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第7話〈忠猫編・脱走記念日の猫〉 

我が家の猫が忠猫過ぎる問題!?〈忠猫編〉


第7話〈忠猫編・脱走記念日の猫〉 


 

◎3月初旬 


あれから数日が経過し、より霊力を効率良く使うことが出来るようになりました。


移動用の両手脚に霊力を充填し、補助的な運用も安定し始めています。

ただこれは、本当に補助的なものであり、攻撃用に霊力を回すと途切れてしまうので、やはり日頃の体幹トレーニングは絶対に必要不可欠なのである(断言)!!


なもので、昼間は2階でせっせと鍛錬を繰り返す。

基礎体力は常にUPを目指しますよっ!!


重要なものはもう一つあり、それは攻撃の型であります(?)。

拙者は霊力を鎌状にしているが、鎌であると攻撃の範囲が狭いし、攻撃パターンもワンパターンになってしまうのだ。

それが、間合いを詰めての急所の撫で斬りである。


『ミニャ(敵がこう反撃してきたら?)。』


『ニャニャ(攻撃をこう跳ね返します!!)。』


『ミニャ(馬鹿もん!!そこは避けながら間合いを詰めての、急所を断つだ!!)。』


あ、間違えた(汗)。


サムライ猫たるもの、常に真っ向勝負といきたいところで、願望としては刀と刀の鍔迫り合いを…しかし今は子猫の身体が口惜しい(え)。

しかも鎌であるし、攻撃を受けるのは具の骨頂だとは分かっています…


猫たるもの、よく観察し、動きを予測し、相手よりも常に速く動き、その隙を突く!!

それがミー先輩の教えであるに。


ミー先輩は最近、一緒に霊力の使い方についての考察や、その訓練に協力してくれるようになりました。正直、嬉しいですね!!


でも身体が弱いミー先輩なので、あまり動くのが得意ではない筈だし(?)、それだけでも大変有り難いのです。

ただ、無理だけはして欲しくないですね…



深夜、改築中の3階に忍び込む。


『ニャニャ(こんばんわ、祖母様)。』


『あら、子猫ちゃん。こんばんわ〜。』


祖母様とたわいない話しをしつつ、拙者は床下に隠しておいた木片を取り出し、霊力で爪を強化しつつ、せっせと削り出していく。


え?爪研ぎ?


そうではなくてですね(汗)、これは主人殿が時間を見繕ってはせっせと床に貼り付けているフローリング材?という物であるらしく、その一部の建材を拝借し、こうして削っているのです!!


しかし、これがなかなかに地道な作業でして、何せ、拙者の理想とする木刀に整える為には…


あ、答えを言ってしまいましたね(笑)。


『子猫ちゃん、霊力がだいぶ馴染んできてるわねぇ〜。』


『ニャニャ(そうですね!自分の霊力で強化した爪で彫っているので、その影響でしょうか?)。』


まだまだ木刀とは言えませんが、拙者の霊力が浸透しやすい感じはします。

尻尾ほど充填できるイメージは無いものの、それに近い感じはあるのだ(?)。


それにこうして削っていると、かなりのスピードで霊力を消費している感じもあり、これはこれで非常に良いトレーニングになっているのです。

霊力の操作は繊細というより、拙者の中では躍動的な流れであり…霊力の容量を自己管理する為にも、その限界値を探るのにこれほど適した作業はないのですよ!!


◇ ◇ ◇


最近、たびたび、鏡の中にあの白い折り鶴を見るようになりました。

折り紙で折られた鶴のアレである(?)。


それは何をするでもなくフワフワと…迷子かな?と思うような動きで、しかし悪い印象はない。

でも現実側には存在しないという不思議だ。


一方、霊力を集中しやすくなった影響か?

奥義などを使用した後の脱力感の中、霊力とは違う活力といいますか?そういった力を感じ取れるようになっていました。


それは、まだまだ微々たる可能性ではありますが、そちらも頭に入れながら鍛錬に挑むが、こればっかりはミー先輩もご存知なく、どうしたものかと思案中である(え)。

こう見えて拙者、あんまり頭を使うのは得意ではないので(?)、とにかくトレーニングを続けるのみなのである!!



そうして、その時は来た。


遂にその時が来たのである!!


差し足、忍び足、抜き足で、祖母様も心配気に見守りに来ましたが、拙者は元より猫ですから、脱走はして当たり前ですぞ?


それに今回はあくまでお試し(?)。

我が家から遠く離れる気は毛頭ありませんし、木刀も未完成なので持参なしです。


『でも子猫ちゃん、ここは3階なのよぉ〜?』


『ニャニャ(祖母様、1時間以内に戻りますので、ご心配なく!!)。』


そういう問題じゃな〜い、とか祖母様は仰っているが、猫の身体能力を舐めてはいけませんよっ!!



とぅぅ!!!



あ、窓を開けるとか、今ではもう些細なもので、拙者、窓際から隣の家の屋根に飛び移る。


3階の廊下横の窓は、まさにこの為にあるかのような構造で…霊力を充填した両手脚の瞬発力を以てすれば、これこの通り難なく成功である。


『ニャニャ〜(おっと、しかし油断大敵ですね…)。』


この屋根はちょっと滑りやすい材質のようで(?)。

雨の日は危険かも知れません…まだ子猫の身体なので、体重が軽く安定感が不十分であると感じました。


さて、今夜は記念すべき初脱走記念日であります。


拙者がこうして我が家から出た記憶は…動物病院で注射とやらをブスッとやられた以来でありましょうか(汗)。


ミー先輩は前世では動物病院に幾たびか入院を繰り返されておりましたし、ついでに連れて行かれて…もう拙者は御免被るのですよ!!

ですので、絶対に怪我はしないをモットーに、即ちヒットアンドウェイですね。


あと、今回の脱走はミー先輩にも秘密なのです(?)。


何故ならば、ミー先輩に負担を掛けたくはないですし、家猫には家猫の、野良猫には野良猫の矜持といいますか?絶対ルールが存在するわけです。

つまり、拙者は脱走猫というよりもサムライ猫であります故、特別枠だと思うのですよ(え)。



屋根伝えに直進しながら、降りられる場所を探す。


我が家の隣家は…保養所?

確か、数年経つと解体されて更地になってしまう筈である。


う〜む。ベランダがありますね?


ベランダから降りる手もありますが、宿泊客に気付かれるリスクもあります。


反対側には、避難用の鉄梯子が伸びていますが…あくまでこれは人間用。

深夜は人目もないですし、これを使っても良いのですが、何せ握力にはあまり自信がありません(汗)。

猫の肉球は物を握るという機能は無いのですよ…本当は?


しかし今後、木刀を握る必要もありますし(?)、握力強化トレーニングは必須ですね!!勿論、トレーニングメニューに追加確定ですよっ!!


そして、これは雨を集めて下に落とす…雨樋あまどいですか?

パイプ状でしっかりとしていますので、更にはそのまま地上にまで達しています。

抱き着いた状態でならば、昇り降りしやすいと思われ?



では早速…ふむふむ。霊力で力を補強すれば、これこの通り…スルスル〜っとな。


はい、無事に地面に着地。



『ニャニャ(では、標的を見つけるとしますか?)。』


拙者が求める標的とは…それは窓の外から眺めやった、ミー先輩曰く「浮遊霊」という名の代物である。


正直、既に母上様の安眠を妨害する黒い霊をも打ち破った拙者にとって、それは脅威となりうる物なのか?

まずは近付いて観察すべきと思われる。


そして、倒せそうなら倒してしまおう(え)。


我が家の近辺に悪い霊はあってはならないし、これは拙者がサムライ猫として通らねばならない修羅の道である。

何故なら、実戦あってこそのサムライ道なのですからっ(断言)!!



おっ…道路の向こうに、窓からも見えましたが、とても大きな松の木があります。

海岸線の浜へと続く通路の途中、その大きな松の木は悠然と立っており、その横には記念碑的なものもありますね?


『ニャニャ(…発見しましたよ)。』


拙者は気配を消して、意識を集中…猫の目は闇を見通します。

更には、車の往来に注意しながら道路を横切る。


その霊は…道路の端っこでボォ〜っと佇んでいました。

ちょうど松の木の下で、その虚ろな目で。


だがこの浮遊霊は動こうとしない。

ただただ、車が通ると親指を立てる仕草で…あれはハンドサインというものでしょうか?

一体、何をしようとしているのでしょうか?


『ニャニャ(意味不明ですが…)。』


しかしながら、汲み易そうな相手ではあります(?)。


拙者、密かに背後側に回り込みます。

気配を殺してサササッ〜っと、無論、首輪の鈴は微動たりもしません(え)。


『ニャニャ〜(奥義・猫鎌切り裂きの刑!!)。』


霊力を鎌の形に整形し、瞬発力を生かして弾丸の如く、背後からの急襲!!


急襲故に、霊力の尻尾を使うまでもない。

急所の首筋を狙い、これを切り裂けると拙者は確信…していたのだが!?



ガキィィーーーーン!?



『ニャニャ(何とぉ!?)。』


浮遊霊の首筋が…硬い!?


まさか、拙者の霊力の鎌で断ち切れぬ硬度…というか闇の濃さ??

鎌の刃は半分にも達していない。



『ひっ…ち…はぁ…いいいいぃぃぃぃぃ(絶叫)!!!!!』



こ、これはマズい(汗)。


拙者、霊力の鎌を切り捨てて、脱兎の如く飛び退いた。

掴み掛かろうとする浮遊霊の手を潜り抜けて、霊力を尻尾に充填!!


『ニャニャ〜(尻尾グルグル巻きの刑なりっ!!)。』


間一髪、浮遊霊の足を縛り付け、ひっくり返す事には成功した!?



もう一撃を…とも考えたが、後ろも振り返らずに拙者は逃げ出した。


ああ、拙者は過信していたのである。

まさか、野良の浮遊霊でさえもここまで濃い(?)存在であったとは?


その夜、拙者は震えて寝たのであった…



〈…続く〉


◆ ◆ ◆


クウ君♂

種族〈チンチラシルバー種〉

階級〈血統書付き〉


カテゴリー〈0.5+〉 

戦闘力 5

防御力 4

生命力 4

回避値 5

知能値 3+〈15〉

器用値 6

魔力値 7  


戦技バトルアーツ

奥義「猫鎌切り裂きの刑」

秘技「猫尻尾グルグル巻きの刑」


固有能力パーソナルスキル 

天狐の魂「9」

trigger〈繰り返す〉


能力スキル

侍猫 勇気 忠誠 初志貫徹 繰り返し 霊力 


称号

田崎家の猫


猫の首輪・子猫用(ピンク色)〈首輪〉

属性:プラスチックLV5〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗

鈴付き

耐久値:10

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