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ごめんね、もう少し  作者: 仲町鹿乃子
2・香奈→楡井君
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12/50

1-5

 モデルまでして、自分の姿をポスターなんかにしちゃった人が「凄いね」くらいで赤くなる?

「あ、とりあえず。テストのこれが正解っていうか」

 正解っていうか、じゃなくて、正解でしょ。100点なんだから、はっきり言いなさいよ。なんて突っ込みはしない。

 笙子(しょうこ)だし。

 しかし、楡井(にれい)のこの初々しい反応ったら。こっちまで、恥ずかしくなってきたじゃない。

 楡井って、やっぱり笙子が好きでしょう。

 うわぁ、恥ずかしい!

 これってつまりが、青い春ってやつですか?

 自分のことじゃないけど、うきうきとしてきた。

 笑ってはいけないけど、顔がにやける。

 笙子はどうか知らないけど、姉として妹がもてるのは嬉しい。

 楡井の片想いか。

 あ、片想いなんて決めちゃいけないか。

 両想い、とか?

 おいこら、笙子、どうなんだい。

 物理どころではなく、呼びかけてしまう。

 ふふ。

 楽しい。


 廊下から響く足音が、わたしと楡井がいる教室の入り口でぴたりと止まった。

 顔を上げると、またまた大型わんこと目が合った。

「おっ? あ? 朝倉(あさくら)か?」

宗田(そうだ)、先生」

 自分の顔が赤くなったのがわかる。

 笙子のままで赤面してしまうのは、非常にまずいのに、どうにもこうにもなってしまう。

 ええい! 静まれ、心。

「楡井も一緒か。偉いなぁ、二人で勉強かぁ」

 そう言うと宗田は、教室の入り口から数歩近づいてきた。

「朝倉が楡井に教えているのか」

「いえ、朝倉さんが、赤点をとったのでぼくが教えています」

 楡井が涼しい声で言った。

 あわわわと、なる。

 本当のこととはいえ、楡井も愛想のないことを!

「赤点? 朝倉が?」

 宗田から見ても、笙子はそういったポジションなんだ。

 朝倉姉ならともかく、妹が追試? といった、宗田の心の声が聞こえてきそうだ。


「そうか。うん、うん。そうか。まぁ、仕方ないな。楡井、朝倉のことをよろしくな」

 宗田はとびきりの笑顔をわたし達に向けてくると、体、無理するなよ。ちゃんと、食べろよと、わたしに向かって言い、教室から出て行った。

 宗田の登場で、顔が赤くなったわたしは、前髪をあげ手で押さえ、おでこを出して頭を冷やそうとした。

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