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沈んだ太鼓。音のない夏。  作者: エルギ ハングラ
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第十一話 影の断片、音を喰らう夜(第一部)

---


ズチャ… シャッ……


その音がまた聞こえた。


何かが引きずられているような……重くて、濡れた音。


足音——いや、擦れる音?——それがあらゆる方向から聞こえてくる。近い。近すぎる。


外では、嵐が狂ったように荒れていた。


風が木々を裂き、枝が窓を叩きつける。


カーテンが狂ったように揺れ、まるで閉じ込められた幽霊のように舞っていた。


外の物——バケツ、植木鉢、竹の椅子さえも——無作為に飛び交っている。


そして——


ペッ……ッ


短い音。鋭く。


強制的に切られた電気の音。


すべての明かりが消えた。


闇が家全体を呑み込んだ。


そして、残ったのは——恐怖だけ。


ブクブク…ブクブク…


壁の隙間から水が滲み出し、床を這うように広がる。


その水は、脈打ち、呼吸していた。


そして水たまりの中で……何かが動いていた。


ズチャ…


何か——あるいは何かの一部が——床を這っていた。ゆっくりと。湿っていて。形を成していない。


コウタは一歩後退った。


手探りで何かを掴もうとしたが、掴んだのは冷たくて濡れた壁だけだった。


目を見開く。


何かが……近づいてくる。


「か……」


——


「け……」


——


「クソッ……!」と、コウタの父が唸り、地下収納から箒の柄を引き抜いた。


コウタの叔父も続いた。顔は真剣で、目が血走っていた。


震える手で、彼らはその箒をドアに向けて構えた。


ブラッ!! ブラッ!! ブラアアッ!!


ドアが激しく揺れる。まるで巨大な化け物がその向こうから全力で押しているかのように。


壁がきしみ、天井からは埃が舞い落ちる。


「ヤバい…少し怖くなってきた」

コウタの心が押し潰されそうになる。


——


地下室の床が揺れ始める。


古い木材がきしむ音を立てる。何かがその上を歩いているかのように。


——


水が板の隙間から滲み出てきた——もはや滴ではなく、細い流れになって。


そして、その水たまりの中に——何かが現れた。


口だった。


顔がない。形もない。


黒い霧が、何かになろうとしているようだった。


その口が開く……閉じる……また動く。


しかし、声は出ない。


ただ、そこにあるだけ——誰にも気づかれないまま。


——


ブラッ!!


「声を出すな!!」


コウタの叔父の叫びが空気を裂いた。だが、外の雨音に掻き消されてしまう。


コウタの父、母、そして叔母も——何かに気づいてしまった。


「何の意味が………」


ギィィン——

コウタの頭が耳鳴りを起こす。


彼らの首がピンと張る。


耳を裂くような高音の耳鳴りが彼らを襲った。


「何も……聞こえない……」


音がない。


すべての音が……消えた。


ン゛゛゛゛ッ——

耳鳴りが刺さる。


吐き気。息苦しさ。


脳内が煮えたぎるような感覚。


「苦しい」

と、コウタが呟いた——あるいは、ただの思考だったのか?


チョン… チョン…


水滴が一滴、微かに聞こえた。


フウウウウウ……


何かが……“音”が……


「か、け、る……」


微かな声。頭の中からか、あるいは外からかもわからない。


そして、すべての音が一斉に戻ってきた——多すぎるほどに。


無理やり流し込まれるように。


息遣い。雨音。足音。叫び。笛の音。太鼓。泣き声。


ドサッ!!……何かが倒れる……


ブラッ、ブラッ…

その間にも、外から“何か”がまだ侵入しようとしていた。



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読んでくれてありがとう!第二部はできるだけ早く投稿します!

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