さようなら
さようなら
小説本文 うすっぺらい嘘が喉元に引っかかる
続けようか止めてしまおうか いっそ誤魔化しを仄めかす
本気は胸の内に必ずぶら下がっている
けれどもそれを具現できるほどの勇気が搾り出せない
焦ってつい 妙な作り笑いが口元に演じていた
好きだったよ 本当に
好きだったんだよ 嘘はなかったから
好きでした 好きでした とても とても
でも 今は”さようなら―——”
”ありがとう”と”さようなら”が 同居していて
どちらを優先していいのか どう切り出していいのか ???
明日 わたしは変わります
明日 わたしは変わることを希望します
目を合わさないで 独り言のように呟く
うつむいたままで 同じ台詞を繰り返す 繰り返す
だから もう”さようなら―——”
好きだったよ 本当に
好きだったんだよ 嘘はなかったから
好きでした 好きでした とても とても
明け方に涙する せめて後悔を背負う
つまり わたしの場合 いっそ わたしの場合
あなたの背中越しの 誰かの影に怯えている
わたしと違う香りに あなた安堵するのね
心は置き去りにされる やっと置き去りにされる
だから もう”さようなら―——”