第5話〈忠猫編・尻尾も使いようの猫?〉
我が家の猫が忠猫過ぎる問題!?〈忠猫編〉
第5話〈忠猫編・尻尾も使いようの猫?〉
祖母様による霊力の遠隔操作の指導であるが、これは霊力を込めた形を固定化維持する事で、自由に動かす事が可能なのだと言う。
祖母様の場合は、それは右手なのだ(え)。
つまりは、右手だけがプカプカと浮いて移動しているのである!?
これ、まさに怪奇現象ではあるまいか(?)。
『これは多分、わたしが幽霊みたいな状態だから出来ると思うのよねぇ?子猫ちゃんなら、別の方法が良いんじゃないかしらぁ??』
祖母様はそう言うが、猫にあるのは耳と髭と爪と…後は尻尾ぐらいのものですよ?
『ニャニャ(耳がぷかぷか浮いても仕方ないのでは?)。』
『あら、聞き耳には良さそうよぉ?』
そ、それは確かに、隠密行動と諜報活動には適していそうな気がしますが(え)、拙者としてはあくまで戦闘力を重視したいところですよ。
『ニャニャ(ヒゲが伸びても微妙ですね?)。』
『針みたいに相手のツボを刺せば、足止めとかに良いんじゃないかしらぁ?』
そもそも拙者、ツボとか分かりませんし、浮遊霊にツボとかあるんでしょうか(汗)。
『ニャニャ(爪は…う〜ん、攻撃手段のバリエーションぐらいにはなるかも知れませんね?)。』
『爪ロケットとかカッコいいわねぇ?ビューンと飛んで、バーンと爆発ね(笑)。』
祖母様、どこからそんなにホイホイとアイデアが出てくるのでしょうか(?)。
そんなこんなで数日後、拙者の解答は「尻尾」となった次第である?
尻尾に霊力を集中して『ぬぬぬぬっ!!』って力を移行させると、たまにオシッコをちびって失敗してしまうものの(汗)、そこは多目に見て欲しいのですよ。
母上様ぁ、お許し下さぁぁぁい(涙)。
◇ ◇ ◇
尻尾を霊力で充填して伸ばす。
それをシュルシュルってドアノブに絡ませ、ガチャリと開ける事に成功しました。
オシッコをちびった成果ですよ…お風呂はもう勘弁して下さいぁぁい(汗)。
『ミニャ(クウ、お前はどこに向かっているんだ??)。』
『ニャニャ(やだな、ミー先輩?霊力の使い方を模索しているだけですよ(笑))。』
とにかく時間が無いし、霊力の習得が無難と思われる爪と尻尾だけに限定した方が良いと思われます。
ミー先輩のように威嚇に霊力を乗せる方法は拙者には合わないし(?)、無駄に手数を増やしたところで、どっち着かずになる予感なので?
さて、日中は主に地道な体幹トレーニングを中心に継続中。
腕立て伏せ×3セット、腹筋×3セット、空気椅子×3セット、スクワット×3セットに加えて、二足歩行練習の強化である!!
肉体を限界まで酷使して、筋肉とアキレス腱に刺激を与え続ける!!
終了後の疲労感がとにかく心地良いですね(え)。
もうちょっとで、こちらも何かが掴めそうな気がするのですが…?
一方、深夜は自分でドアを開けられるようになったので、気付かれないよう最善の経路を通って我が家の散策を行なっています。
忍び足もかなり上達したように思います!
1階の居間は、父上様は起床時間が早いものの、一度寝てしまえばそう簡単に起きないので大変有り難いですね(え)。
イビキはかなりのものですが…お疲れなのですよ(汗)。
端的に言えば、我が家の飼い猫はミー先輩と拙者の2人だけであります。
ミー先輩が来る前に、タロ殿とシマ殿という先住犬がいらしたそうですが、もう既に他界しています。
会ってみたかったのですが、残念ですね…。
後は別件で、我が家は魚屋さんでありますので、水槽が店舗に設置してあるのですが、生きたアジやサザエ、ホタテなど等、それはペットとしては呼べませんね(汗)。
しかしてペット枠として唯一、1階には九官鳥がいらっしゃります。
黒い羽根がツヤツヤで美しいのです。
え〜と、名前はなんと言いましたか?確か、ホニョとかホニャラ?とか(?)。
彼は父上様にだけ懐いておられ、ちょっと気難しい御仁であったと記憶しています。
店内に鳥籠がありまして、拙者は素早く近付いて御挨拶に窺った次第であります。
『ニャニャ(御機嫌ようでございます、ホニョン殿っ!!)。』
『………ジロリ。』
『ニャニャ(うっ、目が怖いですね…)。』
そして、完全無視されました(汗)。
まぁ、猫と鳥が意思疎通を図ろうなどと、ありえぬ事ではありますが…。
そもそも前世でも、ほとんど関わったことがない御仁でありますから、少しづつ親しくしていけたら上々だと思いますね。
『ニャニャ(…1階は異常なし、と)。』
店舗から戻り、この1階に関して言えば、ゆくゆくは猫の同輩が2人、増える予定である。
拙者の記憶が正しければ、ここにはキジ白のチビ殿と、大怪我をしたまま保護されたアチコ殿が増える筈です(?)。
その頃には拙者も立派な成猫になっていた頃の話でありますから、ざっと2〜3年後のことですが。ああ、早く大きくなりたいですね!
そこから更に1〜2年後に、出入り自由な外猫のコトラ殿あたりが加わると、我が家は一気に猫ワールドになります(笑)。
翌日、ちょっと寝不足ですが、おはようございます!!
さて、2階には今のところ、拙者とミー先輩の2人だけ。
ミー先輩が亡くなってから(涙)、しばらくしてお嫁さんのフクさんがやって来るのですが、その同時期ぐらいに母上様が友人宅からハムスターを貰ってきて、育て始めるわけである(え)。
猫がいる家でハムスターを飼うとか、ちょっと問題があると思うのですがっ!?
ともあれ、そろそろ本腰を入れる時期だと思うのです(?)。
まず第一段階として、拙者の霊力で母上様の安眠を乱す黒い霊を打ち倒す!!
いつまでも子猫であることを免罪符にしてはいられない…あ、また子猫用のミルクですか?
母上様、これ、あんまり好きじゃないんですよぉ(汗)。
ぺろぺろ…ニャニャン。
『ニャニャ(ご馳走様でした…ゲプぅ)。』
主人殿を見送り…主人殿、服が前後ろ逆のような?
ああ、寝ぼけ眼で、車の運転だけは気を付けていただきたいですね(心配)。
母上様もご無理をなさらず、父上様とあまり衝突なされないように(心配)。
魚屋さんは毎日、朝から晩まで激務なのですよ!!
「クウ君、良い子でねぇ〜。」
『ニャニャ(はい。拙者、いつも良い子にしていますので、行ってらっしゃいませ!!)。』
母上様を送り出して、はぁ〜と一息をつく。
これが毎朝の拙者のルーティンである。
『ミニャ(全く、どの口で良い子とか…?)。』
おやおや、ミー先輩、ヤキモチですか?
しかして、こちとらまだまだ子猫である。
見た目だけはと、母上様の鏡台の鏡を覗き見ると…うむ、紛うことなき可愛い子猫だ(え)。仕草も普通に猫っぽいですよ?
おや?だがしかし、鏡の向こう側から…白い折り鶴がフワフワ〜って?
『ニャニャ(えっ?…あれっ、ありませんね??)。』
振り返ってみたものの、そこにはキョトン顔のミー先輩がいるだけで。
しかし、イケメン白猫のミー先輩もそんな顔が出来るんですね(笑)。
『ミニャ(なに笑ってんだ!!)。』
も〜、ミー先輩って、すぐ怒る(汗)。
昔も怖い印象しかなかったんですけどねぇ…。
あ、でもあの折り鶴って何だったんでしょうか。
不思議と悪い雰囲気ではなかった…ような?
〈…続く〉
◆ ◆ ◆
クウ君♂
種族〈チンチラシルバー種〉
階級〈血統書付き〉
カテゴリー〈0.3+〉
戦闘力 3
防御力 2
生命力 3
回避値 4
知能値 3+〈15〉
器用値 3
魔力値 5
戦技
ねこ引っ掻き〈霊力装填〉
固有能力
天狐の魂「9」
trigger〈繰り返す〉
能力
侍猫 勇気 忠誠 初志貫徹 繰り返し 霊力
称号
田崎家の猫
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