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悪役王女のわたくしが、自給自足したヤンデレたちから逃亡するまで。  作者: 陽海
ヤンデレ育成編

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01 理想のヤンデレ世界を創りますわ

ヤンデレ盛りだくさんの新連載スタートです!

現時点で、二部構成(+Ifルートなど)、90話前後になります。

21時~23時頃エピソードごとまとめての更新予定です。

長くなりますが、お付き合いただけると嬉しいです。

 これは、無事に逃亡できた、と思って良いのでしょうか。


 わたくしは自分が起こした騒ぎを遠巻きに見つめます。馬車に揺られてお城が遠ざかっていき、もう、彼らとも顔を合わせることなどないと分かっているのですが、なんとも言えないもやもやとした不穏さが頭から離れません。


 そもそも、どうしてわたくしが面倒な目に遭っているのでしょう、納得できませんわ。


 乙女ゲームのわがままな悪役王女として好き勝手してきました。わたくしは、わたくしの欲のためだけに生きてきただけですわ。それなのに、どうして。どこで間違えてしまったのでしょうか。わたくしはただ、大好きで愛してやまない「ヤンデレ」を勝手に、自給自足してきただけですのに。


 みんなして、ヒロインではなく、悪役王女のわたくしにその執着を向けてくるなんて、どうかしていますわ。


 ***


 そもそもの始まりは、わたくしが13歳の頃、乙女ゲームの悪役王女ヴェロニカ・ティタニアに生まれ変わっていると気が付いたことでした。


 あまりにも突然でしたわ。わたくしはいつも通り夕食を取っていて、食卓には国王夫妻と兄弟たちがいました。不意に手元の皿が豪華に見えて、何気なく顔を上げて、目の前に座っている2人の美少年に目が潰れそうになりました。

 この美少年たちは誰? いやですわ、彼らはメレディス兄様と弟のゼノン、わたくしの兄弟です、と即座に思い至りました。一瞬、自分の名前も部屋にいる人々も、状況も、分からなくなったのですが、その瞬間すぐに記憶が塗り替えられて、自身の境遇を思い出しました。


「ヴェロニカ、どうかしたのか?」


 メレディス兄様がわたくしの様子がおかしいことを見抜いて声を掛けました。ゼノンも心配そうにわたくしの顔色をうかがっています。ゲームに登場する姿しか見たことがありませんでしたが、2人とも美形です。


 かくいうわたくしもこの13歳時点で、白髪ロング姫カットが似合うという、とんでもない美形です。

 色素が薄く神々しささえあるゼノンと爽やかで体格に恵まれたメレディス兄様。なんという美形兄弟でしょう。それと同時に、心苦しくなりました。


「気分が優れないなら、下がりなさい。部屋で休むといい」

「分かりましたわ」


 お父様、と呼ぶのを躊躇い、声に出しませんでした。

 というのも、わたくしはティタニア王家とは全くの血のつながりが無いのです。これはゲームの都合上、といいますか、ヒロインが悪役王女を蹴落として下克上という舞台装置を作るのに仕方ないことだと思います。ティタニア王家で散々わがままをしてきた王女が、実は隣国の人質として連れられてきて、ヒロインがどなたかと結ばれると、唐突にその事実が告げられて、ヴェロニカは追放されてしまうのですわ。


 なんとも不憫です。心配してくれる兄弟とも他人だなんて。思い出さなければ、ヴェロニカは知らずに幸せに生きられたかもしれませんが、思い出してしまったものはどうしようもありません。


 その辺りは割と早くに割り切ったのですが、問題はこのゲームの内容、というよりはわたくしの性癖にありました。


 とにかくわたくしは、ヤンデレが大好物でした。三度の飯よりヤンデレが好きなのです。転生というのを羨ましく思ったこともありますし、もしも転生するならこのゲームが良いな、というのもありました。


 しかし! このゲームはヤンデレ要素が皆無!! なのですわ!!


 ヒロインのクレアはワーカホリック聖女で、超絶光属性で、基本は可愛らしい恋愛ばかり。登場するお相手たちも素質はありそうでしたが、いまいちヤンデレには物足りない。実に惜しい、それがこのゲームの感想でした。この際、悪役として追放でもなんでも構いませんが、とにかくやる気が出ない。自身の欲も何も満たせず、ただただ糾弾されるのは癪というものです。


 ですから、わたくしは考えました。


 無いなら作ればいいのです。わたくしの理想の「ヤンデレ」世界を!


 そうして作り上げた最高のヤンデレとヒロインの絡みを、わたくしは優雅に堪能し、いざというときが来たらわたくしは潔く退場しましょう。きっとその頃には満足し切ってお腹いっぱいになっているはずです。


 わたくしったら、なんて素敵なアイデアなのでしょう! 今まで様々な創作にやきもきしてきましたが、監督がわたくしなら話は別です。すでに完成されたすばらしい登場人物に世界観、利用しない手立てはございませんわ。


 こうして、わたくしのヤンデレ育成計画が始まりました。手始めに取り掛かったのは、わたくしの地雷原からでした。

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