第4話 レアジョブ(ただし強いとは言っていない)
ジョブが分かります。
ステータスに「精度」を追加しました
「では諸君。『ステータスオープン』と言ってくれ」
広場に連れてきた後、騎士団長の・・・なんとかはそう言った。
「「「「ステータスオープン!」」」」
クラスメイト全員の声が重なる。何でタイミング合わせたの?
すると目の前に、薄いオレンジ色のボードが現れた。それを見ると、
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水瀬明 (みなせあきら) 16歳
罠師 Lv1
HP5
MP3
STR 2
VIT 3
INT 2
MDEF 3
AGI 5
DEX 10
スキル
罠作製 罠設置高速化
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うっわー数値しょっぼ!
ていうか罠師?剣士とかじゃないのか?戦えるの?
悩んでいると、
「よっしゃ!騎士だってよ!」
「魔法使いだって!」
「暗殺者か。ちょっと嫌だなー」
「治癒魔法師だって〜」
そんな声が飛び交う。えっ、罠師なんて俺だけ?
「静かにしろ!分かってる様だが、それぞれ上から名前、年齢、天職、レベル、各種能力値、スキルだ!」
騎士団長がそう叫ぶ。煩い。ていうか、分かってるみたいだかって言ってるけど、HPとかDEXとかの各種能力値の意味が解らない奴がいると思うんだが?いやまあ、俺は大体分かるけどね?
「おいアキラ!俺は侍だったぞ!お前はなんだった?」
モブが話しかけてきた。
「私は魔女だったんだけど・・・水瀬君は?」
桐生も来た。・・・仕方ない、言うか。
「罠師」
「えっ?」
「いやだから罠師だって」
「えっ、え?」
「だ・か・ら!罠師だよ」
こいつらしつこいな。あ、いや、鬱陶しいのはモブだけか・・・
「えっと、罠師ってつまり、罠を仕掛ける人のことだよな?」
「ああ」
分かってるなら聞かないでほしい。
「えっと、ドンマイ?」
こいつウザいな。禿げればいいのに。
「いいんだよ。気にしたら負けだと思うから」
諦めって大事だよね。
「水瀬君が弱いわけ無い。きっとなにか凄いことができるんだよ」
桐生がそう言って励ましてくれた。
ヤバイ、桐生が女神に見えてきた。桐生を崇める宗教作ろうかな。
「罠師だと?」
騎士団長が来た。こっち来んな!
「もしかして凄い天職なんですか?」
モブが尋ねる。
「とても珍しい天職だ。だが、実践では大した役にも立たない上に非戦闘職だからろくにレベルも上がらないから、弱い天職としては有名だが」
嘲るようにして騎士団長が言う。何こいつウザいんだけど。
「はっ、水瀬お前、罠師だって?笑わせてんのかお前!」
そう言ったのはもう1人のイケメンサッカー部である宮野龍樹だ。こいつは白河と違い、俺のことを露骨に嫌っている。怪我させたんだから当たり前の気がしないでもない。けど、そこを許してこそ男だと思う。
「お前の天職はなんなんだよ宮野」
さぞ立派な天職なんだろう。
「俺か?俺はな、勇者だよ!」
マジで立派だった。びっくり。お前の事だからヤクザAとかその辺だと思ってたのに。
「そうか、良かったな」
「はっ、お前みたいな非戦闘職とは違うんだよ!」
こいつ煩いな。俺に関わらないでほしい。
「この40人の中、非戦闘職は貴様だけのようだ。本当に貴様は勇者の仲間なのか?とてもじゃないが戦力になりそうにないな」
騎士団長は息を吸い言った。
「見ろお前ら!こいつはお前らの中で唯一使えない奴だ!だが他は違う!力がある!こんな無能とは違い、戦う力が!だが、今は弱い。強くなり、こんな無能とは違うということを見せてくれ!そして、憎き魔族を打ち倒すのだ!」
ワーーーッ!!
周りから歓声が上がる。クラスの皆さんノリ良いなぁ・・・。打ち合わせ無しでこんな歓声上げれるとか俺には真似出来そうにない。
あ、いや、それは兎も角。こいつ・・・多分、俺を蔑むことによって目障りな俺の発言力を無くすつもりだ。これで、この場における俺の発言力はほとんど無くなっただろう。オマケに弱さを悪として扱うことで、強くなる事を正義として掲げるつもりかな?
「そんな事ない!」
凛とした声が響く。その声の主は、
「桐生?」
桐生だった。どうしたんだ一体。
「水瀬君は強い!弱くなんてない!まだ何も始まってないのに、水瀬君を馬鹿にしないで!」
桐生・・・こんな大きな声出せたんだ。正直中学時代から、話し声以上の声量を出せないものだと一人で勝手に思ってた。
いやふざけてる場合では無い。桐生が、俺のために怒ってくれたのだ。
「ああ!俺は強くなってやる!見てろよお前ら!」
タンカを切る。だが、周りから嘲笑される。どうせ無理だと思っているんだろう。まあ普通では無理なんだろう。騎士団長があそこまで言うくらいだ。だが、
「俺は頭脳派なんだよ。正攻法なんて使わない。どんな方法を使ってでも強くなってやる・・・!」
俺はその日、誰よりも強くなると誓った。
こっから成り上がります