第39話 王城は大変
前回これで第一部は終わりとか言いましたが、あれは間違いです。今話で終わりです。
ーーエンデス王国王城、とある場所ーー
「アレインよ。ガキ共の様子ばどうだ?」
「一部はまだ反抗的ですが、それ以外は従順です。特に問題は無いかと」
「そうか、ならよい。ところで、水瀬明の件はどうなっている?」
「恐れながら、まだ消息はつかめておりません。影の者も努力していますが・・・」
「そうか・・・まあ仕方あるまい。まだ時間はたっぷりーー」
「仕方あるまい?シュバイツよ、貴様は何をしでかしたか分かっているのか?」
突然、新たに人物が現れた。見た目はただの老人だ。
「な、何故貴方がここに・・・」
「陛下、こやつは何者ですか?陛下に向かって無礼な態度、切り捨てて構いませんか?」
「馬鹿者アレイン!その方はーー」
「貴様、王に向かってその口の利き方は何だ?その不敬・・・死んで償え」
老人が手をかざすと、突然鎧を着た男がもがき苦しみだした。
「がっ!?・・・かっ・・・」
「お待ち下さい王よ!アレインは若輩故、王に対する振る舞いを知らぬのです。どうか寛大な処置を!」
「・・・まあ良い。今回は大目に見てやろう」
老人が手をかざすのを止めると、鎧を着た男も苦しみから解放された。
「はぁっ。はあはあ・・・」
「寛大な処置、感謝します」
「良い、その男はまだ使える。殺すには惜しいと判断したまでだ」
「ありがとうございます。ところで王よ。一体何の用がお有りですか?」
「・・・シュバイツよ。貴様、システィアを逃したらしいな?」
「システィア、ですか・・・?確かにアレは消息が不明ですが、一体何の問題が・・・」
「馬鹿者!アレは、『誓いの巫女』だ!」
「な、システィアがあの、誓いの巫女だったのですか・・・?」
「当たり前だ!あの銀の髪と目、あれこそが誓いの巫女たる証であろうが!それを逃すとは、万死に値する。貴様の一族を王にしたのは、間違いだったかもしれぬな・・・」
「王よ!どうかお許しください!システィアが誓いの巫女だとは知らなかったのです!」
「ふん、もう良いわ。我が計画も最終段階。もはやこの国の王が誰であろうと構わぬ。そういえばシュバイツよ。貴様、影の者をシスティア捜索に使っているそうだな?」
「はっ、その通りです」
「所有権を儂に返せ。あれらには、これより儂の『作品』の監督をしてもらう」
「『作品』、ですか?もう完成したのですか?」
「うむ。だから早く儂に所有権を返せ」
「了解しました。速やかに返却致します」
「うむ、それで良い。では儂は館に戻る。これからも儂に尽くせ」
「はっ」
老人は、自分の居城へと戻る。
「漸くだ。漸く貴様を殺せるぞ、ハクア・・・!!」
老人の目は、銀色に輝いていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺、佐藤拓郎がミルフィさんと仲良くなってから暫く経った。そして、遂に恐れていた事が起こった。
「死人が出た、か・・・」
そう、遂に死者が異世界人の中から出たのだ。一人で勝手にダンジョンに行き、そのまま行方不明になったらしい。捜索しても肉片の一つも無かったことから、何らかの魔物に喰われたのだろう。
死んだ奴とは大して仲良くなかった。だけど、それでも元々はクラスメイトだった。どうしても、気分は良くない。
「・・・アキラは、大丈夫なのかな」
大丈夫だとは思う。あんなに強いんだし、システィアさんだって付いている。何より、アキラが死ぬところなんて想像出来ない。
だが、万が一の場合もある。アキラだって万能じゃない。弱点だってあるだろう。
強くなりたい。自分だけでなく、大事な人を守れる位に。
俺はもう、大事な人を失うのは嫌なんだ・・・
「佐藤君」
「はいっ!?」
誰かが話しかけてきたと思ったら、桐生さんだった。
「水瀬君の写真が何処にあるか知らないかな?」
「すみません。分からないです」
流石桐生さん。クラスメイトが死んでも通常運転である。他人への興味の薄さはアキラそっくりだな・・・
「そっか・・・。何処に行ったんだろ」
桐生さんは何処かへ行く。本当に桐生さんはブレないな・・・
うん、桐生さんと少し話したおかげで多少気分はマシになったかな。さて、今日も訓練頑張ろう。
いつの日か、アキラと肩を並べて戦えるくらいに強くなりたいな。




