第4話〈忠猫編・アキレス腱が足りない猫?〉
我が家の猫が忠猫過ぎる問題!?〈忠猫編〉
第4話〈忠猫編・アキレス腱が足りない猫?〉
◎2月中旬
主人殿の部屋は3階である。
拙者は基本、2階が住処であるし、まだまだ子猫であるから出してはもらえないのだ。
手も小さいし、まだドアノブを回せない(え)。
恐らく、未来に産まれるであろう息子と娘は、主人殿と同居をすることになる。
羨ましいことだが、拙者には母上様を護るという大役もあるのだ!!
この頃合い、確か3階は祖父母様が施設?というものに入所され、空き部屋となった為、主人殿がペンキ塗り替えなどをしていた筈だ。
しかし、このペンキという物は、猫の鼻には厳しいのである(汗)。
とにかく臭いのだニャニャ!!
元々は、主人殿は屋上に増築された木造の部屋にて生活されていたが、老朽化が激しく取り壊す予定であるとか?
その引越し作業で休日は休日で忙しいのだ。
ああ、お労しい…。
『ニャニャ(拙者に出来ることは、日々の鍛錬だけであります!!)。』
二足歩行も随分、様になってきた。
体幹トレーニングは、今は反復横跳び×3セットも追加している(え)。
未だ子猫の身体ではありますが、日々、己の肉体の成長を噛み締めている次第なのですよ!!
拙者が思うに、ミー先輩には話しても良いのかも知れません?
自分が二度目の猫生を繰り返している事を。
そして、何を目指しているのかを…?
だが、まだ踏ん切りが付かない…
それが良い事なのか?悪い事なのかも分からないからです(汗)。
今はただ、出来うる限りに己を鍛え、主人殿と母上様の、御二方を見守り続けていきたいと、そう新たに誓う拙者なのであった。
◇ ◇ ◇
「すごい似合うわ!クウ君の首輪よぉ〜。」
あ〜。やっぱりピンク色の首輪ですかね?
しかしまぁ、ミー先輩とお揃いなので良いとしましょう(え)。
母上様が言うには、白い猫にはピンク色がお決まり?だとか。
でも拙者、あまり派手な色合いは好きではありませんけどね!!
あと、鈴ですね。
この鈴がチリンチリン♪と鳴るのはいただけません(?)。
隠密行動をする際に、この鈴は障害でしかありませんから。
そこで、鈴が鳴らないように二足歩行で移動する訓練です。
差し足、忍び足、抜き足…おお、これはアキレス腱にきますね!!
とても良い追加メニューですよ。
『ミニャ(クウ、また妙な事をやってるな?)。』
おや、ミー先輩、おはようございます。今日はちょっと遅めですね?
『ニャニャ(見て下さい、ミー先輩とお揃いですよ!!)。』
『ミニャ(…お前って奴は)。』
その日の深夜、モゾモゾとキャットキャリーから抜け出し、二足歩行の忍び足でドアに忍び寄った。
ふふふ…母上様は熟睡中であるし、ミー先輩も気付いていない。
鈴も鳴らない…状態で、ドアノブに手を伸ばす。
むむむ。あ、あと数センチなのにぃぃ(汗)。アキレス腱が足りないぃぃ(?)。
…ガチャリ
あれ?開いたぞ。
拙者、即座に姿を隠す。
ドア横のダイニングテーブルの脚と一体化し、気配を消して…数秒間、そのままで様子を伺う。こんな深夜ですから、父上様は爆睡中でしょうし…?
『ニャニャ(おかしいですね?どういう事でしょうか…)。』
しかし、勝手にドアが開くなどと、そんな都合の良い展開があって良いものか?
拙者、万全の警戒と共に忍び寄り、ドアの向こう側を確認する。
靴箱の棚と…階段室に置かれた扇風機。
特に異常は無いようですが…?
スルリとドアの隙間を潜り抜けて、拙者は階段室に飛び出した。
生前は(?)運動不足が過ぎた為、この階段を走り登るのにヒ〜コラしていた記憶があります(汗)。ああ、昔の自分をぶん殴りたい気分ですね!!
さて、しかしこれはチャンスではあります。
拙者は一気に3階まで駆け上がり始めました!!
霊力を手足の爪に纏う事によって、ジャンプ力も強化が可能なのですよ。
いやはや、便利なものです。
ピョンピョ〜ンっと3階に到達。アキレス腱が大活躍ですね!!
3階入り口には洗面台があります。
今の拙者ならば蛇口も捻られそうであるが(え)、今はそんな事をしている場合ではありませんねっ!!
『ニャニャ(…ここもドアが開いていると?)。』
どうもおかしい?
まるで、何者かに誘われているかのような展開?
主人殿は3階でしょうか?いや、屋上のお部屋かも知れません?
屋上の扉はステンレス製の頑丈なものなので、重くてさすがの拙者でも開けられないと思われ…それに閉まって閉じ込められたら逆に困ります(汗)。
ならば、今夜は3階を散策してみるのが吉でしょうか?
この3階は長らく主人殿の祖父母様が生活されていた部屋である。
その後、祖父母様がどうなったかは、猫の身である拙者には分からずじまいではあったのだが…
廊下…うむ、異常なし。
忍び足で侵入し、差し足で先に進む…その部屋は?
畳が跳ね上げられたまま、建材も周囲に散らばり、改築中の有様である。
勿論、主人殿はいらっしゃらないようで?
『ニャニャ(ふぅ、気のせいでしたか…)。』
誰もいない…かと思った瞬間、白い影がゆらゆらと??
『ニャニャ(怪しい奴!?)。』
でも、それがこっちに来い、こっちに来いと手招きをしているわけだが、はて?母上様の安眠を妨害する黒い霊と違い、危害を加えそうな気配はない。
とはいえ、この最強のサムライ猫になる予定の(?)拙者を騙そうというのならば、逆に痛い目に遭わせて見せましょうぞ!!
この練りに練った霊力の爪!!とくと御覧じよ。
『まぁ、お利口な子猫ちゃんねぇ〜。凄いわねぇ〜。ヨシヨシ。』
『ニャニャ(こらぁ、やめろぉぉ。拙者の頭を撫でるなぁぁ!!)。』
ああ、でも気持ちが良い…ニャニャン(汗)。
子猫の欲望に勝てないニャン…
結局、分かった事は、この方は主人殿の祖母様であるらしい?
祖母様自身、ちょっと確信が持てないらしいが…
『わたしねぇ、まだ生きてると思うのよねぇ?』
『ニャニャ(え?でもその姿は幽霊ですよね?)。』
白くはありますが、浮遊霊と同じ雰囲気なのですよ。
『う〜ん、そうなのよねぇ〜。夜しか出て来れないし、話し相手が欲しかったから、子猫ちゃんを呼んじゃったのよねぇ…』
おお、なんと!?では不自然に扉が開いたのは、やはり祖母様のお力だったのですね!?
して、それはどのようなお力なのでしょうか?正直、興味が尽きません(?)。
こうして、拙者の深夜のルーティンに祖母様とのお話し相手と、霊力を遠隔操作する為の指導練習が加わったのであった(え)。
〈…続く〉
◆ ◆ ◆
クウ君♂(NEW)
種族〈チンチラシルバー種〉
階級〈血統書付き〉
カテゴリー〈0.3+〉
戦闘力 3
防御力 2
生命力 3
回避値 4
知能値 3+〈15〉
器用値 3
魔力値 5
戦技
ねこ引っ掻き〈霊力装填〉(NEW)
固有能力
天狐の魂「9」
trigger〈繰り返す〉
能力
侍猫 勇気 忠誠 初志貫徹 繰り返し 霊力(NEW)
称号
田崎家の猫
猫の首輪・子猫用(ピンク色)〈首輪〉(NEW)
属性:プラスチックLV5〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
鈴付き
耐久値:10