第2話〈忠猫編・転生Level1の猫〉
我が家の猫が忠猫過ぎる問題!?〈忠猫編〉
第2話〈忠猫編・転生Level1の猫〉
◎2月初旬
天寿を全うした筈だった。
暗い…あ、目を瞑っていたからニャン(汗)。
でも瞼が妙に重いニャン?どうした事か??寝過ぎてしまったかのようで…
目を開ける…なんだ?この場所は?あれ…何か見覚えがあるような?
これはガラスケースの壁…狭い檻のような部屋?
あ…上手く歩けないですね…手が、手が小っさくなっちゃった!?
脚も!?いや、これ子猫の身体ぁぁぁ(悲鳴)!!??
えええぇぇぇ…まさか拙者、これが噂の生まれ変わりですかぁ??
その割には、死んだ瞬間まで覚えているし、妙にはっきりと前世の猫生を覚えているのですよ(汗)。
って、そんな場合ではないのですニャン!!今すぐに、主人殿の元へ行かねばならないのです!!
おおぃい、出して欲しいのですよぉぉぉ。
こんな場所に閉じ込めるとは、これは虐待に他ならないのですよ(怒)。
くっ、子猫の身体が恨めしいですね…登れないぃぃ(汗)。
通り過ぎていく人間達…ああ、彼らから見れば、滑稽に見えるのでしょう?
こんな子猫が無力にも、出してくれと喚いて。
ああ、思わず涙が出てしまうな…
不意に、大きな影が拙者の頭上を覆った。
なんだ!?と思って見上げると…あれ??
「ちょっと、母さん。この子と目が合った。」
「可愛いけど、オス猫じゃないの?ミーちゃんと大丈夫かしら?」
拙者、思わずポカ〜ンと見ているしかありませんでした(?)。
その会話は耳に入ってこなかった。何故なら、ああ、これはどんな天啓なのか、と。
だってこのシュチュエーションは、そのまま、拙者と主人殿、母上様と出会った、まさしくあのペットショップの光景であったのだから(涙)。
『ニャニャ(ああ、またあなた達に出逢えた!!)。』
手を差し伸べてくれた主人殿にしっかりと抱きつき、拙者は二度と離さないと誓った。
2人の笑顔に包まれて、拙者は微睡の中へ…安心感であろうか?
恐らく、そのまま車に乗せられて我が家に向かったと思われる(え)。
そうですね、初めての時は緊張して、車の中を飛び跳ねていた記憶があります(汗)。
今となっては若気の至りですね…。
◇ ◇ ◇
しかし、不思議な事もあったものですね。
確かに拙者は死んだ。
それも満足して死んだ筈だったが、しかし、走馬灯の中で思い出してしまったのだ。
それは最強の「猫八部衆」として、主人殿のお側で戦い抜いた日々と、その栄華を…
だからこそ、あのような安穏とした猫生を認めるわけにはいかないと(断言)!!
となれば話しは早い。
拙者はこれより、鍛えに鍛え、「無双せしサムライ猫」に戻るべく、常に精進せねばならないのだ!!
…とりあえず、明日からね(え)。
ああ、懐かしき我が家よ、初めまして!!
我が家は俗に言う魚屋さんである。
ビル風の建築物で、1階は魚屋の店舗。1階の奥は改築して居間とユニットバス、そしてキッチン廊下が増設されています。
拙者の記憶が正しければ、まだこの時期は拙者とミー先輩の2人しか猫はいない筈。
1階のチビ君はもうちょっとしたら貰われてくるのだが、彼は異常にサンマ大好きな子だった(笑)。
しかし、子猫の身体に慣れませんね。
よちよち歩きもしんどい。これでは階段を上がって2階にも行けない(汗)。
まずは先住猫のミー先輩に挨拶せねばならないというのに!!
『ニャニャ(ああ、主人殿。もう少しゆっくり運んで欲しいのですが…)。』
主人殿に抱えられ、そのまま2階に運ばれる拙者。
2階への扉を潜れば、ああ、本当に戻って来たのだと実感する。
そして、恐る恐ると主人殿は拙者とミー先輩の顔合わせをするわけで…
しかしながら拙者、元気な頃のミー先輩にまた会うことが出来て、これまた感無量なのであります!!
『ニャニャ(ミー先輩!!ご無沙汰しておりました!!)。』
『ミニャ(いきなり先輩て!?)。』
あ、そうでした。ミー先輩の方は、これが初見でありましたね(汗)。
ここは子猫らしく『ニャニャ〜ン』と鳴いてみますが、もう後の祭り??
『ミニャ(…怪しい子猫だな?)。』
『ニャニャニャ〜(汗)。』
ああ、目を付けられてしまった。
ミー先輩は観察眼が鋭いのを忘れていました(え)。
観察は元より、分析評価させたら右に出る者はいないと主人殿に言わしめた、「弱点看破の最強猫」であります故に…あ、それは並行世界の話しですが(?)。
ともあれ、我が家に戻ってきたので落ち着きますねぇ。
ああ、ここから、また一からやり直すというのも、また乙ではあります。
ですが、思い返しても記憶が曖昧な部分がありまして、普通の猫からどうやって、あそこまでのサムライ猫になったのか?
並行世界軸の、あの部分がポッカリと抜け落ちているような…
う〜ん…とりあえず、オシッコをさせてもらって良いですかね(え)。
あ、はいはい。この猫トイレですね?勿論、使い慣れていますので…?
「すごいよ!?いきなり猫砂トイレ、ちゃんと使えたよ!!天才だよこの子ぉぉ!?」
いや、主人殿…この程度、普通ですぞ?
それより、そんなジッと見られたら恥ずかしいのですよ(照れ)。
え?子猫用の猫ミルク?
いや、あれってそんなに美味しくないんですよ?
子猫用のカリカリ餌も同様ですね。
あ。でも牙が小さくて、普通のキャットフードが食べにくいのですか…困りましたね。
この子猫ライフのままだと不自由ですが、それは致し方ありません。
ミー先輩に気付かれない程度の鍛錬をする為には…ティシュペーパーの箱に潜り込んで、無闇にティシュを引っ張り出したり、そんな子猫のような真似をしている場合じゃありませんっ(え)。
「もう、やっぱりオス猫はやんちゃねぇ〜。」
母上様、申し訳ありません(汗)。
拙者、平謝りです。
どうも子猫の欲求に精神が引っ張られているようで…とりあえず、夜はキャットゲージの中に引きこもり、腕立て伏せ×3セット、腹筋×3セット、空気椅子×3セットを行なってからの就寝。
やはり子猫の身体にはキツいですね(え)。
途中、ミー先輩が見回りに来たので(?)、寝たふりを敢行しましたけども…。
そして翌日、拙者は驚くべきものを見てしまった。
前世では、今まで一度も見たことが無かったもの…それは窓から見える外の景色に、行き交う人間や車に紛れて、フラフラと右往左往する奇妙で透明なモヤのような影?
たまに我が家の中を窺おうとする影もある(?)。
道路の端っこで動かないものもある。
窓際で思う、これは一体、何なんだ??と。
『ミニャ(…あれは浮遊霊だ。良くない霊もいるから、あまり関わるなよ)。』
『ニャニャ(ミー先輩っ!?)。』
ビクッとしたら、ミー先輩が後ろに立っていた。
ミー先輩はその影を威嚇して追い払ってしまったのだ!!
いや、ちょっと待ってくだされ!?
それって、拙者が知らなかっただけで、前世でもミー先輩はアレが見えていたと言う事ですか??そしてアレを追い払っていたとっ??
『ニャニャ(なんで言ってくれなかったんですか、ミー先輩!?)。』
ミー先輩は、アルビノで身体が弱いのに、1人でずっとこの2階を守り続けていたって事でしょ!?
『ミニャ(お前、何を言っているんだ?昨日、初めて会ったばかりなのに?)。』
あ、それはそうですけども(汗)。
『ミニャ(でもまぁ、俺以外にも見えるやつが来てくれて良かったよ。母上を守る為にもな…)。』
え?それって、どういう意味でしょうか?
そういえば、母上様は昔、よく金縛りになっていたって記憶はありますが…。
そうして拙者は、ミー先輩から悪い霊を追い払う為の威嚇方法を教わることになりました。
教わったものの、これがまた難しい(汗)。
『ミニャ(だから、威嚇の声に乗せて、霊力を一気に放つんだよ)。』
『ニャニャ(ミー先輩…いきなり霊力と言われましても…(汗))。』
困ったもんだと、ミー先輩は拙者を見下ろしている。
でもやっぱり、こう見るとミー先輩は色白で美男猫だなぁ…と思います。
外に出たら大モテになるのではあるまいか(笑)。
『ミニャ(おい、笑ってる場合か?)。』
『ニャニャ(あ、いや…その(汗)、ミー先輩は御身体の方は大丈夫でありますか?)。』
『ミニャ(…何?)。』
あ、いやはや、口が滑ってしまったようで(汗)。
ミー先輩は不審気に拙者を見ているし、誤魔化しで子猫らしく『ニャニャ〜ン』って鳴いてはみたものの、ますます睨まれておりますぅ…。
『ミニャ(俺の事は関係ない。ちゃんと威嚇できるように練習しておけよ)。』
あっ、行ってしまった!
そしてミー先輩はいつもの定位置、トイレ横のタンスの上で丸くなってしまった。
もうテコでも動きそうにない…。
う〜む。何と言いますか、威嚇指導が中途半端に終わってしまって(え)、霊力とは何であるのか?クエスチョンマークがたくさん飛んでいますが…もう頭が一杯です(汗)。
無闇に『シャ〜(怒)。』ってやったら、結果、喉が痛くなっただけだし、水をペロペロしても喉に染みるのです(涙)。
しかし、猫の威嚇は基本、これで合っている筈。
おかしいな?根本的に違うのでしょうか?
夜も更け、とりあえず今晩から各種×3セットに加え、威嚇練習も追加とすることにしました(え)。
ゴホン、ゴホン、喉が痛いのです。
途中、ミー先輩が拙者のキャットゲージを叩いた。
『ニャニャ(え…何事ですか??)。』
『ミニャ(…見てみろ)。』
あ、母上様が就寝するベットの横に、妙な黒い影が…手を伸ばして?
そこに、ピョ〜ンとミー先輩が着地し、その手を遮る。
その手の黒さは異常だ(?)。
『ミニャ(下がれ、下郎がっ!!)。』
おお、ミー先輩、カッコ良いですね!!
開口一番、威嚇と共に何かが、その黒い影を丸ごと吹き飛ばし、そして粉々に打ち砕いてしまった!?
そうなれば、再び寝室は静寂を取り戻していた…
『ニャニャ(おお、凄いですね、ミー先輩!!)。』
ふふん!とミー先輩は拙者が今まで見たこともない顔をして、照れくさそうに去って行った。
これぞまさに男である!!
残された拙者は、やはりミー先輩に負けない強い男になることを改めて誓い、スクワット×3セットを追加するのであった(え)。
〈…続く〉
◆ ◆ ◆
名前なし♂
種族〈チンチラシルバー種〉
階級〈血統書付き〉
カテゴリー〈0.1+〉
戦闘力 1
防御力 2
生命力 1
回避値 2
知能値 2+〈15〉
器用値 0
魔力値 5
戦技
ねこ引っ掻き
固有能力
天狐の魂「9」
trigger〈繰り返す〉
能力
侍猫 勇気 忠誠 初志貫徹 繰り返し
称号
田崎家の猫