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翌朝、少し警戒しながら両親と顔を合わせた。
けれど、二人ともいつも通りで、何もなかったかのように、わたしに接してきた。
父は、わたしを「香奈」と呼ぶことに、決めたようだった。
それは、昨晩のことについて、わたし達は考えを変える気はないんだよ、といった意思表示に思えた。
学校に着くなり、和可奈をつかまえ、小論文云々の理由は言わずに、笙子が塾をやめていたことを伝えた。
「嘘でしょう? わたし、聞いてない」
「少し前に辞めたんだって。昨日、母に聞いたの」
「……なんか、おかしいな」
「なにか気になることがある?」
「うーん。確かめてから答えるよ」
和可奈は思案顔で言った。
「あのさ、その、塾のことだけど。なにか、塾で困ったことがあったとか、和可奈ちゃんに相談してなかったかな?」
笙子に関する手持ちの駒が少ない分、少しでもひっかかりのあるところは攻めて行く。
すると、和可奈が瞬きをした。
「笙子から相談なんてなかったよ」
笙子は自分でなんでも解決しようとしているけれど、一人じゃ見つけられない答えだってあるはずなのだ。事実、和可奈はとても親身になってくれている。
「なんか、ほんと、わたし、友達がいのないやつだわ。ごめんね、相談しなくて」
思わず、そんな言葉が出た。
「やだ、止めて。笙子、なに言い出すのよ」
いい友だちだな、と思う。
和可奈は、事故に遭った笙子に対して、特別視せずに、そのままで接してくれる。
わたしが気が付かないだけで、気を遣ってくれていることだって、想像する以上に多いだろうと思う。
笙子、あなたにはいい友だちがいるんだね。
あなたはもっと彼女に頼っていいんだよ。
ひとりで頑張らなくてもいいんだよ。
いつもと違う場所に身を置くことで、見えてくる景色もあるんだから。
だから笙子。
戻っておいでよ。




