表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ごめんね、もう少し  作者: 仲町鹿乃子
2・香奈→楡井君
21/50

5-1

 家族で夕飯を食べながら、わたしは笙子(しょうこ)の塾について母に尋ねた。


「あぁ、塾ね。塾はね……」母の視線がすっと父へと移った。

「笙子はね、辞めたのよ」

「え、辞めたの?」


 笙子が? 

 なんで?


「笙子ね、もっと小論文に力を入れた授業があるところに移りたいって。それがね、本当に突然だったのよ」

「お母さん。それ、いつか覚えている?」

「……事故の前、かな」

「それで、笙子は、新しい塾を決めていたの?」

「ううん、まだよ。夏休み前までには、決めたいなぁって言っていたけど」

 その前に、事故がおきたのだ。


 あれっと思う。

 母に見せようと持っていた塾の講座のパンフレットをぱらぱらと捲り、和可奈わかなが折ってくれたページを開く。

 その中の一つに、「小論文を書こう」という講座があった。


香奈(かな)、どうしたの?」

 母の声に促されるように見せる。

「これ、学校で笙子と同じ塾だった子からもらったパンフレット。この特別講座に参加しないかって誘われたんだけど」

「あら。ここでも、小論文をやっているのねぇ」

 しかも、その講座の説明には、

 ――当塾で力を入れている小論文の授業を体験してみませんか――


 違和感の原因はこれだった。


「この講座に興味があったからお母さんに相談しようと思っていたの。でも、笙子が塾を辞めたのなら、無理だね」

 母にそう言いながら、ふと楡井の言葉を思い出した。


 ――これ、塾生じゃなくても参加できる講座だしね

 楡井(にれい)は、そう言った。


 ――「そういえば楡井君も、わたしと同じ塾なんだよね」

 ――「まぁ」


 ――「……楡井君とわたしは、同じ校舎?」

 ――「うん。俺と朝倉は、同じだった」


 もやもやが頭の中に溜まって来た。

 前髪を上げる。

 考えろ。楡井との会話の意味を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手 by FC2

cont_access.php?citi_cont_id=447020331&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ