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第43話 助けると言った

fateについて話したら予想外に感想があってびびった。どうせなので今回も話します。


最初アストルフォが男だと知った時は、マジで絶望しました。

また翌日。教室に入ると、水瀬君が男子生徒数名に囲まれていた。


どうしよう・・・。ちょっと怖いけど、挨拶しなきゃ駄目だよね?


「水瀬君、おはよう!」


大きい声で挨拶すると、水瀬君と他の男子生徒数名が私に気づいた。


「ああ、おはよう」


水瀬君は挨拶を返してくれた。そして、他の男子生徒数名は私を見ると、舌打ちをして水瀬君を睨んだ後、離れていった。


「ねえ水瀬君。あの人達と何を話していたの?」


明らかに不穏な様子だった。水瀬君、大丈夫かな・・・


「大したことじゃない。桐生が気にする必要はない」


「でも・・・ちょっと剣呑な感じだったよね・・・?」


「大丈夫だ。さて桐生、昨日数学を教えると言ったよな?今教えるか?」


水瀬君は、その話題に触れて欲しくなさそうだった。なら私は、素直に水瀬君の申し出に乗ろう。


「あ、うん。お願いします」


「ああ。で、どこが分からないんだっけ?」


「えっと、この問題がよく分からなくてーーー」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後も特に問題はなかった。休み時間になれば私は水瀬君のところに行き、話をした。


そして放課後になり、机の中の整理をしていると、


「あれ?この手紙、何だろう・・・」


机の中に見知らぬ手紙が入っていた。中を確認すると、『放課後、一人きりで校舎裏に来てください』とあった。


もしかして・・・告白?


いや、そんな訳ないか。私はつい先日までいじめられていたのだ。そんな私に、告白する人なんていないだろう。


だったら、何の用事なのかな・・・


悩んでいると、


「桐生、今日も一緒に帰るか?」


水瀬君が話しかけてきた。


「その、ごめんなさい・・・。私、放課後ちょっと用事があって・・・。本当は一緒に帰りたいんだけど・・・」


「別にちょっとくらいなら待つが」


「時間がかかるかもしれないから、待ってもらうと水瀬君に悪いし・・・。先に帰っててもらえないかな?でも明日は、一緒に帰ってくれる?」


「・・・。ああ、分かった。じゃあ、またな」


水瀬君は帰っていく。よし、校舎裏に行こう。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


校舎裏に来てみると、一人の男子生徒がいた。クラスメイト・・・だったかな?


「あ、桐生さん。来てくれたんだ」


「う、うん・・・」


彼が私を呼んだらしい。何の用事なのかな?


「その・・・桐生さん!単刀直入に言います!俺と付き合ってください!」


「え・・・?」


まさか、本当に告白だったなんて・・・。どうしよう・・・。


男子生徒を見る。見たことはあるけど、話したことはなかったと思う。何で私に告白したんだろ・・・


話したこともないような人と付き合うのは嫌だし、断ろう。


「その、ごめんなさい・・・」


「そんな・・・。何でですか!理由を教えてください!」


理由?そんなこと聞かれても・・・。何か無いかな・・・


ここで咄嗟に、水瀬君の顔が思い浮かんだ。


「私、他に好きな人がいるから・・・」


思い浮かぶと同時に、この言葉が出ていた。


「そんな!水瀬とは別に付き合ってないんですよね!なら良いじゃないですか!」


「え・・・」


頭に思い浮かべていた人の名前を言われ、顔が少し熱くなった。


「桐生さん。お願いです、俺と付き合ってください!絶対、水瀬といるのよりも楽しいですから!」


男子生徒が詰め寄り、叫んでくる。


「私、貴方とは付き合いたくない・・・」


「何でですか!俺、絶対後悔させませんから!付き合ってくださいよ!」


「い、いや・・・」


怖くて、後ずさってしまう。


「桐生さん!」


背中が壁にぶつかる。もう逃げ道はない。男子生徒は私の肩を掴み、尚叫ぶ。


怖いよ・・・。助けてよ、水瀬君・・・


「くそ、こうなったら力づくで・・・」


「力づくで、何をするつもりだ?」


ここに、居るはずのない人の声が聞こえた。でも、この私を落ち着かせてくれる、冷めたようで優しい声の主はーー


「水瀬君!」


「桐生、様子が少し変だったから介入したが、問題無いよな?」


帰っていた筈の、水瀬君だった。


「桐生さん!何で水瀬がいるんですか!一人きりで来いって言ったじゃないですか!」


男子生徒が、私に向かって叫んでくる。


「俺は勝手についてきただけだ。それよりお前、桐生の肩から手を離せ。桐生が嫌がってるだろ?」


それに対し、水瀬君は冷めた態度で応じる。


「お前には関係無いだろ!どっか行けよ!」


「確かに関係は無いが、お前の台詞を聞いてると、桐生が危ない目に合いそうだと判断した。ここでこの場を離れるわけにはいかないな」


水瀬君は男子生徒の叫びに一切応じない。


男子生徒の、肩を掴む力が弱まっている。今なら、逃げられる。


「あっ!」


男子生徒の手を払い、急いで水瀬君の背中に隠れる。


「水瀬君」


「桐生、後は俺に任せろ。何なら帰っても良いぞ?」


水瀬君は私にそう言った。


「私、水瀬君と一緒にいたい」


「・・・そうか」


水瀬君は私から顔を背け、男子生徒と向かい合う。


「さて、お前はどうする?こうなっては、お前が桐生と付き合うのは絶望的だと思うが?」


「・・・お前ら付き合ってないんだろ?だったら、何で邪魔をするんだよ!」


男子生徒が叫ぶ。


「お前が桐生に詰め寄ったからだ。普通に告って振られて終わりなら、こんなことはしない」


水瀬君は変わらず冷静に答える。


「取り敢えずお前、もう二度と桐生に近寄るなよ。お前と桐生が一緒だと危ないからな」


「・・・何でお前にそんなこと決められなくちゃいけないんだよ」


「俺は桐生に、俺が助けると言ったからな。それを実行しているだけだ」


水瀬君は私に向き直る。


「桐生、帰るぞ。もうここに用はない」


「う、うん」


サッと歩き始めた水瀬君についていく。男子生徒は、何もせず地面を見ていた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「水瀬君。助けてくれて、ありがとう」


帰り道で、水瀬君にお礼を言う。


「言っただろ?俺がお前を助けてやるって」


水瀬君は特に表情を変えることなく言う。


「水瀬君。どうして先に帰っていなかったの?」


てっきり、帰っていると思っていたのに。


「ああ、桐生が告白されるのが分かったから残った」


「・・・分かってたの?」


「ある程度予測は出来ていたからな」


予測って・・・。どうやって予測したんだろう。


「そろそろお別れだな」


もう駅の近くだ。確かに、お別れだ。


「桐生、また明日」


「うん、またね・・・」


水瀬君が離れていく。だけど、一つだけ聞きたい事があった。


「水瀬君!」


「ん?何だ?」


「水瀬君は・・・好きな人、いる?」


純粋に、気になって聞いてみた。


水瀬君は一瞬考えた後、こう答えた。


「さあ、俺にもよく分からないな」


水瀬君は再び別れを言い、離れていった。


水瀬君、好きな人がいるか分からないってことは、明確に好きな人はいないんだよね?


それは喜ぶべきことなのか、悲しむべき事なのか、よく分からなかった。

すみませんが、これから2週間ぐらい忙しくなり、投稿スピードが落ちると思います。


それでも5話くらいは投稿するので、怒らないでください。

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