第9話〈忠猫編・これぞ猫霊剣に目覚めた猫〉
我が家の猫が忠猫過ぎる問題!?〈忠猫編〉
第9話〈忠猫編・これぞ猫霊剣に目覚めた猫〉
◎3月上旬
日々、真夜中の実戦訓練は続く。
ボス殿への報酬はキャットフード10カケラ(え)である。
拙者、育ち盛りであるに、ミー先輩が自分の分を持って行けと仰られても、それはそれで困るのですよ(汗)。
むしろ、ミー先輩にはもっと食べてもらいたいと、母上様も言っておられるのですから!!
『ミニャ(気にするな。クウ、あんまり無茶するなよ?)。』
『ニャニャ(大丈夫です。ミー先輩は心配性ですね(笑))。』
拙者、スタコラサッサと走り出す。
地下室に向かい、今日もボス殿に会いに来ました。
『ちゅう(おめぇ、また来たのかぁ?)。』
『ニャニャ(よろしくお願いします!もうちょっとで、何かが掴めそうな気がするのですよっ!!)。』
奇妙な子猫だなぁ?とボス殿は笑った。
しかし、それはお互い様ですよ。
空手の使い手のネズミなんて、見たことも聞いたこともありませんからね(え)。
まずは組み手。
構えにて、攻守いかなる場合も対応できるよう、先読みしながら動く。
目で見て、肌で感じて、相手よりも1秒早く動く!!
…それ即ち、相手の動きを封じる。
『ちゅ〜(遅せぇぇ!!)。』
『ニャニャ(痛たぁぁ!?)。』
ボス殿の動きは変幻自在。
ボス殿は「我流最強拳」の使い手である。
それは、いついかなる時でも動じず山の如し!!そして巨岩の如き打撃力!!
寸分の隙も与えず、だが同時に幻のようで?
とは言え、防御主体がボス殿の基本的な構えで…受けにこそ極意があると仰るが、拙者、どうにも待つのは苦手でありますから(?)。
攻めて攻めて、そこに活路を見出すべく、連撃を繰り出したところ、隙を突かれて投げ飛ばされました(汗)。
ボス殿は投げ技も得意なのです!?
『ちゅう(連続攻撃が単調すぎる!!もっとリズム良く、同時にフェイントを入れたりしないと実戦では役に立たないだろがっ!!)。』
『ニャニャ(そ、それは難しいですね…)。』
難題である。
しかし、強くなる為には身に付けねばならない課題でもあります故に…。
◇ ◇ ◇
気の流れは「丹田」にて循環され、全身を巡ってまた戻る。
その流れをイメージするべく、拙者は組み手に励んでいるのだが…
『ちゅ〜う(気を回転させるってのは、いわば自家発電である…ってな、道場の師範が言ってたなぁ)。』
何のこっちゃ?ですね。
拙者は霊力が邪魔して、いまいちこの「気」の流れが掴み取りにくいのですよ(汗)。
丹田と言いますが、それはあくまで概念であるそうな?
丹田をイメージする事で具現化し、気の流れを運用する為の器官を作り出すことが目的で。
『ニャニャ(はぁはぁ…限界ですね…)。』
『ちゅう(まあ、無理すんなぁ。俺様も習得するのに半年かかったからなぁ(笑))。』
…ボス殿でさえ半年?
いや、たった半年??
しかし、猫の一生は短いのですよっ!?
半年も時間を掛けるわけにはいかないのです!!
一刻、一秒でも早く、拙者は強くならねばならないのですから…。
あくる日、遂に拙者の木刀が完成しました。
荒削りではあるものの、拙者の手にピタリと収まる握り手部分。
構えを取れば、誇らしく魂が震え上がる気分であります(照れ)。
肝心要めの、霊力を刀身に這わせてみれば、見事に浸透していく様子。
木刀が脈打ち、まるで木材が生き返ったかのような躍動感が肉球を通して伝わってくるのです!?
ああ、この一体感!!
『まあ、子猫ちゃん。完成おめでとうねぇ〜。』
『ニャニャ(ありがとうございます、祖母様)。』
そして祖母様は、御守り代わりと言って、自身の霊力で背負い紐を作って、拙者の木刀に結び付けて下さったのです。
なるほど、背負えば移動時には身軽に動けますね!!
『ニャニャ〜(大切に使わせていただきます!!)。』
意気揚々と、まずは木刀の切れ味を確かめたいところですね。
霊力鎌を下回る切れ味であれば意味がありません(え)。
しかし、あの浮遊霊を相手に試し切りを行うには危険過ぎます!!
そこで拙者、その時を待つ事としました…
『ニャニャ(と言うことで、今回は拙者にお任せください、ミー先輩!!)。』
『ミニャ(クウ…お前、そんなものを作っていたのか?何が目的なんだ??)。』
いや、何が目的かと言われても、それは何度も答えていますよね?
拙者の木刀の初お披露目ですから、ミー先輩には控えてもらって、母上様の枕元で黒い霊の出現を窺います。そろそろですね…
『ニャニャ〜(猫霊剣・抜刀ぉ!!!)。』
やはりリーチが違う。
木刀の攻撃範囲は、安全性、優位性が段違いです。
そして木刀を構えると共に、霊力を急速充填!!
これぞ名付けて…「猫霊剣」であります。
ジャギィ〜〜〜ン!!!
あっ、むしろ斬れ過ぎぃ!?
危うく、母上様の布団まで斬りそうになった件。
いやはや、想像以上の斬れ味に、拙者はホクホク顔であるが、ここで慢心するわけにはいかないのである(え)。
拙者、刀の扱いはまだまだであるし、構えからの撫で切りで…ふむ。こうですか?
ビュン!!ビュン!!ビュン!!!
この感覚を忘れないよう、素振り感覚でも、黒い霊は細切れになって消滅していきました。
それこそあっという間に…
更に素振りをいくつか…ふん、ふん、ふん!!右、斜め、左から〜の突きっ!!
『ミニャ(危ないだろうがっ!!)。』
『ニャニャ(うわっ!?す、すみませんでしたぁ(汗))。』
調子に乗り過ぎて、ミー先輩から大目玉を喰らいました。
徒手空拳ならばボス殿がいますが、刀の稽古の相手はいませんからね…仕方ないので、ボス殿に頼み込んで異種格闘技稽古を依頼したいと思うのですよ…?
〈…続く〉
◆ ◆ ◆
クウ君♂
種族〈チンチラシルバー種〉
階級〈血統書付き〉
カテゴリー〈0.6+〉
戦闘力 6
防御力 5
生命力 5
回避値 5
知能値 3+〈15〉
器用値 7
魔力値 7
戦技
奥義「猫鎌切り裂きの刑」
秘技「猫尻尾グルグル巻きの刑」
固有戦技
猫霊剣Level 1(NEW)
固有能力
天狐の魂「9」
trigger〈繰り返す〉
能力
侍猫 勇気 忠誠 初志貫徹 繰り返し 霊力
称号
田崎家の猫
猫の首輪・子猫用(ピンク色)〈首輪〉
属性:プラスチックLV5〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
鈴付き
耐久値:10
木刀〈刀〉(NEW)
属性:擬似霊木LV50〈特殊兵装級〉
付与効果:物理特化
霊力浸透〈猫霊剣〉
背負い紐〈霊力護符〉
耐久値:100