第37話 怒涛の展開
「じゃあ、よろしく」
「はい」
アイデートを倒したものの、若い女性をその辺に放置しておくのは如何なものかと思ったので、その辺にいた奴に預けた。
「ベルゼルガ倒しに行くかー」
『索敵』を使い探す。・・・居ないなー。半径5キロ以内をある程度隈なく探しているが、居ない。
「仕方ない、動くか」
適当に最前線だと思われる方に歩いていく。
「死ねぇぇぇぇぇ!!」
「テメェが死ねやゴルァァァ!!」
どいつもこいつも元気に殺し合っている。一人くらい『人殺しなんてできましぇぇぇぇん!』とかって言う奴はいないのだろうか。
「ギャァァァァ!?」
「何だ!?いきなり爆発したぞ!?」
適当にブレイカーの連中が踏みしめる所に直接地雷を設置する。『遠距離設置』離れた場所にでも罠を仕掛けることのできるスキルだ。『罠即時設置』という、罠を一瞬で仕掛けることの出来るスキルと組み合わせると、こんな風に相手が今踏もうとしている地面に地雷でも何でも仕掛け放題。めっちゃ楽。
それにしても、足が弾け飛んでいてかなりグロい。まあ、戦場だから仕方ない。傷つきたくないなら戦場に立つな。
その後もベルゼルガを探しながら地雷を仕掛けていく。・・・そろそろストック切れそうだな。また創らないと・・・
「あ?これ雑用係か?」
ずっと歩いていると、俺の『索敵』の範囲内に雑用係だと思われる奴が入った。瀕死だけど。
驚いた。あいつそれなりに強いから、そうそう負けることはないと思っていたが・・・。負けてるじゃないですかー。油断したか?
助けに行こうかなー。でもぶっちゃけ面倒だなー・・・。うん、あいつがいなくなると、シャイニングの連中に指示を出す奴がいなくなるし、助けに行こう。
雑用係がいる所に駆け出す。多分最前線。
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「クソッ!俺は、妹を助けなくちゃいけないんだ・・・!こんなとこで負けられるか!」
「ふっ、威勢はいいが、実力が追いついていないな。その程度では誰も救うことなんてできん!」
「・・・確かに、俺は弱い。最近負けてばかりだしな。だけど、それがどうした!弱いからって、諦める理由にはならない!」
「大した心意気だな。ならばその心、俺の力を持って潰してやろう!」
「行くぞベルゼルガ!俺は絶対、お前に勝つ!」
最前線に着いたら、雑用係がそんな会話を筋肉ダルマとしていた。
何あいつ。滅茶苦茶カッコイイ台詞言ってんだけど。何アレ、主人公か何かなの?
というか、あのマッチョがベルゼルガか。流石にあの見た目で女ということはないよな?なら、容赦なくやれる。元々手加減するつもりもないが。
乱入しようとするが、
「うおおおおお!!『シャイニングソウル』!!」
「な、何だそのスキルは!」
「これは想いが強ければ強い程、力を増すスキルだ。俺の妹への想いの力、見せてやる!」
「舐めるなよ!この若造が!」
・・・なんか雑用係が光り出したので止めた。頑張ってるみたいだし、もうちょっと様子を見てからにしよう。
それにしても『シャイニングソウル』、想いの分だけ強くなるスキルかー・・・。ヤンデレ御用達スキルだな。俺も欲しいです。でも、罠師ってそういうステータス上昇のスキル使えないんだよなー。それ以前に、単純に戦闘に役立つスキル覚えないんだよなー。だからスキルを変な使い方してるわけだし。・・・俺もオーラか何か纏いたいです。
「「うおおおおお!!」」
元気に殺し合ってるなー。・・・どうしよう、滅茶苦茶あいつらの足元に地雷を仕掛けたくなってきた。流石に無粋だからしないが。俺だってたまには空気を読むのだ。基本流れとかガン無視で行動するけど。
「くっ、この俺と互角とは・・・!やるな!」
「まだまだァ!」
それにしても、なんて言いながら乱入しようかな。『何を手こずっているエイラ!貴様を倒すのはこの俺だ!こんな雑魚にやられるんじゃない!』とかって言いながらにしようかな・・・
「クソッ、俺は負けるわけには・・・!」
「よくやったが、もう限界だな」
あ、気づいたら終わりそうになってる。物思いにふけってたら気づかなかった。
よし、乱入しよう。
だが、
「負けないで!お兄ちゃん!」
「フィア!?」
いきなり可愛い女の子が出てきた。誰?雑用係の妹?
「お兄ちゃん諦めないで!もうちょっとだけ、頑張って!」
「フィア・・・うおおおおお!!!」
雑用係の光が増した。おお、スゲー。
「これが俺の妹への想いの力、ラブアタックだぁぁぁぁぁ!!」
技名ダサッ!!俺も人のこと言えないけど!
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
あ、ベルゼルガが倒れた。勝っちゃったよ雑用係。
「お兄ちゃん!」
「フィア!」
抱き合う兄妹。え、何これ最終回?
「もう、離さない・・・」
「お兄ちゃん・・・」
あのーお二人さん。感動の場面のとこ悪いんだけど、別に戦争終わったわけじゃないからね?一人幹部倒しただけだからね?
「総員、武器を捨てなさい!」
かと思ったらシスティアが現れた。なんか豚を持ってる。
「ブレイカーのボス、そしてアイデート、ベルゼルガは倒れたわ!ブレイカーは大人しく投降しなさい!」
あ、あの豚がブレイカーのボスなんだ。頼んでいたことやってくれたんだ。
「ボスがやられるなんて・・・」
「アイデートさんとベルゼルガさんもか!?」
「もう駄目だ・・・」
ブレイカーの連中は次々武器を捨てていく。
こうして、シャイニングとブレイカーの戦争は幕を閉じたのであった。めでたしめでたし。
・・・え、俺の出番は?展開早過ぎじゃね?
『効率厨が贈る魔王殺害計画』というのを投稿しました。よろしければ読んで下さい。




