しばらく待てば、そのうち来るだろう。
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「寒い、なあ・・・」
もう日は沈み、真っ暗になったが、まだ水瀬君は帰ってこない。これだけ呼び鈴を鳴らしたんだし、寝てるなんてことはないだろうから、家にいないんだろう。
「あとどれくらいで帰ってくるかなあ・・・」
もう2、3時間は待ったと思う。風邪をひいちゃいそうだあ・・・
「ん?桐生?」
少し離れた所から声が聞こえた。この声はーーー
「あ、水瀬君、おかえり」
やっぱり水瀬君だった。
「桐生お前、何でここに?」
あ、そうだった。チョコを渡すのを忘れていた。待つのが目的みたいになってたな。
「はい、ハッピーバレンタイン。水瀬君、あげるね」
チョコとプリントを渡す。
「ああ、今日はバレンタインだったか・・・。桐生お前、どれくらい待っていたんだ?もう8時だぞ?」
「あ、もう8時なんだ。3時間くらい待ってたのかな」
「3時間!?・・・チッ、桐生。俺の家に入れ」
「いや、用事は済んだから帰るよ。またね」
「馬鹿かお前は!3時間も待っていたなら、相当身体が冷えてるだろ!このままだと風邪をひく、一刻も早く暖まるべきだ!」
「いや、でも・・・」
「良いから入れ!」
水瀬君に腕を引っ張られ、水瀬君の家に入る。家の中はとても暖かかった。
「エアコンを設定しておいて良かったな・・・。桐生、ココアは飲めるか?」
「あ、うん」
「そうか、なら待ってろ」
少し待つと、水瀬君にココアを渡された。
「ほら桐生、早く飲め」
「うん」
ココアを飲む。
「ねえ水瀬君。水瀬君は風邪をひいたんじゃなかったの?」
元気そうだけど。
「ああ、仮病だ。今日はどうしても外せない用事があったからな・・・」
「外せない用事?」
「ああ・・・」
水瀬君はそれっきり話す様子はない。その用事については聞いてほしくないんだろう。
「身体も暖まったし、そろそろ帰るね」
ココアを飲んで身体の中から暖まり、元気になった。
「送ってく」
水瀬君も立ち上がる。
「いいよ。夜も遅いし、水瀬君に悪いよ」
「そんな遅い時間に、女の子を一人で帰すわけにはいかない。そんなことしたら、あの人に怒られる・・・」
「あの人?」
「ああ、こっちの話だ。気にするな」
水瀬君と2人で、私の家に向かう。
その間ずっと無言だった。私は話しかけようとしたけれど、水瀬君はずっと話しかけてほしくなさそうだった。
そのまま無言で歩き、私の家の前に着いた。
「送ってくれてありがとう。水瀬君、またね」
別れようとすると、
「桐生、聞きたいことがある」
水瀬君に止められた。
「なに?」
「桐生、お前は何故そこまでする?」
「え・・・」
どういうこと?
「何故こんな冬に、たった一人で3時間も待ち続けていたんだ?別に、明日にでも渡せば良かっただろう?」
「だって、今日渡したかったから・・・」
「そんな理由だけでは、普通はこんなに寒い時に3時間も待ったりしない。今までも、俺がペンダントをなくした時、お前は見つかるまで探していただろう?5時間は探していたぞ?普通なら途中で諦める筈だ。他人の為にそこまでするか?」
そんなこともあったなあ・・・
「助けたら、駄目なの?」
「駄目じゃない。ただ、何故お前がそこまでするのか知りたい。お前は何を考えて、そこまでするんだ?」
水瀬君は、心の底から不思議そうにしている。
「ねえ水瀬君。水瀬君は、いじめられていた私を助けてくれた時、『俺がお前を助けてやる』、って言ったよね」
「言ったな。それがどうした?」
「だから、私も水瀬君を助けたい。恩返しがしたいんだよ」
「・・・恩返し?」
「うん。私は、水瀬君が好きだから」
水瀬君に、嘘偽りの無い純粋な行為を伝える。
「・・・そう、か」
水瀬君は呟いた後、
「桐生。嫌だろうが、我慢してくれ」
「えっ?」
私を抱きしめた。
「み、水瀬君!?」
「すまない桐生。お前はこんなにも優しいのに、俺は・・・」
水瀬君は尚力強く抱きしめてくる。一体どうしたの!?
「桐生、少しで良い。このままでいさせてくれ・・・」
「う、うん・・・」
暫く、抱きしめられる。
「・・・ありがとう、桐生」
水瀬君は、私を抱きしめるのを止めた。
「悪いな、いきなり抱きしめたりして」
「ううん、大丈夫だよ?」
驚きはしたが、嫌ではなかった。
「桐生、俺はお前に、謝らなくちゃいけないことがある」
「謝らなくちゃいけないこと?」
水瀬君、なにか悪いことをしたのかな?
「でも悪い。まだ心の準備が出来ていない・・・」
「私は、いつでも大丈夫だよ?」
「そうか・・・。いつか必ず謝るから、その時まで待っていて欲しい」
「分かった。待つよ、いつまでも」
待つのは、嫌いじゃないしね。
「桐生、俺はそろそろ帰る。またな」
「うん、またね」
水瀬君は、自分の家に帰っていく。
・・・あんなに力強く抱きしめられるの、初めてだったな・・・
次回よりヤンデレ化開始しまーす。
こんな甘々恋愛なんざ見たくないんじゃあ!!という方、ご安心ください。再来週からふざけたアキラ君が帰ってきます。(予定)




