1.堕ちた男
皆が誰しも思ったことがある。
あの時あぁしてればよかったな、あの頃に戻れたらな、あの時が1番楽しかったなと。
未来より過去に行きたいという人の方が多いだろう。
でもそんなものドラ◯もんがいない、タイムマシンがないこの世界ではどうしようもない。
過去に行けなくとも異世界転生などとも考えた。
ある日突然通り魔に刺され目が覚めたらスライムでした。みたいな展開だとか異世界で魔法使えたり、エルフ、色々な種族の女の子とハーレム。みたいな展開だとか
人生は後悔の連続だ、上手くいくことの方が少ない
俺は幸村洸平29歳、こんなにも卑屈になっていったのも社会人になってからだ。
初めての会社では上司と合わず退職、次に働いたところはブラック企業で身体と精神を壊し退職、そして職につかずにフラフラ、そんな自分を見かねてか高校生の頃から付き合っていた人生で最初で最後の彼女には振られ
心の拠り所を探した結果ギャンブルに大ハマり、当時あった貯金を全て使い果たした。
そして、今はバイトをして食い繋ぐも毎日その日暮らしでなにも変わらない。
家族は母親が1人いるがもう何年も会っていない合わせる顔もない
気づけば、彼女なし、貯金なし、借金ありのアラサーフリーターの出来上がりだ。
そんなことを思いながら眠れずコンビニで買い物を済まし1人夜の街を歩く。
【ドンッ!】
「いってーな!気をつけろよ!!」
「すみません。。。」
「何だ?あいつこんな夜中にフード被って歩いているとかヤバそうなやつだな。」
「ほんとそれー!」
そうだ、その二人組の言う通りヤバそうなやつ、、、いやヤバいやつなのだ。
今の人生に何も価値を見出せない。
高校生の頃までは割と人生イージーモードと考えていた。
当たり前に青春を満喫し、当たり前に就職、当たり前に結婚、幸せな家庭が待ってる。とばかり思っていた。
昔は友達も多かったし結構社交的な方だった。
よく遊んでた奴らも今は結婚、起業、有名人になっていったりと住む世界が違う。
そう考えると当時は全く気にしていなかったが、高校の時から段々俺の未来が崩れて行っていたのかもしれない。
勉強は留年しない程度の頑張りで、部活もせず、なるようになる精神で生活し、卒業するも適当な大学に入り、よくわからない企業に勤め、わけがわからないまま今を過ごしている。
【プルルルル】
いつも静かな俺の携帯が突然鳴った。
(こんな遅くに誰だ?)
と思いながらも電話に出た。
「もしもし……?」
「もしもし!怜だよ!」
「あぁー!、怜か久しぶり」
「洸平元気してたかー?こんな夜遅くにわるいな!」
「あ、いや全然大丈夫だけど、そっちこそ元気か?」
「いや、それが仕事でやること多くてな。ついついこんな時間までになっちゃうんだよー」
「起業したんだって?すげーな」
「全然!たまたまだよ!そんなことより俺らもう30歳になるだろ?そこで海星が同窓会をしようって呼びかけてるらしいんだ!お前も絶対こいよ!」
「海星って今アーティストに俳優にって大忙しだろ?」
「でも、そんな忙しい奴が同窓会を開こうとしてるんだぜ?めちゃくちゃいっぱい集まると思うぞ!とにかく要件は伝えたからな!また近々ハガキが届くらしいから返信よろしく!」
【ブチッ】
相変わらず嵐のような奴だ。
自分の要件を伝えるだけ伝えて切りやがった。
「はぁ、同窓会か...正直いきたくないな。」
今の自分を誰かに見られるのが恥ずかしい。
ここまで落ちた男が今更どのツラ下げてみんなに会えるんだ?
俺の最初で最後の彼女、、、あいつも来るのかな。
大きなため息をつきながら帰路に着く。
家に着くと買ってきた大量のつまみを大量のお酒で流し込み嫌なことを全て忘れられるようにと死んだように眠りについた。
【チュンチュン】
小鳥の囀りとカーテンの隙間から差し込む光が俺の重たい瞼を開けた。
「うぅ、頭いてぇ」
二日酔いになりながらベッドから身体を起こした。
そしておぼつかない足でトイレに行く。
トイレから帰るそのついでに玄関先まで行き、ドアポストに手を伸ばす。
中から1通のハガキが出てきた。
「これが昨日、怜が言ってた同窓会のハガキか、、」
寝起きの目をこすりながら見返して見るとそれは同窓会のハガキなどではなく全くの別のハガキだった。
「なんだこれは!?」
俺はそのハガキに目を取られると、二日酔いとか関係なしに脳が一瞬フリーズした。




