第26話 下僕・・ではなく手下獲得
遅れてすみません
「ご、ごめんなさい・・・俺が全面的に悪かったです・・・」
システィアとボスが戦い始めた1分後、そこにはまたもやボロボロになったボスが這い蹲っていた。流石ですシスティアさん。まじぱないっす。
「ふう、これで少しは気が晴れたわね。・・・今まで散々アキラにからかわれた恨みの」
よし、逃げよう。今なら逃げ切れる。
「待ちなさいアキラ」
だがあっさり捕まった。あれ?おかしいな・・・俺の方がステータスの『AGI』高いはずなんだけどな・・・。まあ、スキル使えば、一時的には俺より速くなれると思うけどさ。でも、見た感じスキル使ってないよな・・・。なんでだろう・・・
「離してくださいシスティアさん!俺はまだ死にたくないんです!また雪菜に逢いたいんです!俺が全面的に悪かったので許してくださいっ!」
「なんで死ぬとかそういう話になってるのよ・・・別に何もしないわよ」
「・・・システィア、今までからかったこと怒ってるんだろ?」
「別に怒ってはいないわよ。寧ろ少し・・・。嬉しかったわよ」
え、もしかしてシスティア・・・
「システィアってマゾだったの?」
「殴るわよ?」
怒られた。
「・・・今まで仲良くどころか、まともに会話した相手すら居なかったから、からかわれてるんだとしても嬉しくて・・・」
「・・・ごめんシスティア。俺、今度から、もっとシスティアに優しくするよ・・・」
なんだか重い雰囲気になった。システィア、今まで大変だったんだな・・・。俺も友達あまりいないけど、モブが居たしな・・・。モブって俺にとっては大事な奴だったのかもしれない。
「とにかく、私はやりたい事はやったから、後はアキラに任せるわね」
あなたここに何しに来たんですか。ただ気晴らしにですか。そうですか。そうですよね・・・
なんというか、割と前から思ってたけど、システィアって少し脳筋っぽいところあるよな・・・。まあ、この世界の人って大体そうだが。その中だと、システィアはましな方だろう。この世界には、『こいつがいると都合が悪いから、殺した方がいいな・・・。よし、殺そう』って考える超弩級のアホがいるからな・・・
「おいお前、念のため聞くが大丈夫か?」
瀕死のボスに話しかける。マジで死にそうだなコイツ。
「大丈夫だと、思うか・・・?」
いや、全然。
「仕方ないな・・・。『ヒール』」
死んだら困るので治癒魔法をかけてやる。俺優しい。まあ、最低限話せる程度までしか治してやらないが。
「よしボス。お前どうする?システィアを人質にでもするつもりだったんだろうが、お前も身を以て体験した通りシスティアは凄く強いから、そんなの無理だろ?というわけで、大人しく俺の手下になるか?ちなみに、断ったらシスティアけしかける」
「アキラは私のことなんだと思ってるのよ・・・」
バトルジャンキー。
「断りようないだろ・・・。分かった。俺たちシャイニングは、お前の配下になる・・・」
よし、素直に認めてくれたな。脅迫って偉大。現代日本じゃ認められてないけどね。
「よし、じゃあそれを部下どもに伝えに行くか」
ボスの服の襟を掴んで引きずる。
「ぐ、もうちょっと優しくしてくれ!」
「男に優しくするのはなんか嫌だ」
男にお姫様抱っことかしたくないし。そもそも叫ぶ元気があるなら大丈夫だろ。
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「「「「「ボ、ボス!!」」」」」
元いた部屋に戻ってきたところ、チンピラ共はほぼ全員が目を覚ましていた。起きていないのは、妙に傷だらけの奴らだが・・・。多分あれやったのシスティアだろ。そいつらは縄で縛られていない。俺が気絶させた奴は全員縄で縛って置いていたから、その目を覚ましていないのはシスティアを拉致しに行って返り討ちあった連中だろう。・・・愚かな。俺だってスキル無しだと勝てないのに・・・。
スキル有りなら普通に勝てる。攻撃当たらないし。
「ほら、ボス。さっさとこのチンピラチームのボスが変わったことを教えてやれ」
「は!?ボスが変わるってどういうことだ!」
下僕共が煩い。黙ってくれないかな・・・。そんな騒がなくても聞こえる。俺がどれだけ耳が良いと思ってやがる。
「・・・そのままの意味だ。今日からシャイニングのボスは、この・・・あ、名前知らねぇ」
あ、そういえば教えてなかった。仕方ない。俺から自己紹介してやろう。
「俺がこのチームのボスになるアキラだ。俺の言うことをよく聞いて、馬車馬のように働けこの愚民共」
超上から目線。ああ、なんだか気分が良い・・・。
そんなところに茶髪野郎からこんなコメント。
「は!?誰がお前の言うことなんか聞くかこの女男!」
「誰が女男だゴルァァァァァァァ!!」
ふざけるな!俺のどこが女男だ!お前らがむさ苦し過ぎてちょっとそう感じるだけだろうが!そんなこと言ったら俺より女顔の白河はどうするんだ!・・・ちっ、嫌な奴のこと思い出した。死ね白河。
「とにかくこれからは俺の言うことを聞け。安心しろ、ついでにお前らの家族や恋人も助けてやる」
「な・・・!俺たちの家族を助けてくれるのか!?」
なんかいきなりボスが喰いついてきた。身動き一つ取らなくなったから、遂に事切れたのかと思ってた。
「ああ、助けてやる。喜べ。この超強くて(少なくともお前らよりは)超頭が良い俺が助けてやるって言ってるんだ。精々感涙に咽び泣け」
「・・・よっしゃー!!もしかしたら、本当に助けられるかもしれないぞ!!」
下僕共が騒ぎ出した。縄で縛られてるのに元気だな。
「ちょっとアキラ。助けるってどういうことよ」
静かだったシスティアから聞かれる。そういえばシスティアは、家族を奴隷にされたって話聞いてなかったね。
「後で説明する」
「そう。分かった」
こんな一言で下がってくれるシスティアさん素敵。システィアと話すのは楽で良い。
「じゃあ先ず、このチームの戦力とか人員とかそういう情報を紙かなんかに書いとけ。また明日来る」
「え、帰っちゃうんですか?」
「当たり前だろ。俺はエレナちゃんに会いたいんだ」
「・・・誰?」
「エレナちゃん(15歳)だよ!身長154センチ、体重43キロ、髪は茶髪のポニーテール、好きな食べ物はりんごで、最近の趣味はお菓子作り、最近の悩みは気になるあの人にどうやったら振り向いてもらえるかっていう、超乙女で可愛いエレナちゃんだよ!知らねえの!?」
「アキラ、なんで昨日会ったばかりの子のことを知ってるの?」
システィアさんに質問された。よし、答えてやろう。
「本人から聞いた」
「仲良くなるの早すぎない!?」
「いや・・・、エレナちゃん(15歳)が物憂げな表情してたから、『どうしたんだい?悩みがあるなら、僕に相談してみないかな?』って聞いてみたら割と簡単に教えてくれたけど?」
「エレナちゃんそんなに簡単に自分の情報喋ったらダメでしょ・・・」
「ふざけるな!エレナちゃんじゃない!エレナちゃん(15歳)だ!」
「そこに何の差があるのよ」
知らん。なんとなく言いたかっただけ。
「とにかく帰るぞ。行くぞシスティア」
「ちょっと待って下さい」
チンピラから引き止められた。
「・・・なんだよ」
折角今脳内ライブラリから雪菜の笑顔を思い出していたのに、お陰でイメージが出来なかった。ぶっ殺してやろうかこいつ・・・
「いやあの、この縄解いてくれません?」
ああ、そういえば縛ったままだったなこいつら・・・。まるで生まれた時から縛られていたのかのように自然に見えたから、忘れてた。
「縛られてない奴もいるだろ。そいつに解いてもらえ」
「全員瀕死なんですけど」
ん、縛られてない奴は・・・
ボス:システィアにボコられて瀕死
システィアを拉致しに行った奴ら:システィアにボコられて瀕死
ふむ、なるほど・・・
「頑張れ」
「えっ」
颯爽とシスティアを引き連れて帰る。多分今の俺超かっこいい。
「いやあの!解いていって下さいよ!せめて1人でいいんで!え、マジで帰るんすか!?ちょっとーー!!?」
ふ・・・今の俺ならなんでもできそうだぜ・・・。あ、そうだ。アレを試してみよう。
「さてシスティア・・・。宿で一緒に寝ようか。一つになろう」
イケメンボイス&キメ顏。ふ、決まった・・・。よし、これならイケる!
「死になさい」
初めてシスティアに死ねって言われた。今度から自重しよ。
今日の感想。下僕が出来て良かったです。あとエレナちゃん近いうちに告白するらしいけど頑張ってください。
次回雪菜達の話です




