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勇者召喚

あたちは雨が大好き。

お気に入りのカエルさんのカッパと長靴とカサはぜ〜んぶ水色で統一してる。

カサは雲とくじらの絵が入っててとってもおしゃれ♩

今日も朝起きる大雨が降ってたから雨具に着替えて飛び出した。

お休みだけど学校に行く。

今年入学した小学校は近いしグラウンドに海みたいな水たまりができるから歩いて渡りたい。

学校に到着したあたちはテンションが高くなりすぎて踊り狂う。

カエルのフードをかぶってるからカサを横に振り回しても平気だよ。

あ〜雨ってサイコー♩

てるてる坊主なんてだいっきらい!

歌いたくなったから即興で作ったオリジナルソングを歌っちゃう。

ケンケンパしたりくるりと回ったりしてバシャバシャ水しぶきをあげる。

だれにもめいわくかけてないもんね~。

もっとフレフレどしゃぶりにな〜れ♩

ルンルン気分ではしゃぎ回っていると、急に足元が光った。

魔法陣だ!

あたちはまばゆい光に包まれた。

気がつくと知らない場所にいる。ぺたんと床に座り込んでいると美声が降ってきた。

「うわっ!こりゃ驚いたねぇ。かわいいお子ちゃまじゃないか」

声の正体は三角帽子のセクシーな格好のお姉さんだ。すごくきれい。

「お姉さんだれ?ここどこ?」

「わたしは天才魔女エクレア様だよ。ここは異世界アンブレラさ」

「あたちは雨空雨音。7ちゃい。地球出身です!ビシッ!」

おでこに手をあてる。よくわかんないけど異世界転生しちゃったみたい。

アニメで観たことあるけど、まさか自分が異世界に転生しちゃうなんて夢見たいだ。

玉座があるし、ここはどこかのお城だね。

「わたしのことはエクレアでいいよ。いいかい?いまからいうことをよく聞きな」

「うん」

「いまアンブレラは魔界からやってきた魔王軍に侵略を受けてる。

突如、巨大な扉が地上のあちこちに現れて魔界から魔王軍が大量に飛び出してきたんだ。

魔界と人間界をつなぐ扉は女神の力によって閉じられて1万年以上、魔族の侵攻を受けてなかったから人間界は大パニックさ。

おそらく魔王が女神を呪い殺して封印が解けたんだ。

魔族はとんでもなく強くて人間はまったく歯が立たない。

そんで、あんたが勇者として召喚されたってわけ」

「なるへそ〜ってあたち勇者なの?」

「そうだよ。人類100億人も犠牲にして召喚した勇者なんだからきっちり働いてもらわないと困るよ。ちみ」

「100億人?またまたぁごじょーだんを」

あたちは笑い飛ばす。あたち1人呼ぶために100億人も犠牲にしたなんてばかな話、にわかには信じらんないよ。でも、エクレアは真顔だ。

「魔族の強さは次元が違った。人類最強天才魔女のわたしでもザコ1匹倒すのに悪戦苦闘するレベルさ。もともと120億人ちょっといた人類は魔王軍の侵攻2日で20億人も減っちまった。あっという間にみじん切りにされたりすりつぶされちゃったわけ」

「まじでやばいじゃん!」

「まじでやばいよ。単純計算で10日で人類滅亡だからね。魔王軍は降参も許してくれなかった。それどころか、ひどい内容の挑発する手紙を送ってきたんだ。女は全員犯すとか、男は局部をちょんぎるとか両親の前で子供を殺すとか恋人の前でレイプするとかさ。実際、すでにそういうことをしてたんだけどね」

子供だから全部は理解できないけど、この世界の人類は魔王軍からすごいいじめを受けてたみたい。

「悪魔だね」

「悪魔みたいなもんさ。わたしはこの世界で1番大きな国の王様に勇者召喚を提案した。

勇者召喚は犠牲にする人類の数が多いほど強い勇者が呼べるんだ。

魂のエネルギーを使って召喚するからね。

わたしの計算では100億人の命を犠牲にすれば魔王軍を殲滅できる勇者を召喚できるって伝えたよ。王様は迷ってた。100億人死んだら残りの人類は1万人ぐらいだからね。いくらなんでも犠牲がデカすぎる。王様から犠牲にする魂は選べるのか?って聞かれたよ。当然の質問だね。自分と家族は生き残りたいだろうし。でも、ランダムだからムリなんだ。召喚の実行者のわたしは犠牲者リストから除外されるけど他の人はムリ。ぜんぶ嘘つかずに説明した。王様は各国の王様に相談して各国で大きな会議が開かれる。各国の権力者たちは自分の命が1番大事だからすんげえ迷ってたよ。そこに悪魔から挑発の手紙が届いてみんなプッツン来たってわけ。全会一致で勇者召喚が決まったよ。たとえ自分たちが死んでも魔族に一泡吹かせたいって気持ちになったのさ」

「へーっ。そこまでして魔族を滅ぼしたいなんてみんなの執念を感じちゃうなぁ」

「他人事みたいに言ってんじゃないよ。これから亡くなった人類の仇を取るんだよ」

「あいあいさー」

「まずは腹ごしらえだ。あんたのスペックも知る必要がある。食堂に行くよ」

あたちはエクレアに首根っこをつかまれる。細腕なのにけっこう力持ちだ。

「カサカサっ!」

「カサなんていらないだろ。武器にもなんないし」

「いるの!」

「わかったわかった」

エクレアはカサを拾って頭上に掲げる。あたちは猫みたいに食堂に連れて行かれた。すごい広いのにガランとしている。

豪勢な食事が並んでた。

「好きなの食べな」

「うん」

グラウンドで遊んでたらお腹すいちゃった。あたちはあったかいシチューを食べてサクサクふわふわのパンを食べた。サーモンのバター焼きも食べる。どれもみんなおいちい。

こんなのひとりじめにしていいのかな?

王様やお姫様呼んだほうがいいのでは?

でも、さっきからずっと人の気配がしない。なんか嫌な予感がする。

「お城にだれもいないのってもしかして?」

「召喚の犠牲だよ。この城のみんなはずれくじ引いたたみたいだね」

やっぱりそうなんだ。かなちい。

「料理がまだ温かいのってもしかして?」

「さっきあんたを召喚したばっかりだからね。5分前までみんな息してたよ」

「このごちそうぜんぶあたちのため?」

「そうだよ」

きゅうに強い責任感が芽生える。あたしはフォークとスプーンを握りしめた。

「あたち魔王倒す」

「頼んだよ」

満腹になったから食事は終わり。残った料理はエクレアが凍らせていた。お腹すいたら炎で溶かしてまた食べる予定だよ。

あたちのスペックを調べるためにあたちたちは場内の訓練室に向かった。





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